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黒部峡谷鉄道 路線図
地図

 ナローシリーズ第2弾は黒部峡谷鉄道、と書き出しはそれらしものの、実は黒部峡谷鉄道には1981年(昭和56年)、話の種にというぐらいの気持ちで一往復したことがあるだけで、記憶もあまり残っていない。どうもこのところ、思い出話は言い訳話になっている。
 黒部峡谷鉄道は今も現役なので、説明するまでもないが、元々あの有名な関西電力の黒部ダム建設のため、1925年(大正14年)から順次、宇奈月〜欅平(けやきだいら)間20.1Kmに敷設されたもので、ダム完成後の1953年(昭和27年)から観光用として一般乗客も乗れるようになったものである。
 一般客が乗れると言っても、貨車に屋根をつけたような客車で、最近、全国的にトロッコ列車ばやりであるが、黒部峡谷鉄道は元祖トロッコ鉄道と呼んでもいいだろう。もちろん観光だけではなく、関西電力の人員、資材輸送も行われているが、いずれも冬季は積雪のため、全面運休となる。

欅平にて
欅平で停車中の列車
 今、全国に残るナローゲージの鉄道は、保存鉄道などを除くと、ここと近鉄北勢線、内部線・八王子線しかなく、貴重なのであるが、実は黒部峡谷鉄道の終点、欅平からさらに奥の黒部第4発電所まで6.4kmのナローゲージの軌道が続いているのである。『上部軌道』と言われるこの軌道は、ほとんどがトンネルで、一般客は乗れない関西電力専用のものである。
 学生時代に読んだ吉村昭の小説『高熱隧道』のあとがきで、取材で上部軌道に乗ったら、トンネルが高温の地熱地帯を通っているので、車内が異様に熱くなったとあり、非日常を求めるトロッコファンの心をそそられたものだ。たまたま大学時代の鉄研メンバーの父親が電力会社に勤めていると聞いて、何とか乗れないか頼んでみたが、部外者が乗れるはずがないと言われ、断念せざるを得なかった。
 ちなみにJTBキャンブックスの『知られざる鉄道』によれば、今は黒部川の水でトンネルを冷やしているので、車内が熱くなるようなことはないそうだ。

黒部川に沿って
黒部川に沿って
 で、肝心の黒部峡谷鉄道のことであるが、沿線の風景はすばらしかったという印象は残っているのだが、具体的に思い出そうとすると、大井川鉄道の井川線などとごっちゃになってしまい、どうも明確にならない。
 唯一、はっきり覚えていることは、またしょうもないことだ。黒部峡谷鉄道の列車は完全定員制で予約が必要なのだが、確か13時すぎに欅平に着いて、帰りの切符を買おうと窓口に行ったら「4時**分発まで空いてませんね」とのこと。ゲッ、一人で3時間もどうやって時間をつぶすの?と思った瞬間、横から「あのォ、切符を変更したいんですけど」という声が聞こえた。見ると窓口に、もうすぐ発車する宇奈月行きの切符が差し出されているではないか。「それください」ということで、今風に言えば、早速GETしたのであった。

 こうして、話の種の一往復は終わった。今から考えれば、何もそんなに慌てて帰らなくても、とは思うが、やはり一人ではどうしようもなかっただろう。いずれ機会を見つけて、今度は家族で行くことにしよう。

 【2000年4月記】





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