−宇佐美繭子の処置を終えた二人が病室から出てくる−

「あの。。。宇佐美さんのあの傷はいったい」
「僕の話に合わせて、彼女が自分でやった」
「自分で? あんなに深く、ですか?」
「ああ」

「。。。すごいですね。そこまでやるなんて」
「必死なんだろう。ああいう世界で生きていくためには」
「そうでしょうけど」
「スキャンダルは致命的だ」
「貪欲なんですね」
「そうでなければ難しい」

「直江先生。。。記者会見までやって大丈夫なんですか」
「?」
「宇佐美さんのためとはいえ、嘘、ですよね」
「すべての嘘が不幸とはかぎらない」
「それは前にも聞きましたけど」
「生きるのに必要な嘘もある」
「え?」
「そういう患者もいるってことだ」

宇佐美繭子のあの傷、近くでみたら相当すごかったんじゃないかな。