バンコクのマッサージ嬢に気に入られ、朝4時までクラブでどんちゃん騒ぎ

「もう楽しくてしょうがない!」

4日目(99年12月13日月曜日)&5日目(帰国)

昨日の疲れも抜けないまま、出発40分前にモーニングコールで起床。
今日は起きられないだろうということで、初めから朝食は諦めていた。さすがに飛行機に乗り遅れたら洒落にならんと思い、身支度を整えて部屋を出る。この部屋とも、とうとうお別れだ。“デラックス・スウィート”などとたいそうな名前に、多少がっかりさせられたところもあるが、まあ、満足は出来た。

ロビーに行くとナトゥが待っている。今日は他の団体と一緒に空港まで行くらしく、さらに俺達が最後だというので、チェックアウトを早くと急かされた。まあ、もちろん、まじめに仕事の話だけで終わる訳がなく、
「昨日はどうしたの?電話待ってたのに」
と言うので、
「昨日は飲んだけど、始まりが遅かったし、すぐ別れたから、来なくてよかったよ。」
と言ったのだが、納得いかないらしく、すごく残念がっていた。
チェックアウトを済ませ、車に乗り込む。一緒の団体は、おじさん、おばさんの4人組だった。ホテルを出発後、50分ほどで空港に到着し、手続きを済ます。搭乗まではまだ時間があるみたいなので、空港内で暇をつぶすことになった。
ナトゥが次の仕事のため帰らなければいけないので、一緒に記念撮影。どうしようもなく女好きだったけど、いい奴だった。いろんなことを教えてくれたり、いろんな所に連れてってくれたり、ほんとに感謝している。ガイドというよりは、友達みたいな感じだったので、ほんといろいろ頼みやすかったし、気を使わなくてよかったので、接しやすかった。たかが3日間一緒に行動しただけだったけど、別れる時はちょっとブルーになってしまった

ナトゥと別れた後、時間まで暇つぶし。喫煙場所が空港内にないので、外に出ると、さこちゃんとばったり会った。
「昨日はごめんね。体調がよくなくて」
「いやいや、全然」
と昨日のことを話したのだが、他の女と飲んでいたと言うことは、一応、伏せておいた。取りあえず、バンコクまで一緒なので、行動を共にすることにして空港内へ、そして時間どおりに搭乗。席は行きと同じく、また窓側だったのだが、さこちゃんとは違う席になった。
さて、とうとう離陸。いよいよプーケットともお別れである。海外のリゾート地へは、今回が初めてだったのだが、すごく楽しく、満足度100%だった。でも、当分、自分で金を払ってリゾートに来ることはないだろう。だからその代わりに、ぜひ、もう1度当たって欲しいものだ。

バンコクまでは1時間のフライトなので、寝る暇もなく到着してしまった。さこちゃんと夕飯でもと思ったのだが、彼女はこれからアユタヤに行くと言うので、じゃあ、日本で機会があったら会いましょうと約束して、空港の外で別れた。
荷物を探して、ガイドと合流し、待っていた車に乗り込む。車には既に朝、同じ車で空港まで行った、団体が乗っていた。どうやら、同じホテルに泊るみたいである。
予定表には終日自由行動と書いてあったので、ホテルに行くのだろうと思いきや、ガイドがこれから観光に行くと言い、スケジュールを説明し始めた。「え?話がちげーよ!」とかなりむかついたのだが、ジタバタしてもしょうがないし、ガイドを困らせるのもかわいそうなので、素直に諦めることにした。でも、今回は俺が最も嫌いなパターンの旅行。行動予定を決めていただけに、ショックはでかい....ツアーなんて、行く場所は決まってるし、見る時間は限られてるし、団体行動しないといけないし、おまけに行きたくもない免税店には連れて行かれるし、何にもいいことない!まあ、それがツアーなんだから、と言われればそのとおりなのだが....
最初のスケジュールは時間も昼時になっていたので、ホテルのレストランでランチ。メニューは和・洋・中・タイ料理となんでも揃っているバイキング形式で、少しタイ料理に飽きていた俺達にはちょうどよかった。約1時間の休憩。俺としては半日しかバンコクを周る時間がないので、さっさと出発したかったのだが、なんせ、一緒の団体が年配の方ばかりの4人組。それに、あくまでもツアーということで、時間の都合は効かないとここで覚悟した。
ゆっくりと休憩した後、ようやく観光にスタート。時間は既に13:00である。後4、5時間しかないので、周るところは、有名な場所のみ。具体的には、王宮、ワット・プラケオ→ワット・ポー→ワット・アルンというスケジュールである。
まずは王宮、ワット・プラケオに向かう。バンコクの交通渋滞は有名らしいのだが、ほんとに通る道、通る道、混んでおり、よくもまあ、平日の昼間からこんなに混むもんだと、イライラするのも通り越して、逆に感心してしまった。
20分後に王宮に到着。早速、中へ入ろうとしたのだが、半ズボンはダメということで、汚い長ズボンを借りて中に入った。中に入ると、テレビで見たことのある建物がたくさん。ほとんど全ての建物が、金ピカで「こんなに贅沢して、いいな....」と思わず、羨ましく思ってしまった。

