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大道棋名作三十局選(1) 表紙に戻る
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矢場徹吾 平成12年2月 詰棋めいと第27号

平成8年から詰将棋パラダイスの大道棋教室を担当しております矢場徹吾です。

今回は大道棋名作選の解説を依頼される光栄に浴しました。 どこまでその妙技・奥義の数々に迫れるでしょうか。 楽しみです。

なお、選題は加藤徹さんにお願いしました。

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第1番 加藤徹作(詰パラ486号)

詰パラ解答陣の猛者を相手に誤答率が八割という驚異的なペテン作。 途中図(4手目74角合の局面)から作意はまさかの同飛と上部に追い出す順で、 これが相当の抵抗感を伴って多くの犠牲者を出すことになりました。

誤答者は途中図のところでA同馬と取り、以下94玉、96馬、84歩、85角 (72角もありますが、83桂合、同角成、同玉、75桂、82玉で逃れ) と追撃しましたが、83玉、75桂、82玉で逃れます。

詰まないものを詰めちゃったわけですが、大道棋教室を担当して丸四年、 こんなことは後にも先にもこれっきりでした。

この頃から私が使った「鉄人」という加藤徹さんに対する呼称が定着してきました。

本作はたった二枚の香を海の底深く静かに置いただけで収束を成立させており、 創作という観点からも実に巧妙。 紛れ・変化どれをとっても「鉄人」の名にふさわしい第一級の作品です。

本類型は初形からの誘い手が多く、やや広がった棋形が難点とはいえ、まだまだ改作図の生まれる余地があると思います。 このように大道棋としての価値は、類型をどのくらい持てるかという要素も大切です。 作者自身、数作この類型を発表されていますが、他の作家も改作を試みては如何でしょうか。

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