4日目・帰国日(3月5日 火曜日)

帰国

この日は空港には12時過ぎに行けばよかったので、田中・上村組は香港の朝食の定番=お粥を食べに行きました。
地元色100%の食堂(写真左は典型的なお粥屋の店内)で食べましたが、私は白いプラスチックの容器に入った牛肉入りのお粥をオレンジ色のレンゲで食べましたが、牛肉が生だったので牛肉だけ残してしまい、牛肉粥を頼んだ意味が全くありませんでした(生の肉を熱々の粥で蒸焼きにして、完全に火が通った状態を待ってから、食べるのが正式のようです。つまり急いで食べるから、生肉でかつ、口の中を火傷するのです。以前にもコメントしていますが、問題はむしろ食器です。たまり水ですすぐだけの店は要注意。by畚野)。お粥の味は濃厚でおいしかったのですが、私は味より地元色の強い店の雰囲気が印象的でした。お粥は油條(お麩を油で揚げたようなものを輪切りにして食べる)を入れたものが最もシンプルで値段は9HK$〜10HK$/135円〜150円が相場、この他にピータン、魚、フカヒレ、あわび等のお粥があります(20HK$〜30HK$/300円〜450円)。

ホテルに一端帰り、出発まで今度は松原と街をぶらぶら。
中国茶を買おうと思って何気なくお茶屋さん(茶藝楽園 The Best Tea House)に入ったら、中国式お茶の入れ方を実演してくれて、松原と私はその手つきにすっかり魅了されてしまい、中国式お茶道具一式を買ってしまいました。実演を見たお店は高かったのでそこでは年代物の普揖茶(ポーレイチャー、Premium Pu-erh 100g93HK$ 1,395円。香港ではウーロン茶よりポピュラー)だけ買って、九龍公園のネイザンロード沿いにある中国物産の百貨店に行って買いました。
中国式のお茶は、小さな穴が開いたふた付きの丸い容器(直径25cm位)の上に急須とカップを置いて入れます。
手順は(この日記の下書きを読んだ小林には、中国式お茶の入れ方の手順なんてどうでもいいので飛ばして読んだと言われてしまった...)

1.お茶っ葉を洗う為、茶壺(急須)にお茶っ葉を入れお湯を注ぐ(中国茶はお茶っ葉をお湯で洗うのが基本で。ゴミやカビを落とすのが目的だそうです。お茶の入れ方に流派があるのかどうか知りませんが、最初にカップをお湯にくぐらせて洗って温める方法もある)。
2.カップに洗ったお湯を注いで温める(中国茶のカップはおちょこ位の大きさ)。 
3.余ったお湯は茶海(お湯入れ、紅茶のセットのクリーマーみたいな形)に移す。
4.茶壺に新しいお湯を入れ、さらに茶壺の上から茶海のお湯をかけて茶壺ごと温める。
5.お茶っ葉によって決められた時間を待って飲む。

以上なんですが、茶壺の上からお湯をかけて茶壺ごと温めるところがなんとも中国的で見ていて楽しいのです。素焼きの茶壺の場合は、かけたお湯が表面からすーっと引いていくのです。
松原と私は出発時間が迫っていたのにも関わらず、セットを買いに走り回ってしまいました(買ったのは、半径25cm位のふた付きで、中に茶壺と6つ位の小さな茶杯が入れられる焦げ茶色の素焼きの陶器製のセットで、約2,000円位、写真左)。
ところが、日本に帰ってきて家でやってみましたが、やはり雰囲気が違うのでどうも勝手が違い、結局1回しか試してません(私は2回やりました。洗うのが大変です。そろそろフリマで売ろうと思っています。by松原)。お茶っ葉をお湯で洗うことは習慣になりました(この日私は香水の安売店で愛用のイブサンローランの「JAZZ」のアフターシェーブローションを3本買いました=1本で2,300円位、日本では5,000円位。香港は香水類がすごく安かった気がします。by松原。多分松原はコスメが安いチェーン店沙沙化粧品/SaSa CosmeticsかWatson'sで買ったのだと思います。by田中)

高木は死体でも運べそうなバカでかい緑色のバッグを最終日に買い、おたくグッズを詰め込んでいました。畚野はスーツを3着もかかえていました。
ホテルと出発する時、またもや高木が事件をおこし、松原証言によると「ホテルを出るとき、またしても高木が笑わせてくれました。みんなに遅れまいと急いで行こうとした結果、回転式ドアにあの大荷物と共に前の外人と一緒に入ってしまい回転ドアを停止させてしまいました、何やってんだ!!と上村はちょっとキレかかってましたが、高木が数々の伝説を作ったことについて林さんと話しをしたのですが、高木は人に迷惑をかけまいとした結果、それが裏目に出ているだけで彼の根本に流れるものは『愛』だと......」という結論に達したそうです。