いつも旅行に行くと、ゆっくりと1つ1つの建物を見て周るので、今回も1つずつじっくりと見て周るつもりだったのだが、今回のガイドはとにかくせわしない。今後の予定のことも、もちろんあるのだろうが、何を言ってるのか分からないぐらいのスピードで建造物の説明をし、「はい、写真を撮る人、撮ってあげますよ。はい、カメラ貸して」と半ば強引に写真を撮ろうとする。「なんだよ!もう、ほっといてくれ!これだから、ツアーは嫌なんだよ....」とまた同じことを思いながら、なるべく迷惑をかけない程度に自分のペースで周るように心がけた。途中からは、さかもやガイドのことなど気にもせず、自分の世界に入り込み、比較的自分のペースで見学。満足のいくほど時間をかけて見ることが出来たわけではないが、取りあえず、ワット・プラケオの「エメラルド・ブッダ」、ワット・ポーの「リクライニング・ブッダ」と有名どころはしっかりと見ることが出来た。
王宮、ワット・プラケオ、ワット・ポーと立て続けに見た後は、船でチャオプラヤ川を渡り、ワット・アルンへ。
川を挟んで見るワット・アルンはすごくきれいで、どこか神秘的な感じがする。ワット・アルンはご存知のとおり、三島由紀夫の小説の題材になった“暁の寺”と呼ばれる寺院。それほど大きい建物ではないし、見所がある訳ではないのだが、建物の上の方から見える、チャオプラヤ川の対岸の景色がすごくきれいで、ついつい長い時間、見入ってしまった。
予定では、ワット・アルンを見て観光地巡りは終わり。この後は辛い、辛い免税店巡りである。ほんとに免税店巡りなどなくなってしまえばいいのに これほど無駄な時間はない!買い物に行きたい奴は勝手に行けばいいのだ!!まあ、こういうことも含めて、安いツアーが成り立っていると言われれば、全くもってそのとおり。返す言葉もないのだが....しかし、2,3時間も無駄にしてしまうとは、もったいな過ぎる....。
まあ、どれだけ愚痴っても状況が変わるわけでもなく、車は目的地に向かって、渋滞の中をトロトロと走っていく。予定では宝石店と伊勢丹に行くそうだ。
とうとう、渋滞につかまり車が止まってしまった。距離的にはまだ少しあるらしい。後部座席には年配団体。この団体、会話というものがほとんどなく、車内に重たい空気を漂わせている。そんな空気を読んでか、ガイド(以後シリさん)がマイクで歌い出した。シリさんは最初、せわしなくて、スケジュールどおりに淡々と仕事をこなすだけの、嫌な感じのおっさんという最悪の印象だったのだが、時間が経つにつれ、いい人だと思えてきた。ちょっとうざいぐらいに、何事に対しても、きちっきちっとしているのだが、それは単に真面目で、一生懸命なだけなのだ、と思えるようになった(というよりは、思うようにした)。
昔、日本の大学に通っていたらしく、日本の歌を得意気に歌っている。少し寒かったのだが、一生懸命なので、俺とさかもで盛り上げてやった。まあ、調子に乗せ過ぎて、8〜9曲と歌い続けた時はどうしようかと思ったが しかし、この間、年配連中はうんともすんとも言わなければ、手拍子の1つもない。せっかくシリさんが場を盛り上げようとがんばっているのに、ちょっと冷た過ぎんじゃないの?と無性に腹が立った。
十数分後に宝石店に到着。さかもは彼女用にお土産を探していたが、俺は全く興味がないので、椅子を探して休憩。疲れから、少しの間、爆睡してしまった。さかもが買った後、店を出て次へという予定だったのだが、全員がもう充分、早くホテルに帰りたいという意見だったので、伊勢丹には寄らずにホテルへ向かうこととなった。
今回、バンコクで泊るホテルは「モンティエンホテル/THE MONTIEN HOTEL BANGKOK」。有名な“パッポン通り”の目の前にある、結構いいホテルだ。まあ、部屋はプーケットの時に比べれば劣るが、全然問題ない。チェックインした後、すぐに部屋に荷物を置いて、夕飯を食いに行くことにした。行く前に、シリさんからこの辺りの地理と、遊べる場所を情報収集。もういいよ!ってぐらい、いろいろと教えてくれた。シリさんとはこれでさよならなので、一緒にホテルのロビーで記念撮影をして、バイバイ。やっぱ、いい人だった。
夕飯は日本を出発する前に、このホームページ管理人の田中さんにオリエンタルホテルのチャオプラヤ川沿いのテラスレストラン/Riverside Terraceがいいと言われていたので、そこで食べることに。
シリさんいわく、オリエンタルホテルまでは距離があるので、タクシーで行った方がいいと言われたのだが、地図で見ると歩いても行けそうなので、お土産を探しがてら、のんびり歩いて行くことにした。
取りあえず、目の前の“パッポン通り”にお土産を買うために向かう。この通り、道幅が狭いのに加えて、道の真ん中にたくさんの店が並んでおり、歩くのに窮屈だ。まだ、18:00ぐらいだったので、それほど人がいなかったにも関わらず、通り抜けるのに一苦労。その上、怪しく、危険な雰囲気がプンプン漂っている。夜になると、今とは比べ物にならないほどの人で溢れかえるらしい。渋谷のセンター街が嫌いな俺にとっては、最も苦手な場所だ。当然、ここでは何も買わず、さっさと通り抜けた。
オリエンタルホテルへ行くには、“スリウォン通り”という通りを真っ直ぐである。この通りは土産物屋も多いというので、土産探しにはもってこいだ。家族や会社への土産は帰りの空港で簡単に済ませばいいやと思っていたので、今回は友達への土産探し。求めるものは、安くて、ださいのだが、センスがよく、そしてタイの土産だと一発で分かるものだ。
結構、時間をかけて探したのだが、なかなかこれといったものが見当たらない。ぼちぼち、ホテルも近くなってきて、さかもとどうする?と話していた時、パッと目に飛び込んできたものがあった。それは、ムエタイのボクサーパンツ!見た限り、いかにも安っぽく、かなりださい。でも、そこが、めちゃめちゃかっこいいし、何より短パン代わりになるので実用的だ。「これこそ俺達が求めていたものだ!」と、店のおっさんと即交渉。最初は1着600バーツだったのだが、赤、青、黒、緑と4色全て買って、全部で800バーツにまけさせた。(実際、帰ってきてからこの土産は大好評。もっと買ってくればよかったと後悔した)
「いい買い物をした!」と超ご機嫌でオリエンタルホテルに到着。腹も減ったので、さあ、飯、飯とホテルの中に入ろうとしたのだが、何だか様子がおかしい。そう、この辺り一帯、真っ暗なのだ。ボーイさんに尋ねると、何と停電。もちろんその影響を受けて、レストランも21:00近くにならないと、オープンしないという。仕方ないので他を探すが、この辺は全滅なので来た道を戻ることにした。

