タンク・タンクローについて

タンク タンクロー 阪本牙城

●タンク・タンクローは、子供漫画のスーパーマンのハシリだと言われる。そうかも知れない。彼は、まん円い鉄の玉っころの中にいる。その中から、都合のよい時に、都合のよいものが飛びだすので、そのたびに子供たちが拍手を送ってくれるのである。 鉄の玉の中に何があるか筆者も知らない。知らないところが科学の世界だと思っている。アポロ11号みたいなものだ。月面に降りた航空士が、カンガルーのまねをしておどけてみせたユーモアこそタンクローの世界だと思っている。(著者が語るタンク・タンクロー)

●昭和7 年(1932 年)から戦争中まで、小学三、四年向きの雑誌「幼年倶楽部」に連載された阪本牙城のマンガ「タンク・タンクロー」は、なんでもできる万能人間という夢を、とほうもなくむじゃきにくりひろげたものである。子どもたちは、タンクローの鉄の玉の中からこんどはなにが現れるかに胸をワクワクさせながら読みつづけたのだった。 (朝日新聞 子どものアイドル タンク・タンクロー佐藤忠男氏執筆の記事より抜粋)

●タンクローの活躍は、バケモノ街道に住む悪坊主を退治し、ワルモノ横丁の泥棒をこらしめ、黒カブトの率いる敵軍と秘術をつくして戦うなど、連続活劇そのものである。タンクローを助けるのはお猿のキー公だ。毛が三本たりないためか、やたらに失敗するが、話もまたそれでおもしろくなってゆく。吹き出しのセリフは「ボクハ、タンク・タンクロートイフ、ガウケツデゴザル、コレカラ、ウントアバレルノデゴザル」といった調子の片仮名表記だったが、次第に五七五調のせりふまわしが増え、童謡でも読むようなリズミカルな味が加わる。 (サンケイ新聞  なつかしの名作博覧会 タンク・タンクロー 尾崎秀樹氏執筆の記事より抜粋)

タンク タンクロー
講談社(大日本雄弁会講談社)昭和10 年 単行本208 頁 内容の一部をご紹介 PDFファイル 1MB こちらから