表示がおかしい場合はこちらをクリックしてください。
文字を設定する場合はこちらをクリックしてください。

広島電鉄 中編

 仕事を終えて新神戸から新幹線で広島へ。広島駅前の広場に降り立つと、斜めに配置された広島電鉄の電車のりばが目に入る。と同時に17年前の記憶がよみがえる。そうだった、初めて来たとき、この斜めの配置がおもしろいなと思ったんだった。
夜の路面電車
ホテル近くの歩道橋で撮影。
三脚を持ってきていなかったので、
カメラを欄干に置いて、シャッター
スピード1/2秒程度で撮ったもの。

 旧京都市電に乗って、ホテルのある『銀山町』に向かう。そろそろかな、と腰を上げると、「次はかなやまちょう」のアナウンス。なんだ、まだかと座りなおすと窓越しに『銀山町』の表示が見える。そう、恥ずかしながら、『銀山町』を『ぎんざんちょう』と読み間違えていたのだ。慌てて飛び降りる。
 無事、チェックインを済まし、まだ寝るのは早いので、夜の路面電車を見に出かける。
 ゴトンゴトン、夜は路面電車の音が際立つ。いいもんだなあ、と近くの歩道橋の上から行き来する電車を眺めていた。ホテルに帰って湯船で冷え切った身体を温め、翌日の広島電鉄本社訪問用のメモを読み返す。どんな展開になるのだろうか。ちょっと緊張しつつ寝床へ。

 翌朝、7時前に広島駅に行ってみる。ただ、まだ暗く、撮影は無理なので、駅構内の喫茶店で時間調整。7時半ごろ、ビルのあい間から日が射して、通勤客も増えてきた。よし、と気合を入れて電鉄ホームへ。
朝の集金風景
朝のラッシュ時は係員が出て集金する。

 次から次へと電車がやってきて、JR広島駅からの大勢の通勤客が吸い込まれるように乗り込み、市内へ向かう。
 ラッシュアワーは短くて8時半くらいでピークを過ぎる。そして遅刻ぎりぎりになるのだろう、通勤客の足がだんだん速まり、表情も険しくなってくる。本人は気がついていないだろうが、ずっと観察していたこちらには、その変化が手に取るように分かり、失礼ながら可笑しい。

 ホテルに帰って大慌てで荷物をまとめ、10時少し前にチェックアウト、その足で一旦広島駅へ。荷物をコインロッカーに入れ、いよいよ広島電鉄本社訪問だ。
 ただ、このへんの時間の読みが甘く、広島駅でもう10時10分すぎ、約束は10時半なので、これから電車で行ったのでは間に合いそうもない。せっかく1日券を買っていたのに、タクシーで向かう。意外に距離があって、1000円以上だったように思うが、ちょうど10時半に広島電鉄本社に入ることができた。
旧京都市電1900形
旧京都市電の1900形。
運転士が系統札を付替えていた。

 さて、事務所の扉を開けてみると、いかにも忙しそうなムード。
 案の定、アポをとっていた方は会議中ということで、しばらく待たされる。やがて慌しく入ってきて、ざっと資料を説明してもらったが、いかにも落ち着かない。聞けば年末の安全総点検中なのと、2000年問題(今となってはなつかしい?)で大変だということだ。
「せっかく来られたのだから、車庫も見てもらいたかったんけど・・・」とは言ってもらったものの、こちらも無理は言えない。後日、質問させてもらうこととして、早々に辞する。

 その後、本社前の電停で、車庫に入る電車や、3号線の運用から1号線に変身する電車をしばらく眺めて、市内をぐるぐるまわって取材初日を終えたのであった。

【1999年12月現地、2000年8月記】


戻る 次へ
がんばれ路面電車目次へ
表紙へ


 本文のフォント(文字)を設定できます。

 大きさ→

 行 間→

 濃 淡→