時折。。。時折なのだが、先生の視線が一点に止まるときがある。
あまり、先生は私と顔をあわせようとしない。
それでも向かい合って食事をしたりしているときなど、
私の顔から視線がおりて視線が止まる。
それは、あのネックレスだった。
視線が止まるのはほんの一瞬で、少し微笑んだかと思うとすぐに視線を外すのだ。
その視線に私が気づいているなんて、先生は知らないだろう。
うつむいて微笑むその顔を、私がとても好きだなんて。
今日、病院で、先生の視線が私の首元で止まった。
当然のことだが、勤務中はネックレスを外している。
そのとき、先生は一瞬不思議そうな顔をして、そして少しうなづいたかと思うと、
何事もなかったように仕事の顔に戻った。
そして、今、ソファで隣り合っている今、先生の視線がネックレスに止まった。
『気になりますか?』
聞いてみようかと思ったが、きっと照れてしまうだろうから、やめた。
気にかけてくれている。
それで十分だった。
そして、私が身に付けていることで、きっと先生にも幸せをあげられる。
幸せ、だなんて大げさだけど。
だって、先生はとてもうれしそうだから。
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