入試本番まであと2カ月。12月・1月の学習法

 「木下ぜみ」では直前期(12月あたり)からは、冬休みを含んで立てたスケジュールをもとに、学習を進めていきます。この時期は各学習項目の総チェックと受験校別対策を行ないます。また、思考力増進中心の学習から暗記中心の学習に比重のかけ方を今までとは異にします。(つまり、「学力の向上」から「合格させる」へのシフト変更です。)

 受験が近づくにつれ、暗記分野への対応を強化します。特に社会科では暗記の比重が大きくなりますし、理科も生物分野、地学分野、化学分野の暗記すべきことを中心に学習するようにします。国語は言語要素(漢字、ことわざ、熟語など)の暗記を中心とするようにします。算数は難問をじっくり腰をすえて解くことよりも、よく出る標準問題、計算問題の取りこぼしをしないように、正確に、早く解く練習を中心に勉強します。

 この時期になると、受験校もかたまってきますので受験予定校の過去問を最初は得点を気にせず本番と同じ時間配分で行ない限られた時間内で最大限の力を出す練習をします。(答えそのものを覚えてしまうということはあるにせよ、95%以上取れるまで繰り返します。―――従って、過去問を繰り返す回数は学校毎、個人毎に異なります。受験校の出題傾向に慣れることにもなります。)よく出題される単元で、できの悪いものについては、しっかり弱点を補強するようにします。

国語の学習

 国語はもともと短時間で成果の出る科目ではありませんので、直前期には短時間で成果の出る言語要素(漢字、ことわざ、熟語など)を毎日少しずつでも繰り返してもらいます。特にこういった言語要素を多く出題する学校では、最大の対策になり、効果的です。

 長文読解をやらないわけにはいきませんがこの時期は難しい長文を腰をすえてじっくり読むのではなく、確実に取らないといけない標準的な質量 の長文を解くようにします。指示語(こそあど言葉)の探し方、論説文の結論は文末か文頭にあること、順接、逆接の接続語での文の展開の読み取りなどパターン化(公式化)された読解のテクニックを指導します。取りあえずはこれで10%程度得点がちがってきます。

 国語の場合も、過去問を繰り返し行ないます。頻出度の高い問題は、学校側が意図して受験生のミスを誘おうとしている問題であることが多く、過去問を繰り返すことよって、攻略法を学ぶことができます。長文読解の長いものを一つ出す学校、標準的長さのものを2つ出す学校、比較的短いものを3つ、4つ出す学校と様々です。文の種類も物語文(小説)、論説文、説明文、紀行文、手紙、詩、短歌、俳句など多種多様です。男子校では物語文より論説文、説明文ばかり出す学校、女子校では毎年詩を出す学校、少年期の心の成長を読み取らせるものばかり出す学校など特徴のある学校を受験する場合は、そうした傾向にあわせて勉強する予定です。記述式の解答方法の多い学校では、毎日、何らかの形で自分で文章を書いてもらいます。(私の高校時代には朝日新聞の天声人語を毎朝要約するという課題がありました。これも、効果的な学習法であると思います。)

 難問が出題される場合以外は、難問を解いて、解説を読み、解法をマスターするのは、1問につき多くの時間がかかるため時間効率が悪く、残り時間が少なくなってきた段階での学習としてはさけるべきです。

算数の学習

 計算問題を出す学校はもちろん計算問題を出題しない学校でも文章題を解くプロセスで面倒な計算をさせるような問題で計算力をチェックしています。計算力は算数の基礎体力ともいえ計算力なき算数の学力向上はありえません。必ず毎日(塾のない日も)10〜15問程度練習するようにします。

 一行問題(1〜3行程度の簡単な文章題)は広範囲から出題されますが、受験では確実に取れるようにします。簡単な問題をより短時間で解いて後ろの難問に時間を配分することは受験の作戦のひとつです。もし、できない問題があれば確実に解けるようにします。多くの受験生が点を取れる簡単な問題をミスすることは後の難問すべてに正答しても取り返すことは容易ではありません。正答率50%以上の問題を確実に取れば十分に合格点です。

 受験によく出る標準問題(4〜7行程度の5分程度で解くべき文章題、図形問題)は全てのパターンをクリアできるようにするのは大変です。ひとつでも多くの問題を攻略することが合格に近づくベストの対策だといえます。

