席題 「 髪 」   竹森雀舎 選
        

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席題「髪」 竹森 雀舎 選
自分史の第一章にお下げ髪 湯澤冬扇坊
子の髪を刈ってた様に孫も刈る 中島重幸
髪の毛の沙汰も今では金次第 小西  明
髪切った篤姫様は美しい 三村  舞
愛の汚れすっきりさせた洗い髪 有田一央
ストレスか年齢(とし)に関係ない白髪 渡連佐和子
父の前髪で隠しているピアス 松谷大気
髪の毛の不足は額でカバーする 有田一央
後れ毛に手をやるさまに惚れた悔い 岡田陽一
へアスタイル変えた妻にはご用心 永井玲子
髪乱れ岬の鼻に立つ女 油谷克己
薄い髪めがけてやってくる残暑 新家完司
遺伝かな父に似てきた髪形 中島重幸
髪きってすっきりしたい迷い事 西原珠眞瑛
青年にもう戻れない髪洗う 天根夢草
月明りあしたは髪を切りにいく 西原珠眞瑛
少しだけ闇を歩いたみだれ髪 古沢和彦
もう少し女で居たい黒い髪 辻  翠子
髪の毛はひと足先に旅立った 新家完司
カットして他人のように見える髪 中村  和
ギユツと髪束ねて今日を始めます 森田律子
人形を人形らしくさせる髪 三村  舞
亡母に似たかたちで白髪増えてくる 有田晴子
頭髪の量と寿命は無関係 新家完司
陽だまりで禿げた人から労られ 高原  健
髪の長さに女は歴史こめている 寺川弘一
髪短く切って女立ち直る 倉  周三
髪切った女の眉にある決意 湯澤冬扇坊
秋風に乗ってチャンスの後ろ髪 小西  明
服装に合わせ髪型変えている 足立千恵子
長い髪古い写真をなつかしむ 失   名
髪多く若い若いと油断する 上山堅坊
髪決まるちょっと外出したくなる 中村  和
老妻が肌身離さぬアデランス 井本清山
髪描いてこけしは女らしくなる 三村  舞
大切な大切な一本ずつの髪 天根夢草
剃髪の尼僧も女躁と鬱 倉  周三
秀・どこまでも強くなれないほつれ髪 森田律子
秀・髪染めて昔話へ逢いにゆく 古沢和彦