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龍鋸趣向作品全集 木挽唄集 |
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本項から第4項までは、移動によって龍が玉から離れていくタイプの作品である。
本項は、質駒として置かれていた敵駒を取ることによって手順の打開を図る作品群を扱う。 質駒を取った手に対し、玉方は逃げる手と龍を取る手と二通り考えられるが、これらを分けることはしない。
少ない作品例の半分が、構想色の強い最近のものである。 この形式自体が、既に完結している、ということなのかも知れない。
・前田 三桂 (月報 昭3・11) 手順を並べる 昭和初期の長編作品特有の、盤面全体を使った追い回し手順。 龍ノコが創作の動機にはなっているようだが、趣向としての面白味はない。 (この図は「秀局懐古録上巻」所収のもので、原図は59となし、32飛→33飛) |
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・佐藤 次衛「雷雨」 (詰棋界 昭27・2) 手順を並べる 龍ノコのウェイトに限れば、前田三桂作に似た印象があるが、その後の展開は、遠角等を絡めて、スッキリしたものにはなっている。 |
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・黒龍江 (近将 昭54・3) 手順を並べる 手順だけ見れば72歩を取りに行くだけの龍ノコ手順なのでここに分類したが、主眼は違う。 玉方は、73香だけは渡せないので52龍の形で22飛と応手を変えるのだが、これを8手目の段階では行わず、わざわざ72歩を取らせて(52歩中合まで余計に渡して)から行う点に狙いがある。 72歩は玉方にとって玉の逃げ道を阻む邪魔駒だったのだ。 不利逃避的な味わいを龍ノコで表現したものと言えようか。 |
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・谷 混色「猿智恵」 (近将 昭57・8) 手順を並べる 玉方は龍ノコに対していつでも83玉から逃げ出せるのだが、29馬に対する38の合駒に適当なものがないため、わざわざ32歩を取らせて(38歩合を可能にして)から逃げ出す。 ただし、その結果、52角合まで必要となってしまう、という仕掛け。 前作と同工の不利逃避の手法を、大駒を絡めてより明快にしたもの、と言えるだろう。 |
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