プレゼント
倫子はずっと、直江にもらったネックレスをさわっていた。
「気に入った?」 「はい。とっても」
倫子の答えに直江はうれしそうだったが、それから下を向いてぼそっと言った。
「そういう買い物は苦手だ」 「そうですか?」 「慣れていない」 「え〜。ちょっと信じられません」
不思議そうに直江が顔をあげた。
「先生は女の人にプレゼントとかあげたことないんですか?」 「あまりないな」 「ほんとに?」 「そう見えないかな」 「見えません」 「本当に苦手なんだけど」 「そうなんですか」 「信じられない?」 「信じられません」 「君。。。」 直江がそれはないだろう、というような顔をした。
「なんかうれしいです」 倫子が笑いながら言った。 「ん?」 「だったら、それだけ気持ちがこもってるってことですよね」 「気持ち。。。そうなるかな」 「そうですよ!」
倫子はもう一度さわってみた。水色にキラキラ輝いている。 先生がプレゼントしてくれたものは、なくなったりしない。
直江先生は女性にプレゼントなんてあげるタイプなのか。さりげなくやりそうだけど。