解説・全短評
大道棋25とトレーニング問題、よく似た形ですが、王と香の位置が斜めに一つずれています。また。トレーニング問題の方は76歩が配置されています。
いずれも83桂から角角合の筋で(大道棋25では45角、トレーニング問題では36角と)香を取りに行くのですが、香を取られまいと中合してくるので、その対策を読まなければなりません。配置の微妙な違いで、ここで別の対策が求められることになります。
大道棋25の方は、92角合のとき、81歩成、同玉、45角と、すぐに香を取りに行きます。91玉と逃げれば香が取られるので、54歩の中合で抵抗します(63合は歩合ができないので簡単)。
54歩は逆王手なので同角と取るしかありません。 しかし、まだ92に角があるので、これを取って再度香を取りに行きます。54同角、91玉、92香成、同玉、65角、81玉、45角という順で、今度は54歩は同角左と取れるので無効、56香が取れて解決します?
ところが、この手順もまたまた罠。3割近くの人が引っかかってしまいました。65角に74歩と角の位置を変える中合があるのです。同角と取るしかありませんが、これでは45角と打ってもまた54歩合とされて香は取れません。
しかし、持駒が歩2枚になり、63角成と馬が作れるので、全く別な手順が成立するようになるのです。
トレーニング問題では、大道棋25の詰筋は失敗します。それは、36角と香取りに打ったとき、45歩、54歩の連続中合の妙防があるからです。こうなっては65角から再度36角としても、また45歩中合で詰みません。
それでは不詰かというと、もちろんそんなことはありません。92角合のとき、同香成、同玉、56角と、先に56に角を据える手があるのです。先ほどは54歩合で角の位置をずらされてしまったわけですが、56角と打てば65歩合も74歩合も二歩で打てないので、91玉の一手で、それから81歩成、同玉、36角とすれば45歩中合ができず、無事に香が取れて詰むわけです。
では、大道棋25ではなぜこの順が成立しないのでしょうか。それは、大道棋25では65角に74歩の中合があるので、同角、81玉で、45角は54歩合で詰みませんし、63角成は92玉で、83角、93玉、94歩、84玉、74角成、94玉できわどく詰みません(作意順ではもう1歩あるので、95歩と叩いて詰み)。
二つの角筋に対する中合箇所の違いで、手順が変わってくるところ、中合の意味づけもおもしろく、構想作が好きな方にはお楽しみいただけたのではないでしょうか。
大道棋25は、大道棋24と同様コンピュータの支援で創作(発見)した問題で、eurekaは、私のコンピュータ支援作品用のペンネームです。 また、トレーニング問題は大道棋25の参考に加藤が創作した図です。
いったいどんな風にコンピュータを活用したのか、興味のある方は、詰将棋創作プログラミング 6 大道詰将棋を作る をごらんください。
それでは解答者のみなさんの感想を。 解答到着順です。
- 永島勝利さん:
- 逆王手にばかり気を取られて、74歩を見落とすところでした。
- 市原誠さん:
- 55に自玉がいるから、攻め方に神経を使う。
- 岡崎行晃さん:
- 加藤徹先生、お元気ですか!
今年もきびしい暑さが続いています。
猛暑の折柄くれぐれも御自愛下さい。
- 佐藤司さん:
- 今回も易しい出題をありがとうございます。
今日は「たま研」の日、貴殿にお会いできることを楽しみに出かける所存です。
一見易しそうに見えても、その先にワナがあったりするので、ご注意ください。
- 加賀孝志さん:
- 二回歩中合い有り必要。
- 小山邦明さん:
- 大道棋詰筋辞典(6)の香歩問題に掲載されている83桂(角角合)20図の森美憲さん作品(詰パラ1986年12月)では、
11手目の81歩成と92香成の手順前後が成立しますが、今回の双玉にする工夫で、2つの作品とも手順が限定にできているところが、
とても実戦的で良いと思いました。
- 大下進さん:
- 6手目93角10手目92角と二度の角合の発見と24手目65飛合は最善の好手と思います。
その前に軽く74歩合と角位置をずらすのが正解でした。
- 山下誠さん:
- 双玉ゆえに取れそうで取れない香車。なかなか面白いです。
- 原田雄二さん:
- 24手目92玉と逃げ以下83角、93玉、94歩、84玉、74角引成、94玉、95歩、同玉、85馬までの33手詰も素敵ですね。
トレーニング問題:14手目65歩合と、18手目45歩合が効かないので47香がとれ詰みました。
92玉だと、駒も余らずぴったり詰みますね。
- 三宅周治さん:
- 合い駒の2枚角を取って活用する手順が上手い。
トレーニング問題も2枚角の活用は同じでしたが、打ち場所、使い方が違ってきますね。
- 前田知弘さん:
- トレーニング問題も合わせて、香を巡る攻防が面白い。
コンピューターは総当たり探索なので人間が見落としている配置が見付かるかもしれませんね。
面白い問題になるかどうかは、紛れ当たりですが。
おもしろいかどうかは、やはり人間が判断しないと。
- 長谷繁蔵さん:
- 56香を取りに行く角成捨て良し。
取らせない妙防があったとは。
- 谷口翔太さん:
- 逆王手と打つ64歩打と74歩の中合で手数を伸ばす。
連続の角合は研究済みの手筋で、これなら大道でも大丈夫。
ハイ、これは光2個を頂戴です。
未成年にはタバコはだめですよ。
- 井上賢一さん:
- 好形なので、解図欲をそそる。
- 占魚亭さん:
- トレーニング問題同様、難問。角のまどろっこしい動きに味がある。
- 竹中健一さん:
- 56香が安易な配置に見える…
トレーニング問題の方が当然ながら良いですね。
やはりコンピュータだけではなく、人間のコラボではじめて良い作品が生まれるのかなぁと思います。
解く側の心理などを考慮できるのはやはり人間ですからね〜
- 鈴木彊さん:
- 双玉の味わいのある大道棋、よく手が続きました。
玉方の3枚の駒の配置、うまいものです。
45角に54歩合が逆王手。双玉図は何がトビ出すかわかりませんので油断できません。
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