6.細胞分裂の観察

− タマネギの染色体数は?−

目的
植物細胞の細胞分裂を観察する。

実習の手順
(1)タマネギを水に浸して根を先端から1cm採取し,カルノア液(アルコール:酢酸=3:1)で固定する(10分)。

(2)60℃の1規定塩酸に5分つけて解離する。←以前「10分」と書いてありましたが,長すぎます。
(3)シッフの試薬に入れ,フォイルゲン反応で染色(数分以上)。 --------ここまで事前に準備
(4)染色された根端をスライドガラスにとり,よく染まっている先端部だけを残してあとは捨て,先端部を柄付き針でよくほぐす。
(5)45%酢酸,または酢酸オルセインを一滴かけ,カバーガラスをかけて,柄付き針の弾力を利用して,さらに細胞を広げる。
(6)ろ紙ではさんで,左右の親指を重ねて,体重をかけるように押しつぶす。
(7)検鏡する

指導のポイント
(1)材料には,食用のネギの下端3cm位を鹿沼土に挿して十分に水をかけて発根させたものも使える。(2n=14)
(2)大量に根端を固定して数日後に使用する場合は,固定後,アルコールシリーズで70%まで濃度を下げて,冷蔵庫で保管する。
(3)解離は時間が長過ぎると細胞が崩れてしまう。染色体数を数えるなど,染色体を観察したいのなら長めにする。冷水に流し出すことで解離を停止させる。
(4)細胞をなるべくよく広げることが,うまく観察するポイントになる。押しつぶす前の段階では,細胞の固まりが見えなくなるぐらいに広げる。

材料と染色液について
タマネギは市販のものを皮を向いて低部を水につけておくと,1週間以内に多数の根が出る。種子から出た根より太く,扱いが楽。ニンニクでも可能。タマネギよりさらに安価に大量にすみやかに根をとることができる。ニンニクは,市販のものをばらし,皮を向いて串刺しにして,底部を水につけておく。
染色はフォイルゲン反応が確実できれい。酢酸オルセインや酢酸カーミンは作って2〜3年で急に使えなくなる場合がある。シッフの試薬も毎年塩基性フクシンから調整する必要があるが,確実で,写真のように細胞質はほとんど染色されないままで,染色体の輪郭がはっきりする。




400倍に拡大した視野に4つの時期の細胞像がみえます。



分裂中期と後期の細胞が並んでいました。ピントを変えながら染色体数を数えると,中期の細胞にも,後期の細胞の一塊にもそれぞれ16本の染色体があることがわかりました。


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