宿題 「 情けないこと 」   湯澤湯扇坊 選
        

(読み込み不可)

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 宿題「情けないこと」(詠み込み不可) 湯澤冬扇坊選
 品格を教えられない大相撲 杉谷和雄
 毒入りの米買わされているお国 上山堅坊
 親切をセクハラですと拒まれる 有田一央
 手ほとどきの孫に白石奪われる 笠田幹治
 ライバルがひとりふたりと消えていく 永井玲子
 ワンテンポ遅れジョークに笑ってる 高原 健
 これしきの酒で踊っている不覚 橋倉久美子
 転んだら子供ならせぬ怪我をする 小西 明
 睡眠薬の効き目が現われてこない 三村 舞
 わたしのこと忘れた母とする会話 足立千恵子
 階段をとんとんとんと降りられぬ 西原珠眞瑛
 あなたって何時もあたしの言いなりね 岡田陽一
 満天の星即効薬のはずだった 森田律子
 少しだけこぼしてしまう研いだ米 三村 舞
 美しい国の旗日に旗がない 前田孝亮
 喪のハガキばかりが溜まる晩秋期 有田一央
 年のせいですと主治医が素っ気ない 秋貞敏子
 今もまだ妻の稼ぎがボクを越す 中島重幸
 葬儀屋のリストにわたし載っている 井本清山
 蛍族なんて名前に甘んじる 油谷克己
 誰からも無視されている誕生日 足立千恵子
 マニュアルがないと生きられないらしい 橋倉久美子
 九九がボンと出てこれません喉仏 大東豊子
 職安の帰りを鳩に遊ばれる 油谷克己
 嘆かわし国を愛せと言えぬ国 前田孝亮
 時々は割り勘負けのするお酒 古沢和彦
 培った技を機械に笑われる 橋倉久美子
 逢いたくて赤いポストを覗き込む 辻 翠子
 退院日告げてあるのに誰も来ず 瓜生晴男
 長寿者を迷惑そうに祝う国 中村 和
 コンビニの弁当一つ夕食に 永井玲子
 鳩尾に溜まる本音が喋れない     竹森雀舎
秀・ひび割れたガラスの靴を履いている 森田律子
秀・もう一度散らすてのひらの花びら 森田律子