帰る途中にオープンテラスのいい感じの店があったので、「ここでいいか」と簡単に決めて中に入った。レストランと思いきや、中に入ると単なるビアガーデン。まあ、こっちに来てから生ビールというものを飲んでないし、最後の夜だからパーっと騒ごうということで、飲みまくることにした。
お金を払ってビールを頼もうとすると、何だかよく分からんけど、ダメだというジェスチャーをする。店の女の子が、まずチケットを買ってからと英語で教えてくれて、ようやくビールにありつくことが出来た。
この親切に教えてくれた女の子、俺達が日本人だと分かると、俺達に興味津々。なかなかいい感じの子なので、話してみると、今、日本語を勉強中だという。
「なんで日本語を勉強してるの?」
と聞くと、
「日本に行きたいから。」
という回答。さらに
「何で?」
と聞くと、
「日本に行けばたくさんお金がもらえるから。」
と言う。タイでは日本は、欧米諸国よりも、金銭的にすごく魅力的な国なのだそうだ。いつも、自分は今の生活水準が当たり前だと思っているが、実はすごく恵まれた環境で暮らせているのだと言うことを、意外なところで実感させられてしまった。(まあ、酒を飲むまでの数分間の間だけだったけど....)
その女の子は、その後も、店にいる間中ずっと、これがおいしいとか、あれがおいしいと、すごく親切に色々と教えてくれ、また、久しぶりに飲む生ビールもおいしかったので、調子に乗ってガバガバと飲んでいると、いつの間にかいい気分。さかもは彼女のことが相当気に入ったらしく、ろくに席に座りもせず、飲んでは話に行き、食っては話に行きとせわしなく動き回っていた。

