宿題 「 歌 」    新家完司  選
        

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宿題「歌」 新家 完司 遠
くちびるに歌を忘れず生きてます 大内朝子
大きな声で歌っていると元気出る 竹内八重
歌あれば花咲く路地の三丁目 水野黒兎
音痴のくせにすぐにタクトを振りたがる 寺川弘一
熱っぽく唄った頃もあった社歌 上嶋幸雀
軍歌とは知らず歌った幼い日 滝野きみよ
カラオケの歌詞を必死で追いかける 足立千恵子
紅白の半分程は知らぬ歌 神野宇乃子
歌手の名と歌がどうにも一致せず 吉川ひとみ
千の風歌ってお墓参りする 利光ナヲ子
星影のワルツで送られる左遷 橋倉久美子
ロボットは懐メロなんか歌えない 寺川弘一
ハミングが出たので退院が近い 吉川 卓
カラオケに君が代が入っていない 篠原伸廣
君が代を知らず学舎去っていく 荻野浩子
君が代を孫に聞かせて子守する 井本清山
音痴でも孫は寝付いてくれました 上嶋幸雀
「音痴ね」と言われそれから歌えない 三村 舞
老犬に歌い聞かせる子守歌 寺原千代
すらすらと歌詞が出てくる古い歌 滝野きみよ
デュエットのきわどい曲で熱くなり 八木 勲
ジャズ聴くと自然に手足動きだす 篠原伸廣
カラオケに出かけるリズミカルな足 松谷大気
酔わないとカラオケうまく歌えない 足立千恵子
アリランを違う言葉で歌い合う 日野 愿
カラオケは歌う人だけご満悦 渡邉佐和子
ケンケンパしながら歌う「ケンケンパ」 三村 舞
なやみごとないことはないけど歌う 天根夢革
一つとやきらきら過去の数え歌 高原 健
途中で止めるわけにはいかぬ数え唄 寺川弘一
都都逸を唄う社長に不況風 両澤行兵衛
戦友が欠け勢いの出ぬ軍歌 油谷克己
はばからず桜さくらと歌う春 井本清山
若い娘の演歌おっちゃん喜ばす 笠田幹治
歌を歌って売りに来るパンおいしそう 藤田悦子
ディック・ミネの歌大好きなおじいさん 西原珠眞瑛
一緒に歌を歌えば少し近くなる 永井玲子
ものまねになってしまって困る歌 天根夢草
採点をするカラオケで歌わない 杉谷和雄
カラオケは歌う天国開く地獄 杉谷和雄
年齢と共に歌まで下手になる 西谷美智代
下手だとは自覚をせずに歌う人 仁賀俊雄
五線譜の上で暴れている音痴 倉 周三
下手くそな歌は死刑に値する 松谷大気
歌歌うためにお酒を飲んでいる 三村 舞
わたしより歌上手い人居て困る 竹内八重
歌はうまいけど仕事はもう一つ 吉川 卓
「夕焼け小焼け」トイレの壁に書いてある 金築雨学
戦争へすぐにも行ける鼓笛隊 天根夢草
ぎんぎんぎらぎら歌のとおりに陽が沈む 太田扶美代
秀・カラオケの仲間を御詠歌で送る 吉川 卓
秀・カラオケに疲れ毛虫が落ちてくる 岡田幸子