 計算問題も文章題も半分以上は記憶力が左右します(公式など)。繰り返し反復練習を行ない、どんどん暗記していくことが大切です。

 私立校では10人前後の先生が3年交代で分担して問題を作りますので出題傾向に特色がでることが多いのです。例えば一行問題中心で大問4つだけなど。あるいは、立体図形はあまり出ない、場合の数は毎年出ているなどです。これにあわせた勉強を行ない受験校の出題傾向をふまえて学習します。

理科の学習

 理科は範囲が広範にわたるので特に出題傾向を探ることが大切です。例えば計算重視かどうか、暗記中心なのかどうか、最近多くなっている時事問題(理科の)を出すのか出さないのかなどの傾向を重要視した学習に切り替えます。計算問題は難問にあたるよりも標準問題を少々あつかう程度にとどめ、あとは生物(植物、動物、人体など)、地学(天気、星座、地層など)、化学(○○と××で何が発生するか)の各分野の重要事項から志望校が出題する可能性の高い分野、問題から押さえるようにします。

計算問題:化学反応(酸素・二酸化炭素・水素の発生、水酸化ナトリウム水溶液と塩酸の中和で食塩水をつくる、食塩・ホウ酸の溶解度など)/てこ、ばね、りんじく、かっ車、浮力、振り子、音、光/天体の日周運動、年周運動など。

暗記問題:植物のつくりとはたらき、季節と植物、昆虫、メダカ、その他の動物、消化と吸収、心臓、血管、血液、肺と呼吸、人や動物の誕生、骨、目、耳、じん臓、気体と燃焼、水溶液の性質、その他(状態変化、実験器具)、太陽の動き、月の動きと満ち欠け、星の運動と星座、日食と月食、地球以外の惑星、気象(天気)、流水のはたらき、地層と化石、火成岩、人と環境、電気、光、音、熱、ばね、てこ、りんじく、かっ車、浮力、ものの運動と運動によるエネルギーなど。

社会の学習

 社会科は、地理的分野、歴史的分野、政治的分野、世界の中の日本、時事問題に大別されます(時事問題で一つの単元になっていることに注意。最近では社会科では時事問題は出題必至)。分野別の出題の比率は、地理2、歴史2、残り1ですのようです。

 小単元で特に注意を要するものは、地理的分野では、農業と工業です。歴史的分野では、近現代が中心です。次は江戸時代です。分野別では、政治、外交が主流です。政治的分野では、憲法の出題が多く、特に日本国憲法の三大特色がよく出題されます。次に、国会、内閣、裁判所のしくみとはたらき、後は選挙です。世界の中の日本では、貿易と日本の工業、国連のしくみとはたらき、地球環境問題、最近ではPKOがよく出されます。時事問題は最近、基礎的な用語の説明を求める記述問題をはじめ、よく出題されています。コソボ紛争、日米ガイドライン、2000年問題、改正男女雇用機会均等法などの時事的な問題については、新聞や雑誌、テレビのニュース番組や時事問題をまとめた本などをチェックし、知識を補充しておいてください。

 社会科も残り2カ月のこの時期は過去問学習をスタートしますが他の教科ほど過去にさかのぼりません。あまり、さかのぼりすぎるとデータや情報が古くなり現在では問題が成立しなくなる場合があるからです。また、間違ったデータ、情報をインプットしてしまうおそれもあります。むしろ出題傾向が似ている他校の最新入試問題を解くことをします。

 社会科は基本的に暗記が中心です。最近増加傾向にある記述問題にも学習事項を暗記する際にその意味もきちんと覚えておけば対応できます。ただし、記述問題も各学校でいくつかのタイプに分かれますので、各学校の出題傾向を検討し、それにあった方法で学習させます。

受験生・生活面

 これからは、あまり夜遅くまで起きて勉強するというスタイルは感心できません。

(私の子供の受験期は午後11時になると問題の途中でも止めさせ、入浴させるか、熱くした牛乳を飲ませて寝かしました。「11時45分には必ず布団の中」を厳守させました。ご参考までに。)

 どの学校の入試も8時台には始まります。その時間に頭がはっきりした状態にもっていくためには、生活を朝型に切り替える必要があります。(1月以降は午後10時就寝、午前5時起床――で、入試開始の8時台には頭の回転がトップ・ギアに入るようにすべきです。このためには起床後3時間が必要と言われています。)

 入試2、3日前になったら、学習量を減らして少し頭を休めて下さい。健康管理に留意することも大切です。調子が悪いなと思ったら、無理をするのは禁物です。いよいよ入試前日になったら、今までの教材を軽くながめる程度にし、早めに休み、十分な睡眠をとって下さい。


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