倫子は玄関のドアの外でしばらくドアの前に立ち尽くしていた。
自分で出て行けと言わんばかりの突き放し方にひどくショックを受けたが、
倫子はその場を立ち去れないでいた。
『君の思っているような人間じゃない』
そう直江は言った。
先生が抱えている何か。
それを私は感じたのに、先生は私を拒絶する。。。つらかった。
直江は、倫子の言った言葉を思い返していた。
不思議なことに、一言残らず覚えている。おかしなものだ。
『そばにいたい』か。。。
思いつきだけの言葉でないことは、直江にもわかる。
あのときもそう言っていた。
彼女はオレの本質を感じ取ったんだろう。
だから、自然とああいう言い方になったんだ。
どうして言わせてしまったんだろう。
しかし、これでよかったのかもしれない。
彼女が何か言い出せば、オレも言わざるを得なかった。
。。。関わらなければよかったんだ。
そうすれば彼女もオレもつらい思いをしないですんだのに。
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