宿題 「 巣 」 村上佳津代 選
| 宿題「巣」 村上佳津代 選 | |
| 子ら巣立ちうつろになった家と妻 | 車田邦夫 |
| 別れます巣を作りたくなったので | 橋倉久美子 |
| コンビニの横にひとりの巣を作る | 橋倉久美千 |
| 日の丸の旗の揚がっている巣箱 | 金築雨学 |
| プチ家出やはり哀しい帰巣性 | 瓜生晴男 |
| 地下街は延びるアリの巣モグラの巣 | 橋倉久美子 |
| コウノトリの巣立ちわくわくしつつ見る | 車田邦夫 |
| 古い巣と古い男は切り捨てる | 吉川 卓 |
| 内定は取り消し巣立ち蹴つまずく | 岡田幸子 |
| お祭が終るとみんな巣に帰る | 小寺竜之介 |
| 充電に帰っておいでと古巣から | 荻野浩子 |
| ネオン点く巣へ帰る気が起こらない | 日野 愿 |
| 人間をやさしくさせる燕の巣 | 三村 舞 |
| 派遣切り巣の一つさえ許されず | 荒巻 夢 |
| 気をつけろ悪の巣らしい焦（キナ）臭い | 井上信子 |
| 巣籠りの形で黄砂から逃げる | 荻野浩子 |
| 巣を作るカラスは親の顔になる | 三村 舞 |
| 巣へ寄ってねぐらへ帰る千鳥足 | 小西 明 |
| 巣作りが挫折派遣を悔いている | 油谷克己 |
| おんぶした温もりよぎる巣立つ朝 | 中村十八娘 |
| ぬくもりを残して雛が巣立ちする | 利光ナヲ子 |
| 我先に巣から口出すつばめの子 | 秋貞敏子 |
| 衣食住何も困らぬからニート | 両澤行兵衛 |
| 青い鳥待った巣箱がみな朽ちる | 江見見清 |
| ガッツポーズ写メールからの子の巣立ち | 荻野浩子 |
| につぼんの行く末憂う燕の巣 | 上嶋幸雀 |
| 巣作りも恋のダンスも忙しい | 松谷大気 |
| 百パーセントアウトの巣から落ちた雛 | 足立千恵子 |
| 蜘味の巣のまん中の蜘昧動かない | 三村 舞 |
| 駅降りて働き蟻の長い列 | 八木 動 |
| ベランダが見てた空き巣のテクニック | 早泉早人 |
| 巣箱から息子の声がまあだだよ | 神野字乃子 |
| 針金で巣ともいえないカラスの巣 | 天根夢草 |
| 子の巣立ちそっと見守る親父の背 | 中村 和 |
| 竹薮売った話すずめにしてならぬ | 井本清山 |
| 生きるとは時々蜘味の巣にかかる | 太田扶美代 |
| ちっぽけな巣箱電気も水もある | 新家完司 |
| 帰巣本能信じて夫待っている | 駒崎美津子 |
| 巣の隅で一人とぐろを巻いている | 吉川 卓 |
| 巣作りの下手な娘が舞い戻る | 中村十八娘 |
| 巣立つには勇気が足りぬ千切れ雲 | 河津寅次郎 |
| コウノトリ巣からたまごを落とすなよ | 天根夢草 |
| 巣立つ羽押え子離れできぬ親 | 有田晴子 |
| 秀・愛の巣を繕う糸が見つからぬ | 駒崎美津子 |
| 秀・体臭の染みた巣箱でよく眠る | 新家完司 |