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島原鉄道2010
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 駅前に『無料タクシー10時』という表示を見つけ、ラッキーと思って並ぶと、どうも様子がおかしい。
 ここは鹿児島本線長洲駅。駅から長洲港へ行き、フェリーで多比良港へ渡るつもりで降り立った。長洲港までは2キロほどあるので、無料タクシーの案内を見つけ、助かったと思ったのだが、一緒に並ぶ人たちの客層が違うような・・・。
 それもそのはず、無料タクシーは、フェリー乗り場ではなく、競艇場へ向かうものであった。やむなく自腹を切って、別のタクシーに乗る、720円也。
 この日は生憎の曇り空。晴れていればフェリーからの景色も楽しめるだろうが、空も海もどんよりとしたグレーに染まり、今ひとつ意気が上がらない。

 多比良港駅で、列車待ちの間、先に腹ごなしをしておこうと駅前の商店に入る。
 たくさん食べ物が並んでいるように見えたからなのだが、なぜかスナック菓子ばかり。
「軽く昼食を取りたいのですが」
 ひととおり棚を見てから、人の良さそうな店の親父さんに尋ねる。
「お客さんが高校生ばかりですんで、こんな10円とか20円とかのスナックしか置いとらんのですよ」
 と、しきりに恐縮しながら答えてくれた。
 今やどこのローカル私鉄も、メインの乗客は通学生だ。駅前の商店も、自ずと学生向きの品ぞろえとならざるを得ないのもうなずける。
 カロリーメイトならあるというので、しかたないとその棚へ行っていると、チョコレート味しかない。このへんも若者向けだ。

愛の駅
 次の上り列車は急行だったので、下車できる駅は限られる。その中で選んだのが愛野駅。
 なぜかピンク色に塗られたかわいらしい駅舎が建っている。その駅舎には「愛の駅」と掲げられている。
 なるほどと納得はしたものの、ちょっと気恥ずかしい気がしないでもない。

 ここから阿母崎駅へ向けて歩いてみる。まずは途中の小さなガーダー橋。
 せっかく石積みの古い橋脚が残っていたのだが、アングルが難しくて断念。かわりに土手の花を入れてみたが、おかげで橋脚どころか橋であることさえわかりにくい写真となってしまった。

愛野〜阿母崎間の橋梁にて


第65号踏切にて
 ガーダー橋からさらに阿母崎寄りの第65号踏切で下り列車を。
 島原鉄道の踏切名は、地名ではなく、単純なナンバリングである。ちょっと素っ気ないが合理的だ。
 ただ、もし新たに踏切をつくるとき、どうナンバーをつけるのか、などと余計なことを考えてしまう。
 で、ネットを検索して、疑問は氷解。仮に65号と66号との間に、新たに踏切をつくったら、65−2号と枝番を付けるようだ。

阿母崎近くの森
 阿母崎駅に近づくと、こんもりした森に沿って、線路がカーブを描いていた。
 その森の周辺では、巣立ったばかりのツバメが何羽も飛び交っていて、列車とからめられたらいいなとは思ったものの、やはり無理な話であった。

 本当は、また急行に乗るために、吾妻駅まで歩くつもりであったのだが、予想以上に時間がかかったこともあり、阿母崎から列車に乗ることにする。
 しばらくすると本格的な雨となり、列車が来る頃には土砂降り。無理に歩いていたら大変なことになるところだった。
 到着した普通列車からは、女子高生がひとりだけ下車し、土砂降りの雨の中、途方に暮れている。思わず自分の傘をあげようかなんて思ってしまうところが、相変わらず甘い。


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