写真立て

「先生? これ買ってきたんですけど、使っていただけますか」

倫子が紙袋から出したのは木目のきれいな、シンプルな写真立てだった。

「今日、小橋先生から写真もらったじゃないですか。あれにどうかなと思って」
「。。。そうだな」

直江は鞄から写真を撮り出した。

「ちょっとかしてもらえますか。。。はい。これで。どうですか」
「どこに置くの?」
「病院のデスクに、と言いたいところですけれど、このデスクの上で」

そう言って、倫子がデスクの上に写真立てを置いた。

「ここに置いていいですか」
「ん」
「ずっと置いておいてもらえますか」
「わかった。君はどうした」
「おそろいのを買ったから、部屋に飾っておきます」
「そう」
「先生はこういう写真撮ったことありますか」
「そういえば長野で撮ったことがある」
「見たいなぁ」
「どこかにあるはずだが、わからないな」
「今度見せてくださいね」

倫子はもう一度デスクの上の写真を見た。

「なんか、うれしいですね」
「なにが?」
「一緒にがんばってるなって感じで」
「一緒に、か」
「はい。先生の白衣姿もすてきだし」
「そうかな」
「そうですよ!」

『先生のデスクの上に、私の写真がある。。。
邪魔者はいろいろ写っているけれど、この際、よしとしなくちゃ』
倫子は考えていた。

写真は撮ったものの、その落ち着き先を考えねば(何もそこまで)。。。暴走してるな。