22:30ぐらいになって、女の子があがると言うので、じゃあ、ぼちぼち俺達も行くかと店を出ることにした。メールアドレスを持っていると言うので、住所も一緒にお互いに交換。「メール出すから。手紙書くから。」「日本に来る時は連絡して。案内するからさ。」ってな具合に、片言の英語で会話をして、バイバイした。
最高に気持ちのいい状態で、店の外へ。次はホテルの近くのタイ式マッサージに行こうと話していたので、ホテルへと戻る。さかもは相当気持ちがいいらしく、こっちが恥ずかしくなるぐらい、はしゃぎまわっている。ついには、行きに買ったボクサーパンツをはくと言い出し、路上でズボンを脱ぎ、着替え始めた。着替え終わると、後はさかもの独壇場。通りすがる人に笑われているのが逆に彼を調子に乗せてしまったのか、ただ歩くだけじゃもの足りず、キックボクサーの真似まで披露。こっちはあまりの恥ずかしさに、酔いも覚め始め、仲間だと思われたくなかったので、非情にもさかもを置いて、早歩きで奴との距離を取った。

ふと、時計を見ると時間は23:00近く。23:00にマッサージ店が閉店してしまうため、これでは間に合わんと思い、ボクサーさかもを呼び戻しタクシーを拾った。モンティエンホテルと行き先を告げ、取りあえずは間に合うだろうと一安心。しかし、なぜかタクシーは自分達が思っている方向とは逆の方向に走っている。やばい!いんちきタクシーだ!と思い、文句を言おうとしたのだが、3分もしないうちにホテルの前に到着。そう、ただ単に、酔っ払い2人は気付かないうちにホテルを通り過ぎていたのである。あほくさ
タクシーを降りて、急いでマッサージ店へと入る。まだ、大丈夫と言うので、全身マッサージ1時間コースを選んでお金を払った。このコースで1人280バーツ、約900円。こっちに帰ってきて分かったのだが、日本では1時間3,000円なんて看板をよく目にする。この時は漠然と安いなとしか思わなかったが、日本での料金を知って、いかに安かったかということが分かった。
部屋に案内され、パジャマみたいなものに着替える。これも、帰ってきてから知ったのだが、他の国では全裸というところもあるらしく、今回はラッキーだった。

