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【資料】政府の教育3法案は新自由主義と新保守主義を
全面化する悪法〜教育関連3法「改正」法案の重大な問題点
政府は3月30日、改悪教育基本法を具体化し、教育再生会議報告を実施する教育関連3法案を166通常国会に提出しました。3法は、「学校教育法等の一部を改正する法律案」「教育職員免許法及び教育公務員特例法一部を改正する法律案」「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案」の3つです。「改正」の理由に「教育基本法の改正を踏まえ」となっているのは学校教育法「改正」案だけなのに、文科省が作成した「法律案の概要」には3法案ともに「教育基本法の改正及び中央教育審議会の答申等を踏まえ」として、これらの法案が基本法の「改正」にもとづく法改定だということを強調しています。
3法案ともに、改悪基本法や教育再生会議報告を実施・具体化するものであり、安倍首相・政権がめざす新自由主義と新保守主義による「教育改革」という名の「教育破壊」を推し進めるための全面的な改悪法案です。特に、学校教育法の「改正」法案は「一部を改正」するなどというものではなく、根本的に教育のあり方を変えてしまう前面改悪になっています。また他の2法案も政府・文科省による教育の国家統制をすすめるシステムづくりの意図を露骨に表した内容になっています。
1.学校教育法改悪法案の主な問題点
改悪基本法は、子ども・国民のための教育から国家のための教育に180度大転換する法律ですが、学校教育法「改正」法案は、その国家のための教育を全面的に具体化する内容です。まず法案の章立てを変えています。現行法が「第1章総則」「第2章小学校」「第3章中学校」「第4章高等学校」と続き学校種の最後が「第7章幼稚園」でしたが、それを「第1章総則」の次に「第2章義務教育」を新設し、第3章に「幼稚園」をもってきて、「第4章小学校」「第5章中学校」「第6章高等学校」の次に「第7章中等教育学校」「第8章特殊支援教育」を新設しています。
そして、「義務教育」の目標に改悪基本法第2条に盛り込んだ国定の道徳目である「規範意識」「公共の精神」「生命及び自然の尊重」「伝統と文化の尊重」「我が国と郷土を愛する態度」「国際社会の平和と繁栄に寄与する態度」「家族と家庭の役割」などを規定しています。これによって、「教育の目標」が現行法の学問の成果を教え学ぶことから国定道徳を教え学ぶことに転換することになってしまいます。さらに、「義務教育」が各学校種の前におかれたことによって、各教科の目標の上位に国定道徳が位置づけられています。
「幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎」と位置づけられ、「規範意識の芽生えを養う」ことが目標になっています。
現行法では文部科学大臣が決めることができるのは「教科に関する事項」となっていますが、改悪法案はそれを「教育課程に関する事項」に変えています。現行法の「教科」は「教科名」のことであり、教育内容は含まれないというのが学説ですが、これを「教育課程」にすることによって、文部科学大臣が教育内容の決定権限を持つことを明文化することになります。これによって、文部科学大臣の教育内容の決定権限が無限に拡大されることになり、国家の教育統制はますます容易になります。
改悪基本法は、47年基本法の「能力に応ずる教育」を「能力に応じた教育」に変え、教育の機会均等から「能力別」教育(差別・選別教育)への転換をうたっています。これが改悪法案の高校教育に具体化されています。高校教育の目的を現行法と同様に「高度な普通教育及び専門教育を施すこと」としていますが、この文言の前に新たに「進路に応じて」という言葉を入れています。さらに「専門的な知識、技術及び技能を習得させる」ということも明記しています。これは、「進路に応じて」「高度な普通教育」と「専門教育」に高校の教育を複線化するということを明文化するものです。つまり、高校教育は今後、大学進学のための教育と高卒後の就職のための教育に2分化させるということです。
改悪法案は学校の組織と運営を変更するために、新たに副校長、主幹教諭、指導教諭の職を新設しています。これによって学校運営は、校長→副校長→主幹というラインによって監督・指揮が行われ、一般の教員は学校運営からは排除されて指導教諭の下で、文科省・教育委員会に従順にしたがって教育を行うだけの存在にさせられます。こうして文科省→教育委員会→校長→副校長→主幹というトップダウンの教育統制が行われることになります。
改悪法案は新たに「文部科学大臣の定めるところにより」「教育活動その他の学校運営の状況について評価を行ない、その結果に基づき学校運営の改善を図るために必要な措置を講ずることにより、その教育水準の向上に努めなければならない」と規定し、さらに「教育活動その他の学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとする」と定めています。これによって、文部科学大臣が全国いっせい学力テストを学校の評価方法と定めれば、全国学力テストへの参加が学校に義務づけられ、さらに、テストの結果情報の提供も義務付けられることになります。
2.教職員免許法など改悪法案の主な問題点
教員免許に10年の有効期限を設け、10年目に講習を受けさせ、講習が終了したと認定されれば免許を更新できるようにする、としています。講習で認定されなければ教員免許は失効して職を奪われることになります。さらに、「指導改善研修を命ぜられている者は、免許更新講習を受けることができない」と定めています。「指導改善研修」というのは、教育公務員特例法の改悪法案に盛り込む「指導が不適切」と認定された教員に「指導改善研修を実施」するというものです。「指導改善研修」は「1年を超えてはならない」とし、研修終了後に認定を行い改善がみられない、「指導を適切に行うことができないと」と認定されれば免職になると定めています。つまり、「指導力不足」「不適格」教員と認定されれば、免許更新のための講習も受けられないし、失業に追い込まれかねないということです。この制度によって、文科省や教育委員会に従順に従う教職員をつくる、逆に、「日の丸・君が代」強制に反対したり、「教え子を再び戦場に送らない」などと、「戦争をする国」づくりのための教育、競争至上主義の教育に反対したり抵抗する教職員は学校現場から排除するねらいです。
