福島竜胆のとっておき裏話(3)


先日の詰工房の2次会での話。
私と金子師匠と山下前店長の3人で、データベースで類似作を検索する話から、同じ手順で違う作品ってあり得る?という話になった。
すると「じゃあやってみよう」と金子師匠が珍しく真面目な顔。
そこで私が10秒ほど考えて、

55角、45桂、53飛成、同○○、○○○まで、5手詰

という手順を指定した。
一応不可能でない事はぼんやり確認していたが。
これをメモしてどんちゃん騒ぎのメンバーに渡すと、さすがに詰将棋集団、急に静かになって作図を始めた。

酔っ払った森田先生は「限定できない」とぼやいてる。
門脇御意見番は「こんなのなら100でも出来る。この世に1つしかないという手順を指定しなきゃ」などと、最初のコンセプトを知らずに言いたい放題。
私「これは引き出しの量より想像力だろう」
山下氏「55角引くより55角出るほうが難しい」
などと、創らないから無責任な会話。

まず金子氏が「こんなので」と見せたが速攻つぶれ。
修正するも変同が消えない。
汚らしく配置すれば消えそう、となったところへ、山田剛君が名乗り。
3人は検討に廻る。よってたかって余詰発見。
修正ののち、完成第1号と認定。
さて、その図だが、今手元にない。
44角を55に引くパターンだが、その限定の理由が逆王手しのぎ。
つまり、玉方54香、攻方56王の形なのだ。
3手目は金取りで、当然最終手は金打ち。
美しくはないが、スピード競争なので勿論文句なし1等賞。

次に三角君が持ってきたが、55角の意味付けが同じで、53飛成で金を取るのも同じ。
山田作を説明すると潔く自主撤去。
山下説はかなり鋭い。
皆、黙々と作図している。
詰工房が詰将棋で盛り上がったのは何年ぶりか。

森田先生は「単玉できれいな作を」と自らハードルを高くする。
そして出来たのがこれ。
(ちょっと修正してあるみたい)



角出る、飛空成と、こっちの意図を理解してくれている。
ファインプレイ賞があれば文句なしこれ。

そして最後になったのが、駒谷さん。
ビリなのだが、ユニークな作品なので御紹介したい。
(これも修正してある。いやだね詰将棋作家は)



ものすごい形。
これでも精査すれば危なそうだが、それはともかく、初手の意味付けが、いずれ来る逆王手の予防。
それでも桂をはねてくるのは、角をピンして余詰消し。
いろんな意味付けがあるもんですね。

という訳で、詰将棋作家をいぢると相当面白い事が分かった。
これを全国大会の懇親会でやってみようと思うのですが。
賞金がっぽり付けますよ!


大会サブプロデューサー  福島竜胆