少しして、マッサージをしてくれる女の子が入ってきた。結構、若い女の子だ。最初にお湯の入った洗面器で足を洗う。その後、仰向けになり、爪先から順々にマッサージをしていく。酒で感覚が鈍っているはずなのに、これは相当気持ちがいい。マッサージなんて、高校時代、部活が終わった後に後輩にやらせたぐらいで、こんなに気持ちがいいマッサージは初めてである。
あまりの気持ち良さに寝てしまいそうになるが、寝てしまったら、無意識のうちに終わってしまうと思い、ここはがまんした。ほんとにあっという間に時間が終了。まだ物足りないという感じがしたが、よくよく考えれば中身は濃かったような気がする。
これで、今回の旅行の予定は全て終了。後はホテルに帰って寝て、明日、日本に帰るだけのはずだったのだが、この後、最後の最後で今回の旅行で1番楽しかったイベントが待っていた。
今回、俺にマッサージをしてくれたおねーちゃん(そう言えば、名前を聞くの忘れた....)、どこがよかったのか分からないが、俺を相当気に入ったらしく、部屋に入ってくるなり
「おにーさん、おっとこ前ね〜」
と、いんちき臭い日本語を連発(隣の部屋では、「しゃちょーさん、よっぱらいね〜」という声が聞こえた)。そして、マッサージが始まると、後ろから抱き付いたり、終いにはほっぺにちゅーしたり、ベタベタ、いちゃいちゃと俺にやりたい放題(俺も好かれる分には嫌じゃなかったというよりはむしろ、うれしかったのだが....)。マッサージの終わりの方になると、これで仕事は終わりだから、飲みに行こうと誘ってくる。さすがにそこまでおいしい話が転がっている訳がないと、警戒心を強めて、取りあえずは「考える」と曖昧な返事をしておいたのだが、マッサージ終了後も、まだ飲みに行こうと強く誘ってくる。行きたいという気持ちは十分あるけど、どうしても警戒心が解けない。
さかもに
「どうする?」
と聞くと、さかもも
「行きたいけど、ちょっと話しがうますぎるかも?」
というので、パスすることにした。取りあえず正直に、
行きたいけど、まだ、君のことを信用できない。」
と返事をすると、目をウルウルさせて、部屋を出ていってしまった。女の涙に滅法弱い俺としては、それを見てあたふた、あたふた。もう1度さかもに
「やべーよ。泣いてたよ。どうする?」
と聞くと、さかもも実は、かなり行きたかったらしく、
「少しぐらいなら、いいか?」
と言うので、覚悟を決めて行くことにした。
「少しぐらいならいいよ。行こうか?」
と返事をし直すと、すごく嬉しそうな顔。よかった、よかったと、ほっと一安心した。しかし、女の涙はずる過ぎる。まあ、簡単にだまされる男が悪いと言えば、そのとおりなのだが....
俺とさかも、女の子とその友達の4人で外に出ると、店の人ほぼ全員が集まっている。てっきり4人で飲みに行くのかと思いきや、何と打ち上げみたいな感じで、みんなでどこかへ行くと言う。まあ、小人数で行くより、大人数で行く方が、ぼられるようなことはないだろうと少し安心し、みんなでタクシーに乗り込んだ。前の座席に2人、後ろに5人と超ギュウギュウ詰め状態で移動。乗ったはいいが、どんどんホテルから離れていくので、やはり不安になり、さかもに「大丈夫かな?」と聞くと、「う〜ん、大丈夫だろ」という返事。ノー天気なさかもは、大して気にしてないらしい。「まあ、いざとなったら走って逃げればいいよな?何とかなるだろ。」という意見で一致。いい加減、うだうだ言うのはやめて、覚悟を決めることにした。
10分ほどで目的地に到着。何となく、外見はディスコみたいな感じのところだ。中に入ると、ステージ上でバンドが演奏しており、広いフロアには、大きなテーブル席がいくつかある。踊れるような広いスペースはなく、ほとんどの客は座って飲んでいるのだが、中にはテーブルの周りのちょっとしたスペースで踊っている人もいる。まあ、日本で言うなれば、ダンススペースのないクラブといった感じだ。