3.地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改悪法案の主な問題点
文部科学大臣が教育委員会に対して「是正の要求」や「是正の指示」ができるようにする規定をあらたに明記しています。「法令違反や怠りによって」「生徒等の教育を受ける権利が明白に侵害されている場合」(「是正の要求」)「緊急に生徒等の生命・身体を保護する必要が生じ、他の措置によってその是正を図ることが困難な場合」(「是正の指示」)という制限をつけていますが、しかし、法律ができれば、この文科相の教育委員会への命令・指示は大きな効力を発揮し、しかも、「是正の要求」は「教育委員会が講ずべき措置の内容を示して」となっていて、踏み込んだ介入を可能にしています。国の地方教育委員会への支配・統制が容易になることは明らかです。なお、現在でも文科省からの「通知」はおろか「事務連絡」さえも「通達」と受け取る教育委員会がほとんどである現状から見て、「要求」も「指示」も同じ効果をもつもと思われます。
「市町村は近隣の市町村と協力して教育委員会の協同設置等の連携を進め」として、小規模な自治体の教育委員会の統合をめざしています。これが行なわれれば、教育委員会は地域から切り離されることになりかねません。しかも、「平成の大合併」によって、合併を拒否した小規模な市町村は点在することになっています。その中で統合をめざすということは、結局、近隣の大きな自治体の教育委員会に吸収されることになってしまい、ますます地域と切断されてしまうことになりかねません。
教育委員会は独立行政委員会であり、合議制を原則としています。ところが改悪法案は、一定の問題について教育長に権限を委譲することを定めています。合議制の原則が崩れて教育長への権限の集中化が進むと思われます。
また、私立学校の教育について、都道府県知事が、当該の都道府県教育委員会に対して、「助言又は援助を求めることができる」という規定を新たに設けました。これは、私学に対して、知事や教育委員会が介入できるようにするものです。改悪基本法は「私立学校」の規定を新設し、第2条の「国を愛する態度」などの「教育の目標」は私学にも適用されるとしています。もし、私立学校が建学の精神を理由に「日の丸・君が代」を実施しなかった場合は、この改悪法案によって「助言・援助」の名目で介入することが可能になります。
以上に見ただけでもこの教育3法案が日本の教育を大きく変えてしまう悪法だということは明らかです。なお、この教育3法改悪のねらいや背景、教育再生会議報告や中央教育審議会答申との関係などについては、ぜひ、新刊ブックレット『「改正」基本法で教育は「再生」できるか』を参照してください。
与党が「教育再生特別委員会」設置を提案
与党は、教育関連3法の改悪法案について衆議院に特別委員会を設置して審議するように提案しています。通常、こうした法案は文部科学委員会で審議されますが、文科委員会では週2回しか審議できません。この3法案は安倍首相の重点政策法案なので、毎日でも開ける特別委員会の設置して短期間にスピード審議をして成立させるねらいです。しかも与党は改悪法案について、一つひとつの法案ごとではなく一括して審議することを提案し、4月中に衆議院を通過させ、何としても通常国会で成立させることをねらっています。
改憲手続き法の審議でも同様ですが、政府・与党がこんな乱暴な国会運営をがむしゃらに進めているのには理由があります。7月に参議院選挙があるために会期の延長ができません。しかも、参議院議員の半数か改選されるために、会期内に成立しなかった法案は継続審議にはならずに廃案になってしまいます。もし、安倍首相が最重要法案だとする改憲手続き法案や教育関連3法案が廃案になれば、政権にとって命とりになりかねません。
与党が提案している特別委員会の名称は「教育3法特別委員会」ではなく「教育再生特別委員会」です。安倍首相の「教育再生」の名による「教育破壊」の意図をそのまま委員会の名前にまで使うということです。しかも、自民党は歴代文部大臣・文部科学大臣を委員にする予定で、党内の「実力者」を集めて審議をリードし、数の力によって押し切ろうとしています。
野党側は、文部科学委員会で審議すべきだと主張し、特別委員会の設置に反対しています。そのため、本稿執筆中の4月12日現在では特別委員会の設置は決まっていません。しかし、与党は数の力によって特別委の設置を強行するものと思われます。
教育関連3法の改悪法案に反対する活動を!
現在の時点で、野党の議員の中で教育関連3法案の危険な内容を理解しているのは、共産党・社民党の議員と民主党の一部議員くらいです。また、国民の中にもまだ法案の内容やその危険なねらいなどはあまり理解されていません。マスコミも踏み込んだ報道をあまりしていません。このままでいけば、法案の危険な内容やねらいが明らかにされないまま、政府・与党によって、短期間の審議で成立させられてしまうおそれがあります。
私たちは、教育基本法改悪阻止の運動に準じるような取り組みを急速に進めなければなりません。教育基本法改悪阻止の活動と同様に、FAXや手紙・ハガキなどによって全国各地から特別委の国会議員に働きかける必要があります。特別委員会が設置されたらできるだけ早く委員名やFAX番号などの一覧表を作成しますので、「子ども・教科書ネット」の事務局に問い合わせてください。それと結合して国会での活動も重要になります。国会での活動としては、「子ども・教科書ネット」は教育基本法の時と同様に傍聴活動に取り組みます。傍聴を希望される方は「子ども・教科書ネット」事務局にご連絡下さい。
(子どもと教科書全国ネット21「事務局通信」NO.47より)
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