帰りの啓徳空港では松原にトラブル発生。彼が機内持ち込み手荷物のバッグに入れていた防水スプレーがセキュリティーに見つかり、危険物として預かり処分になってしまったのです。松原がキョトンとしていると、畚野が英語で聞いてくれて、防水スプレーは(スプレーを吹きながら火をつけると)火炎放射器になるので機内には持ち込めない。1年間以内に受け取りに来れば返すと言っているのでこれ以上言っても無理だとの事。その防水スプレーは香港に来ないと使えない「特別」なスプレーになってしまったのです。しかし、私は預かり処分になったことより、なんで香港まで来て防水スプレーを買うのかが不思議でした。松原は「安かったんですよぉ」と言ってましたが......(機内持ち込みにせず預ければよかたんですね、勉強になりました。これから防水スプレーを買うときは預けます。そういう問題か!?by松原)。

帰りの便も台北経由で、行きと違い帰りは約3時間も乗り継ぎ時間があってかなり暇でした。空港の待合い室のテレビで「日本脳炎予防CM」を何回もやっていたのが印象的でした。羽田には21:15に到着。

私や畚野・林・上村は早々と税関から出て高木も後から出てきましたが、松原がなかなか出て来ないので心配して出口から中を除くと、松原はカバンを開けさせられてチェックを受けていました。チェックが終わりカバンを詰め直して松原が出口に向かって来たので、思わず私が大声で「ロレックスは大丈夫だった?」と聞いてしまい我ながら自分のうかつな発言に呆れてしまいました。没収されたのは意外にもヴィクトリアピークの露店で買ったしょうもないHトランプだったのです。
松原に事の顛末を聞くと、松原はおたくグッズが一杯詰まったバッグを持った高木が税関をどう通過するのを見たくて税関前で高木を待ってたが、高木がなかなか来なかったので列に並んだらチェックを受けてしまったそうなのです。
松原曰く「ROLEXは実は見つかったのですが、「自分で使うの?」と聞かれ、「そうだ」と答えると1個くらいいいかってな感じで見逃してくれました、ニセモノについては暗黙の了解のようなものがあるようです(大量に持ち込んでいるようなケースを除く)。Hトランプについては荷物を開けた手前何かケチをつけないと気がすまない的な係員の意地のようなものを感じた為、彼の顔を立ててやろうと素直に没収に応じてあげました(全53枚中4枚がワイセツだと主張し、4枚抜けたらトランプとしての機能を果たさないので全て没収するという訳のわからない理由でした)」(トランプは別室でチェックし、没収にあたり氏名・住所を書かされたそうです)。
松原は「カバンを開けるのはしょうがないとしても、閉めるのを手伝うべきだ!苦労して詰めたんだから閉めるのが大変なんだ!」と怒っていました。
税関に怪しまれない為には、税関前で立ち止まってキョロキョロしない、長い列に並ばない、これが鉄則です。
松原が長い税関チェックを終えて出てきて、我々は寒い羽田で解散したのでした。


あとがき


香港には様々な魅力がありますが、多くの日本人にとっては基本的には「大英帝国のアジアのコロニー」だったから人気があったのでしょう。いくら一国二制度でも中国になってしまった今では魅力半減以下なのか最近はさっぱり人気がありません。日本人ぼったくり価格の報道や円安(98/7は1HK$=19円)によるブランド物の割安感が無くなったことも影響しているのでしょうが、最近のツアー料金はキャセイパシフィック航空が主催するツアーでもAクラスホテルに泊まって8万円前後、激安ツアーでは3万円前後まで出現しているにも係わらず人気は回復していないようです。旅行代理店の店頭のパンフレット置き場でも香港のパンフレットは少数派になってしまいました。
しかし、コロニーの雰囲気やブランド・ショッピングだけが香港の魅力でないことははっきりしています。香港ブームが去り日本人相手の店やホテルがぼったくりのシッペ返しを食らっているのは大変良いことです、ブランドショップに閑古鳥が鳴こうが、日本人観光客が減ろうが、美食在香港。おいしいものは変わらないし、街並みも人もそう簡単に変わるとは思えません。

この香港ツアーは、今でも個性的なメンバーで大人数で行って良かったと思っています。やはり中華は大人数で食べるのが一番です。昔1人で行ったことがありますが、食事はふらっと入れる粥麺専家やファーストフード(快餐、マック)、屋台、飲茶でしか食べれませんでした。飲茶も1人では食べられる種類が限られるので、この旅で飲茶に限らず大人数で食べれたのは格別でした。
大人数の楽しさを覚えてしまったので、1・2人でふらっと行く気がしなくなってしまい困っています。今回この日記を書く為に地名やお店の名前をガイドブックを引っぱり出して確認したので、また少し香港に詳しくなってしまいました。
来年末にはマカオも返還されてしまうので、近い内に香港に行って返還前との違いを少しでも見つけてうんちくを語りたいものです。