まずは席に着いて、飲み物を頼んで乾杯。どうやらドリンクは、飲み放題みたいである。3分もしないうちに一緒に来たおばちゃん連中が踊りだした。でも、俺達はまだ、緊張感を解くことが出来ない。なんせ、辺りに外人は見当たらず、周りはタイ人だらけである。ここはバンコク近郊の地元民が来るところらしく、外人は俺達2人だけである。演奏しているバンドも、タイ語の曲ばかりで何を言ってるか分からないし、このバンド自体プロの歌手なのかどうかも分からない。ただ分かっているのは、俺達のテーブルだけ異常に盛り上がっていることだけだ。
ようやく雰囲気に慣れてきたところで「踊ろうよ」と誘われた。ふと周りを見渡せば、いつの間にか男女を問わず、友達連中が合流していて、俺達のテーブルはすごい数に膨れ上がっている。まだ少し圧倒される部分があったが、ここまで来て、遠慮していたらもったいないと思い、がんがん飲んで、がんがん踊ることにした。さかもは騒ぎ好きの性格上、かなり前から、うずうずしていたらしく、踊りだしたらすぐにエンジン全開。あっという間に、輪に溶け込んでいた。
1時間、2時間と時間が経つ毎に、お酒のペースも上がり、気分もよくなってきて、もう楽しくてしょうがない。少しだけと最初は言っていたが、もう完全に朝までペースである。
こっちの女の子はすごく積極的で、話をする時は絶対に目をそらさないし、手を握ったり、腕を組んだりと体に触れてくることも多い。日本人だからということもあると思うが、終始、ちやほやされっぱなしで、特にさかもは、はしゃぎ好きな性格と、ちょっとタイ人っぽい顔がうけて、モテモテである。
男の方はというと、女の子に比べるとおとなしいのだが、それでも、一緒に飲み始めると、言葉が通じないながらも、妙に打ち解けて騒ぎまくった。男の方も女の方も、基本的にお互い言葉はほとんど通じないのだが、そんなことは全然、大した問題じゃない。一緒に飲んで、一緒に騒いで、身振り手振りとノリで自分の言いたいことを伝えようと思えば、コミュニケーションを取ることなど、すごく簡単なことだと、今回、すごく実感した。
3:30をまわったところで、バンドの演奏が終了し、店も後30分で閉店。とうとう楽しい時間に終わりが来てしまった。お金の方はというと、最初は2人で2500バーツ(約7500円)と言われたのだが、おばちゃんの1人が2人で1000バーツ(約2500円)でいいよとまけてくれた。

外に出ると、タイとは言えども、夜中の4時なので、さすがにひんやりする。フィルムがまだ余ってたので、みんな記念撮影(上)。ほんとに最高にいい思い出の写真になった。

さてどうやって帰ろう?と考えていると、男の中の1人が
「俺はトゥクトゥク(タイ名物「オート三輪」のタクシー、写真右)の運転手だから、ホテルまで送ってやる」
と言う。なんて、いい人達なんだ!あまりのVIP待遇に感謝、感激(後から運賃はしっかり取られたのだが....)。会社がなければ、絶対に延泊するのにと思いながらトゥクトゥクに乗り込んだ。
みんなに見送られながら、先にホテルへ。別れる時は、ちょっとグッと来てしまった 電波少年でチューヤンがすぐ泣いていたのも、今なら少し分かる気がする。
ホテルに到着後、お礼を言ってバイバイ。ほんとに楽しい夜だった。結局、女関係は何もなし。俺を誘ってくれた女の子とは、名前を聞くのも忘れ、店の前でさらっとバイバイ。ツーショットぐらい撮っておくんだったとちょっと後悔した。
もう1人仲良くなった女の子がいたのだが、一緒に来ていた彼氏の視線が、彼女と一緒に踊っている最中ずーっと俺の背中に突き刺さっていて、何もすることが出来なかった。まあ、何もする気はなかったけど、一緒に写真ぐらいは撮っておけばよかったと、少し後悔。でも、彼氏はムエタイをやっているらしく、半殺しにされるよりはましなので、これでよかったのだろう。「うん、そうだ。これでよかったんだ」と、自分自身に言い聞かせ、納得?した....
フロントにキーをもらいに行くと、「これ?これ?」と小指を立てて、ボーイさんにからかわれた。「いやいや....」と愛想笑いをしながら部屋へ戻り、シャワーを浴びて、ベッドへ入る。もう、5:00近くになっており、眠くてしょうがないはずなのだが、気持ちが高ぶってて、なかなか寝付けない。まださっきの場所に気持ちだけ残っているみたいだ。ほんとに最後の最後で、楽しい思いをさせてもらった。みんないい人ばかりだ。誘われた時、頭から疑ってかかった自分が少し情けなく思った....。
これで今回の日程は全て終了。後は日本に帰るだけである。気持ちの高ぶりはすぐには押さえられなかったが、それ以上に体が疲れきっていたらしく、十数分後には爆睡していた。


