詰将棋おもちゃ箱カピタンリバイバル

49 All-in-Shogi 紹介

占魚亭

カピタンリバイバル
カピタンリバイバル

1.ルール

【All-in-Shogi】
双方とも自分の手番のときに相手の駒を動かすこともできる。 敵玉を王手がかかる位置に動かしてもいいし、敵の持駒を打ってもいい。 ただし、双方とも1手前の局面に戻すような着手は禁手とする。

<補足>
1)相手側の駒を動かすとき、自分側の駒を取らせることはできるが、相手側の駒を取らせることはできない。
2)相手側の駒で自分側の駒を取らせたとき、その駒は相手側の持駒となる。
3)自玉を取らせる手は反則。

※本稿では、相手側の駒を動かすor相手側の持駒を打つ着手を「○○vX」と表記します。


2.作品紹介

まずは簡単な例題を。

【受先】 玉方から着手する。
【協力詰】 双方協力して最短手数で受方玉を詰める。 透かし詰は詰みと認められない。

【作意】 17v角、44角まで2手。

王手がかかった状態の受先なので、初手は攻方の持駒の角を打つ着手しかありません。 候補は12〜18の7か所ですが、17に打つのが正解。 バッテリー(開き王手ができる形)が完成したので44に角を移動させ、両王手で詰み。 1手前の局面に戻すような着手は禁手なので、17v角とは指せません。

「1手前の局面に戻すような着手は禁手」のルールは慣れないうちはうっかりしやすいので、All-in-Shogiを解く際は気をつけてください。

それでは作品の紹介に入ります。

(1)

【作意】 12v玉、24v馬、15香、14v馬、13v玉まで5手。

普通なら馬を動かす手しかありませんが、All-in-Shogiなので12v玉と動かして王手をかけることができます。 2手目は24v馬として王手を外しつつ攻方に香を持たせます(補足の1項と2項が適用されているのを確認してください)。 3手目15香が本作のキーとなる限定打で、それに対して14v馬とし、最終手13v玉で詰み。 12玉と指したいところですが、1手前の局面に戻るため玉を動かせません。 3手目の理由ですが、16〜19のどこかに香を打つと13v玉に15v馬で逃れるので、この手を消すために15に打ったわけです。

All-in-Shogiの入門にぴったりな作品でした。

もう1作紹介します。

(2)

【作意】 35v玉、15v金、26v玉、17玉、16金、26v金、16v玉まで7手。

初手はこの一手。 2手目15v金は指すのに少し抵抗がありますが、本作のポイントとなる着手。 この後は玉を26〜17へと移動させ、金を16〜26と出題時の位置に戻し、最終手16v玉で両王手の詰み。 All-in-Shogiでは普通では不可能な形の両王手も可能なので、行き詰ったらこのパターンである可能性を考慮するといいかもしれません。

初形と詰上りの対比が面白い作品でした。


以上でAll-in-Shogiの紹介を終わりますが、お分かりいただけたでしょうか。 『WFP』では他にもこのルールを使用した作品が発表されていますので、興味のある方はバックナンバーをチェックしてみてください。