目的 植物細胞を高張液や低張液に浸した時,どのような現象が起るかを確認する。
実習の手順 (1)ユキノシタの裏面の表皮細胞を小さく切り取り,0%,5%,10%,15%の各スクロース溶液に5分以上を浸す。 (2)スクロース溶液から引き上げた表皮細胞をそれぞれの溶液で封じてプレパラートを作り細胞の様子を観察する。 (3)原形質分離が観察されたプレパラートで,カバーガラスの横にろ紙を起き,その反対側に蒸留水を滴下して,原形質復帰を観察する。
指導のポイント (1)各溶液に専用のスポイドを用意するなどして,濃度が変化しないように留意することを注意する。 (2)プレパラートを作る際には,あらかじめ溶液を先に滴下し,そこに表皮細胞をおくと,試料が丸まらずにカバーガラスをかけることができる。 (3)ユキノシタの表皮細胞の浸透圧は10%スクロース溶液よりやや低張であるが,すべての細胞の浸透圧が等しくないことを観察により気付かせる。(10%ではほとんど原形質分離を起こしてしまうこともあるので,その時は中間的な濃度のスクロース溶液を準備する必要がある。) (4)アントシアンの濃さにも注目させる。 (5)アントシアンは液胞内にあることから,表皮細胞のほとんどの部分を液胞が占めていることを確認させる。 (6)プレパラートを放置したり,シャーレのふたをあけたまま放置すると,水が蒸発しスクロース濃度が高くなることを伝え,注意を喚起する。

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溶液の混合を防ぐため,各溶液のシャーレに色テープを貼り,同じ色テープをスポイトにも張り付けてある。
0%,5%では細胞が膨れているように見え,アントシアンの色も心持ち薄いように感じられる。10%では一部の細胞が,15%ではほとんどの細胞が原形質分離を起こしている。 |
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5% |
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