「なんか不思議ですね」
「なに?」
「先生と飛行機に乗ってるなんて」
「そうだな」
「なんかドキドキします」
「そう?」
「うれしくて昨日はほとんど寝られませんでした。先生は?」
「寝た」
あっけない返事が返ってきた。
『先生にしてみたらなんでもないことなのかな』
そう思ったとき、直江があくびをした。
『本当は寝てないんじゃないかしら』
「先生、お休みになったら」
「君こそ少し寝たら」
倫子の頭がもたれかかってきた。
「じゃあ少しだけ」
「ん」
「重くないですか?」
「大丈夫」
しばらくすると、肩に重さをずしりと感じるようになった。
。。。眠ったらしい。
『さっきからしゃべりどおしだったしな』
直江は倫子の胸元に輝いているネックレスを見ながら微笑んだ。
−数分後−
『あら、お二人ともお休みなのね』
とおりがかったCAが二人に一つのブランケットをかけた。
二人を見比べ、倫子が微笑みながら眠っているのを見て彼女は思った。
『きれいな方たち。うらやましいな』
そのとき、倫子が目を覚ました。
「あ、起こしてしまいましたか。申し訳ございません」
「いえ。ありがとうございます」
「もう一つお持ちいたしますか? 寄り添ってお休みになられていたので一つだけお持ちしたのですが」
倫子が直江を見ると、なるほど直江も眠っていた。
「いえ、このままで」
倫子はブランケットを直江にかけて微笑んだ。
『寄り添って一つのブランケットか。。。ふふ』
CAに見られたことは内緒にしておこう、と倫子は思った。
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