宿題 「 拗ねる 」    中村 和 選
        

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宿題「拗ねる」 中村  和 選
焼香の順から洩れたのが拗ねる 中田たつお
妻ひとり拗ねたくらいで死にはせぬ 松谷大気
拗ねるならもっと拗ねろと親も意地 有田一央
拗ねているときは貝殻節うなる 井上一筒
間引き菜も拗ねないように食べてやる 大東豊子
盛装の母へ幼子拗ねている 藤田悦子
お彼岸におまいりせぬと拗ねる墓 足立千恵子
母の日は盛大父は拗ねている 岩田明子
禁煙嫌煙拗ねる他なし愛煙家 井本清山
振り向いただけでそんなに拗ねんでも 上嶋幸雀
鯉幟無情の雨に拗ねている 瓜生晴男
拗ねていて治る病もこじらせる 前田孝亮
ハネムーン拗ねた花嫁もてあます 足立千恵子
拗ねている訳は聞かない美しさ 森中恵美子
拗ねているようなどじょうのどじょう鍋 天根夢草
掛け違えたボタンが拗ねているようだ 小寺竜之介
納得はしたが試しに拗ねてみる 松谷大気
歳というものに拗ねてる聴診器 森中恵美子
月の出がすねてだんだん遅くなる 小寺竜之介
大人です拗ねたりせずに意思表示 有田晴子
拗ねられて腹ペコの朝飯もなし 山田義則
老妻が拗ねると腹が立ってくる 氏林洋敏
物言わぬ顔に不満が書いてある 両澤行兵衛
もう拗ねるほかなし後期高齢者 井本清山
妻が拗ねるといつも夕食抜きになる 寺川弘一
古くても拗ねることなどない車 上山堅坊
大物はまん中へんで拗ねている 三村  舞
開園に拗ねて檻から出ぬパンダ 岡田幸子
あめ玉がもらえるまではすねてみる 橋倉久美子
またエラーATMに拗ねられる 岩田明子
窯の中ですねて味わい出た茶碗 小寺竜之介
ちょっとだけ拗ねて曲っているキュウリ 橋倉久美子
独り飲むどうせ私ははぐれ者 新家完司
メールでの絵文字が拗ねているようだ 杉本克子
投票もせず世を拗ねている有権者 仁賀俊雄
神さまは僕を嫌っているらしい 新家完司
ものも言わんとほっべたをふくらます 森中恵美子
食べ物で拗ねてはおれぬ子沢山 笠田幹治
遺品分け姉がダイヤをさっと取る 永藤弥平
もの言わぬ遺影にちょっと拗ねてみる 岩崎淑恵
相談がなかったらしい拗ねている 両澤行兵衛
拗ねた子を力一杯抱きしめる 三村  舞
秀・窓際に拗ねた男の席がある 笠田幹治
秀・婆さんが拗ねても誰もかまわない 西原珠眞瑛