※バランスをくずした大道芸人(リオデジャネイロ)
illustration:kumiko kobayashi
平原にくじらの骨がささってる 骨をたたいて草の実おちる
アパートはオリサンガ通り目印の日曜大工店を左に
ひっそりとサンパウロの夜いなずまの透きとおるほどはかない放電
つややかな裸体はりんりん春をきり荷馬車の馬はビルの森いく
ものすごい夕やけ紅い屋根の上うれしくてとぶ二羽の鳩たち
この街と話をしたいこの街と寝てこの街に溶けていきたい
写真家とカテドラルから楽器店のオペラがひぴく旧市街まで
林檎飴を「愛の林檎」とよんで売る移動遊園地の小さな温雅
つなぐ手をちょっとはずしてはめてみるさそり・がいこつ・こぶらのゆびわ
樹とあそびもうすぐやんでしまおうと小雨は風にのって南へ