宿題 「 間 」    古今堂蕉子  選
        

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席題「間」 古今堂蕉子 選
三角形の角ごとにいる男 吉川 卓
食間の薬はいつも飲み忘れ 西内朋月
間があいて闘争心が失せてゆく 竹内八重
ちょっと間を空けて愉快に笑う友 上山堅坊
合掌の両手の中にない空気 天板夢草
行間に秘めた思いは伝わらず 村上佳津代
口説かれてその気にされたタイミング 吉川 卓
忘れもの気付く間は大丈夫 早泉早人
話の間ひとの心をわし掴む 大内朝子
てのひらを返す間に春になる 太田扶美代
上手に間をとって息つぎする読経 西原珠眞瑛
冷却期間おこうと愛も褪せたらし 倉 周三
名人の気迫がじょじょに間合い詰め 油谷克己
仏壇と壁の間で寝ています 新家完司
間のびした話に船を槽がされる 西内朋月
終電へピッタリ届く千鳥足 河津寅次郎
手間掛けた料理をたったひと口で 小西 明
つかの間のしあわせ求め立って飲む 松谷大気
指の隙間から好きな人を覗く 新家完司
湯の沸く間ラジオ体操やっている 駒崎美津子
新しい歌の手拍子間がとれぬ 小西 明
くやしくて泣けるあいだはまだ若い 早泉早人
当分の間宇宙へ行ってます 篠原伸廣
その隙間誰が座るか眺めてる 江見見清
間の抜けた頃に届くか給付金 油谷克己
間柄妻としっかり書いておく 西原珠眞瑛
親子でも貸したお金は取り立てる 寺原千代
嫁はんと母の間でヤジロベ一 笠田幹治
間が持たぬときはビールを注ぎに立つ 杉谷和雄
飲んでいる間はどこも痛くない 新家完司
正論の狭間でいつもゆらいでる 寺川弘一
一呼吸置いて怒りの間を計る 両澤行兵衛
電車待つ間は他所の子をあやす 篠原伸廣
飲もうかと誘うときっとくる仲間 上山堅坊
母と子にヘソの緒よりも太い綱 小寺竜之介
隙間ない部屋で他人の息を吸う 利光ナヲ子
一万円札しおりに読んでいる源氏 足立千恵子
太ももにすき間ができずダイエット 吉川ひとみ
学生の間に繁る大麻の樹 永井玲子
いつの間にか私の舌が二枚ある 松谷大気
秀・知らぬ間に政治献金振り込まれ 仁賀俊雄
秀・つなぎ目の隙間で愛が芽を吹いた 太田扶美代