Home


 ローコストについて・・・ただ安いだけではなく

ただ値段が安いだけならば、いくらでもバラックのような建築・住宅を作ることが可能になってしまいますが、それをローコストな建築・住宅とは、呼べません。ローコストな建築・住宅とは、ただ安いだけではなく、必要な性能を確保し、不必要な部分を削り取った、コストパフォーマンスの良いものでなくてはなりません。

ローコストな建築・住宅が好きです。理由は3つあります。

理由1

もし私たちが施主の立場になったとしたら、ローコストであること、あるいはコストパフォーマンスが良いことは、どうしても外すことの出来ない切実で大事なテーマになるだろうと思っているからです。また、切実で大事なテーマをお互いに共有しあえるならば、きっと良い設計が出来るに違いないと考えているからです。

理由2

私たちは素直でシンプルな構成の建築・住宅が好きです。作家吉行淳之介の言葉で「はやりの文体から古びてゆく。」というのがあります。長い年月を経て、時の重みに耐えなければいけない建築・住宅にとっても同じ事が言えると思います。流行の装飾とか、見せかけのための形態を、付け加える事のないローコストな建築・住宅が好きです。

理由3

ローコストであることは、素材やデザイン、設備や構造までも含めて、求められている条件は何なのか、必要とされている性能は何なのかを、もともとの判断基準から問い直し、存在理由を顕在化させる良い契機なのだと思います。自分自身にとってどうしても必要だと考えられる、存在理由の確かな判断を積み重ねる事によって、結果的に付け加えられた個性ではなく、生み出され方や、各種の性能の確保のしかたや、構造的な存在の在り方、そのもが個性的なデザインとなる建築・住宅がコストパフォーマンス良く生み出されるのだと思います。そのようにして生み出されるローコストな建築・住宅が好きです。

柳宗悦が書いた「工人銘」の中に「作為は美の殺戮なり。用途より遠きものを作るは罪なり」とあります。私たちの好きな言葉です。無駄なもの、見せかけだけの物がない、ローコストなコストパフォーマンスの良い建築・住宅は、本当の快適さへの近道だと考えています。


Home