自慢話

「あ、あのときのお姉さん!」
「あら、この間はありがとう」
「だれ?」
「ああ、あのう、たんぽぽのたくさん咲いてた土手を教えてくれた子です」
「そう」
「お姉さん、何してるの?」
「え、えっと、散歩よ」

「散歩?」
直江が倫子を見た。

「え、散歩じゃないですか。えっと。。。」
「手つないでるもん。デートだよね」
「え、あ、そうそうデートなのよ」
「その人とつきあってるの?」
「え? そうなるかなぁ。えっと。。。」
「そうなるだろう」
「そうそう、そうなのよ!」

直江がそんなことをいうとは思わなかったので、倫子はうれしくなった。

「ふうん、この人がお姉さんの彼氏かぁ。。。もしかしてお医者さん?」
「そうだよ」

直江が、なんでこの子知ってるんだと言わんばかりに倫子を見た。

「じゃあ、患者さんに大丈夫ですよっていうんだよね?」
「? そうだね。そう言うよ」直江は倫子を見ながらうなずいた。
「なんだぁ、お医者さんはすごいって彼氏のことだったんだ」
「え、そ、そんなことないわよ。お医者さんはみんなすごいのよ!」
「自慢話だったんだね」
「ちょっと、もうやめてよ。恥ずかしいから」
「はは。ラブラブなんだ。じゃあね!」

「すいません。。。」
「何を話した?」
「え? えっと、まあ、そんなようなことです」
「そんなようなこと?」
「はい。自慢話です」

そう言って、倫子は離さずにいてくれた直江の手をぎゅっと握った。

誕生日の次の日の会話ってことで。私的には1、2を争う出来だと(自画自賛)。