詰将棋おもちゃ箱 − 記念作品 − 再録・相馬慎一作品展再録・相馬慎一作品展 作品2 |
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相馬慎一個人作品展2 解答 相馬慎一個人作品展2の解説に参ります。 ![]()
93角不成、イ84銀合、同角引成、46玉、47銀、35玉、 イ 67玉は66角成、58玉、48馬、67玉、66馬、78玉、73龍以下。 初手、まずは93角生としたいところだ。 角の利きの焦点となっている84への合駒が気になるが、とりあえずここは素直に46玉と逃げてみよう。 合駒を手に入れるため、73角生と入ってみる。 35玉は71角に何を合駒してもそれを取って簡単に詰むので、読むべきは合駒だ。 とは言っても55歩合などでは同角成、同成香、47歩以下、73角に35玉と逃げた変化となんら変わらない。 少し工夫が必要だが、もはやお決まりと言ってもいいだろう。 不利合駒、玉方銀先銀歩だ。 55銀合、同角成、同成香、47銀、35玉、71角生の進行は避けられない。 なお、55銀合の瞬間に26龍と入る手があるが、36香合の逆王手で手も足も出せなくなる。 再度71角生に対する変化を読む。
先に読んだ変化では何合をしてもそれを取って詰んでいたが、今度は44歩合とされると同角成、同成香で36歩が打てず、打歩詰を打開できなくなる。
これが玉方銀先銀歩の効果だ。 2手目46玉と逃げてはどうやっても詰んだ。 66合や75合もなくはなさそうだが、合駒が手に入ってしまう上に73角と入れてはどうしようもない。 即ち、2枚角の焦点、84合だ。 この84合、一見したところ同角成、46玉と進んだときに95の角を73に移動させないための中合に見えるが、
73角という手の意味づけが「合駒を取るため」であるのに、73角をさせないために合駒を渡すというのは完全に矛盾している。 先ほどと違い、確かに73角(馬)が出来なくなった(出来るといえばできるが、ここで73馬としても57玉でつかまらない)。 だが持駒には当然合駒で奪った歩が残っている。 73角などせずとも、ここで47歩と打ってしまえば35玉に62馬で、44歩合としても取ってから36歩と打って簡単に詰む形だ。 ここでも47に打つ駒は銀でなければならない。 これで2手目は84銀合と暫定的に決定するが、まだ84に合駒をする意味が判明していない。
とりあえず今度は銀合でもう一度進めよう。 本作のカギはたった今読んだ変化とイの変化の微妙な差にある。 これが2手目84銀合の意味づけの全てとなる。 これで本作の構想は解明された。
84銀合は「35玉に生角での王手をさせないための不利合駒」という意味づけである。
そしてこの意味づけ、言い換えれば 作者 「打診合と不利合、組み合わせ自体一見すると矛盾した構想だが、その直感的な思考を疑ってみた作品。 収束は?だが、構想を表現する構図内で収めたのでベストと思う。」 冬眠蛙 「打診不利合!初めて見ました。 57馬〜73角成も、まさに虚虚実実という言葉がピッタリ。」 ikz26 「打診不利中合という不合理な妄想を構想に昇華させたことに驚かされるが、 やむを得ないとはいえ、中合に打診だけでなく角2枚をダブらせる意味があるのがずっと気になっている。 収束はちょっと掴み辛い印象があった。」 いくら詰将棋にとてつもない可能性が秘められているとはいえ、不可能をそのまま可能にすることは出来ない。 だがこの解説を読み、本作の細部までよく見てくださればわかるだろう。 84銀合の意味づけ自体は紛れもなく「打診不利中合」なのである。 93角生〜71角生を避けるために、84角成を強制させて打歩詰に誘う。 これが打診合でなくて何であろうか。 本来不可能な妄想とも言える「打診不利中合」を構図の工夫によって実現させた。 私が本作を初めて目にしたときの驚きは、未だに忘れられない。 これより先、この構想がどのように発展していくかもまた、楽しみだ。 EOG 「焦点の不利合駒。 53歩合を見せ手にした攻防が見事。 収束流れたのは惜しい。」 谷口夏輝 「初手に93角成は変化で53歩と中合されて不詰。 2手目の応手も難しい。 「玉方、銀先銀歩」?で打歩詰に誘導、ですね。 ☆桂合が出来てしまうと、本作は不詰になります。 なお54成香をと金にすると、10手目44との移動合で詰みません。 三輪勝昭 「93角生に75歩の打診中合と思ったが違いました。 ☆解答者から見れば不満であることには間違いないですが、作者の言にあるように、これがベストの収束かと思われます。 奥鳥羽生 「攻方の目的手である打歩詰誘致中合回避の不成、に対する応酬がテーマの一局。 正解者(敬称略 順不同) 三輪勝昭、谷口夏輝、EOG、奥鳥羽生、ikz26、冬眠蛙、國吉進 3の解説は近日中に更新いたします。 お楽しみに。 |