林君の感想は
「まあ、不思議なもので、当時はつき合っていなかった奥さんに香水のミニチュアを買ってあげたのがこの香港旅行の時だったのですが、初めてのプレゼントになったわけです。ただ、まっちゃんには亀ゼリーを、上村にはなんとか茶を土産で頼んでいたみたいで・・・3人に土産を割り振っていたずうずうしさが3人をあきれさせたのもまた笑えました(私も彼女からコーヒー味のフリスクを頼まれていたので3人じゃなくて4人です。by田中。私はなんとか茶を頼まれていました、上村と逆では?by松原)。
会社用のお土産はタイガーバームの小さいのを会社のみんなに買ってあげました。(低価格、高配分をモットーに購入、その後の韓国旅行では海苔を買って行きこれまた好評でした)。
とにかくメンバーが愉快な人ばかりで、笑いの絶えない旅行だったですねえ、田中さん畚野さんが香港に精通してていろんな所にどんどん行けたのが良かったですよ。もう1回あのメンツで行けたらなあと思います。」

上村の感想は
「全面的に連れて行ってもらったような旅で、僕はほとんど現地の知識もなく行きましたが、知識が豊富な皆さん(特に田中さん、畚野さん)と旅が出来て本当に有り難かったと思います。毛色の変わったメンバー(特に変わった人が一人いてかなり笑わせてくれた。)の集まりだったような気がしますが、ああいうメンバーで行く旅も味があってすごく面白いということを発見しました。また行けたらいいなと思います」

高木の感想は
「とにかく食事はおいしかった、特に大人数で行ったからこそ食べられる中華料理の数々を考えるとまた、ああいう機会が有れば最高だと思います。
(台北の士林夜市で料理を一人でぱくつきながら、女人街ではあまり食べ物の屋台が無かった事を思い出し、ますます香港で食べ物を食いたいなら小人数ではあかんと思いました。)
あと、香港での(変な)買い物については、私にとっては10年来の夢だった(なんせ、10年前のオタク向け香港ガイドブックを持っていったぐらいですし)のですが、この10年の間に著作権とかが整備されて本当に変なものが手に入らなかったのが残念でした。
(10年前なら漫画では表紙と中身が違うとか、途中から違う漫画になっているとか、同じ漫画が複数の出版社から出ていて、吹き出しの中身の訳が全部違うとかいろいろ合ったと言う話なのですが、今ではほとんど日本の出版社との正式契約によるものであるため、日本の専門店に行ったのと何ら変わらない景色が広がっていてあまり面白くなかった)」

松原の感想は
「行く前はそれほど期待してなくて、「畚野さん田中さんは現地に詳しいみたいだしいっちょついて行ってみるか」程度の軽い気持ちで参加したのですが(ガイド本も買ってませんでした)、香港という都市のパワーに圧倒されてしまいました。本当に食いだおれツアーという感じで「うまいもん食った」という事の他あまりおぼえていないのですが(帰国して体重を測ったら4kgふえていた、あとでダイエットが大変でした)、あんな楽しい旅はあのメンバーで香港だからこそ出来得たものだと思っています、みんなに感謝!!
うーん、また行きたい(食いまくりたい)」

畚野の感想は
「以前堀さんが香港にはまっているというのを、香港がブームになる前に聞いた事がありまして、「何であんな国に?」と大いなる疑問を持ったのを覚えています。当時の私は、米国信者であり、アジアの国々に一切の関心や好奇心を持った事がありませんでした。
時は3年前に溯りますが、たまたま約2ヶ月の長期出張をしてから香港の魅力に取り付かれました。所謂香港庶民の生活から日本人観光客の状況迄、現地の優良なる知合いの助けを受け、香港に日本人が魅せられる訳をとくと知る事が出来ました。願わくば、香港が廃れるもっと前からこの魅力を知っていたらと悔やまれます。
この香港ツアーについては、忘れかけていた香港への情熱が思い起こされ、1も2もなくOKしました。また、自分の知っている事を他人に教える快感ってやつでしょうか?!「中華料理圏には大人数で」に私も清き1票!」
おわり
(香港の達人、掘さんの香港感も聞いたのでご紹介します)
私も過去を振り返ってみました。(記録があるので調べただけですが)香港訪問はちょうど10回でした。
スタートは86年の夏、社会人2年目でした。そして昨年97年までで10回。香港経由でアジアの国へ行ったこともあり、単純な入国の回数では13〜14回くらいでしょうか。
 きっかけはもうあまり覚えてないのですが、個人輸入(メールオーダ)をやっていて、香港の業者を使ったことから興味がわいたとか、あとはスーツをオーダで作りたかったので香港が安いというのを聞いて、ガイドブックを見ていたら、クーさんの店が日本語が通じるというのを見つけて、一人でたずねていったのが始まりです。はまった理由は
 ・スーツ作りと靴もオーダで作ってもらうこと
 ・食べ物
 ・活気あるゴチャゴチャした街で買い物(安いし値切れるし)
 ・近い安いアジア
 ・香港発のチケットやツアーが安い(日本のピーク時は関係ない)ので
  アジアの他の国への旅行の拠点として活用できた。
  キャセイパシフィック航空を気に入ったというのも少々。
  ちなみに私のビジネスクラス初体験は、このキャセイでした。