帰 国

昨日の疲れを引きずったまま、6:30頃に起床。昨日あれだけ騒いで、なおかつ、3時間弱しか寝てないのだから、目が開かないのも当然だ。もちろん、朝食なんて食べられる訳がない。眠気と戦いながら、帰る準備をし、シャワーを浴びて、部屋を出た。
ロビーで、空港まで送ってくれる、おばちゃんのガイドと合流。すぐに車に乗り、空港に向かう。バンコクは相変わらずの渋滞。ちょうど、朝のラッシュ時だったので、昨日の渋滞とは比べ物にならない。でも、それも高速にのるまでの間だったので、出発時間に支障をきたすほどでもなかった。
空港に着き、手続きを済ませて、発着ロビーに入る。時間に余裕があるので、お土産を買うことにした。旅行に来ると、毎回、毎回、この時間が結構つらい。誰に?何を?と必ず迷ってしまう。「何でもいいや」と思うのだが、そうもいかず、「いっそのこと買うのをやめようかな」とも思うが、ますますそうもいかない。今回も結局、散々迷ったあげく、お菓子類を会社と家族に買っていくことにした。この時点で残りのバーツはほとんど0。なかなか、計画的な金の使い方だったと自分自身に感心してしまった。
時間になり、搭乗。今回は最後の最後で真ん中の席になってしまった。でも、そんなことは気にならないほど、疲れ切っていたので、離陸してすぐ深い眠りに....昼飯の時間に起きた以外はぐっすり。約7時間のフライトもあっという間だった。ちなみに、帰りの機内食はメインで魚と肉を選択。俺は大して食欲がなかったわりに肉の“トルネード・ステーキ”(すごいネーミング)を選択した(魚の方は何だか忘れたが、確か“タイ風〜”だったと思う)。味の方はと言うと、少し硬いけれども、行きの機内食のグリーンチキンカレーよりはおいしかったと思う。
20:00近くになり、成田に到着。やはり、周りで日本語が聞こえると、何となくほっとする。日本に着いて思い出したのだが、明日から仕事。あ〜、嫌なことを思い出してしまった....とにかく、疲れを出来る限り残さないためにも、早く帰らねば!
特に時間をかけることもなく、税関を通過。荷物を取り、駅の方へと向かう。いつも帰りは、普通電車でのんびりと帰ってくるのだが、今回は疲れ切っているのと、早く帰りたいの一心でスカイライナーの切符を買い電車に乗り込んだ。
昨日、はしゃぎ過ぎたため、あまりにも疲れ切っていて、旅の余韻に浸るどころではない。今はとにかく、家に帰って、風呂に入って寝たい。それだけである。スカイライナーで爆睡し、1時間後に日暮里に到着。さかもとはここで別れるので、「んじゃ、また。」とさくっと別れた。
1時間半後に家に到着。いやー疲れた、疲れた。でも、何事もなく、無事に帰ってこれてよかった、よかった。これで明日、仕事がなく旅の余韻にゆっくりと浸れれば最高なのだが、まあ、日程が日程だったので仕方がない。とにかく、明日に備えて、さっさと寝てしまおう。いやいや、しかしほんとに楽しい旅だった。




あとがき
HOME