それからわたしたちは

東直子



そのひとはだまって腕を組んだ
冷静なひとを
わたしは憎んだ

それからわたしたちは
凍りつくような道路に
同じ色の息を吐きながら
星をみた
車から
屋根のない車から

手を伸ばしても
その胸の下に心がないとしたら
どうする、
とは言わなかった
だから

それからわたしたちは
つめたい指を確認して
もうなにも
考えない
と思った
のは
わたしの方だけかもしれないけれど

きれい
ほしがきれい
きれいきれいきれいきれいきれい
たいせつなものがわからなくても
きれい


(初出:短歌メーリングリスト)


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