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◆2007年2月16日更新◆

請願書趣旨説明資料


平成18年12月15日

「玉川上水駅隣接高層マンション建設の周辺環境への影響を考える会」

この度、提出させていただいた請願書の趣旨について、ご説明申し上げます。

西武鉄道株式会社が、玉川上水沿いに計画しているマンションの建築計画について、地域周辺環境等へ及ぼす影響について、確認・調査・検討する必要があると考え、組織として活動していく為に、地域住民が中心となり、「考える会」を結成し、事業主である西武鉄道株式会社に対して、説明会等を通して問題点を指摘し、要望等を伝えて参りました。

初めてこの計画を知ったのは、今年の9月7日に極限られた近隣住民向けに、建築計画のお知らせのチラシが配布されたことによります。この時から私達の生活は一変しました。
「なぜこんな場所に巨大マンションが建てられるのだろう?」の疑問から始まり、各種法令の調査、行政への問い合わせ、自然保護団体等への問い合わせ、国立のマンション問題を初めとする景観判例事例調査など、私達にできることは何かを探り、より多くの方にこの問題を周知する義務があると考え、啓蒙活動、賛同者を募り、活動してまいりました。市長へ直接陳情書を手渡し、東京都都市整備局長宛にも309名の署名を添えて陳情書を提出しました。各種市民勉強会、講演会にも出席し、各種団体と連携を図り情報交換するなど、市民活動は初めての経験で、何もかもが手探りで進めてまいりました。活動当初、「果たして、この活動は単なる住民のエゴなのか?」と自問自答を繰り返していました。しかしながら、沢山の方に賛同して頂き、協力者も集まり、応援していただけるようになりました。毎週末に住民意見交換会を実施し、対策について協議しています。署名の数も延べ人数で2,000名を超え、現時点で3誌の新聞でも報道されるほど、社会的な問題として認知されるに至り、私達の活動が、住民感覚として明らかに問題のある計画である事が証明できたことは、大きな成果があったと思います。

行政サイドとしても、中立な立場から、行政指導をして頂いております。一部計画変更は合ったものの、現計画は、玉川上水の遊歩道と平行して、わずか4.5mから9.6mの位置に、高さ約24mの8階建で、横幅が213mの183世帯の巨大マンションを建設するというものであります。

本請願は、その建築計画について、周辺住民等の同意・意向を反映し、良好な環境や景観を守るよう都と連携し更なる指導の強化を求めるものです。

本請願理由について、主要な3つの理由をご説明申し上げます。
まず、第一の理由は、自然環境、景観の問題です。
周辺地域には本計画の様な、玉川上水に隣接する高層マンションは存在しておらず、本計画が、玉川上水の自然環境を破壊し、また、良好な景観を破壊すると客観的に考えられるからです。
ご存知の通り、玉川上水は、1999年2月に「東京における自然の保護と回復に関する条例」に基づき東京都の「歴史環境保全地域」に指定され、同年12月に「東京都景観条例」に基づき「玉川上水景観基本軸」に指定されております。また2003年8月には、国の「文化財保護法」で「史跡」に指定されるなど、開削350周年を迎え、高い歴史的価値を持ち、将来にわたり保存していく必要がある貴重な緑地景観、歴史的土木遺産として位置付けられており、我々地域住民だけに留まらず、立川市民の、東京都民の、日本国民の貴重な財産でもあります。玉川上水は、市民が自然とふれあい共存し、散策や景観を楽しむ憩いの場として、1区9市を横断する重要なエリアで、当地立川市では、柴会長に代表される「玉川上水の自然保護を考える会」や各地域で多数の自然環境保護・自然保全団体、NPO等が活動するなど、地域住民のみならず、広範囲の多くの人々に愛されております。近年の自然保護活動の結果、一時絶滅の危機にあった蛍の生息が10年振りに確認できるなど、今以上に自然保護に取り組まなければならない時期でもあります。
駅名に玉川上水の冠を掲げるなど、第一に玉川上水を守らなければならない立場である西武鉄道株式会社が、日本国民の財産である玉川上水に泥を塗るような行為をしないで貰いたいと思います。社会的良識をもって公正かつ誠実に事業運営していただくことを望みます。

第二の理由は、袋小路の開発による問題です。
当該計画地は、立川市柏町5-1-1、西武拝島線玉川上水駅南口 西側に位置し、西武拝島線と玉川上水に挟まれた細長く袋小路の八方ふさがりの土地であり、集合住宅に耐えうるだけの道路インフラが整備されておりません。この脆弱な道路インフラに車両が出入りするとなると、周辺地域住民の安全が脅かされます。
本計画の工事車両のメイン進退路は、計画地の東側に位置し、玉川上水駅南口の駅階段に面した駅前広場に接続しております。工事車両が当該計画地に進入する際は、駅ロータリーから歩道の段差を乗り上げ、駅前広場を突っ切り、通行人、自転車を横切る経路となっております。私達はこの駅前広場が道路であるとの認識は一切無く、なぜここが法的に道路として認められ、それに接しているとの理由で集合住宅が建てられるのかが理解できません。多摩都市モノレールと西武拝島線が交差し、立川市の北の玄関とも言われ、一日乗降者数も4万人を越える玉川上水駅の南口広場を、一日最大80台、往復で160台の大型ダンプが出入りすることなど、考えられません。
また、当出入り口は、20t未満の重量の通行制限のある清願院橋を通過しなければならなく、20t越の巨大トラックはもう一つの西側出入口を通行しなければなりません。西側出入口は市道北95号線を通り、近隣小学校の通学路である千手橋通りに合流する経路になっております。しかしながら、この通学路は、道路幅が非常に狭く一般車両でさえすれ違う事が困難な道路であり、更に、南北を遮断された西武線踏み切りの影響により、自動車、歩行者、自転車が行き交う慢性的な渋滞が発生しております。特に弱者である児童が危険にさらされている問題エリアで、小学校PTA関係者、シルバーの方々、ボランティアの方たちが雨に日も風の日も毎朝交通整理をしている状況です。千手橋通りは芋窪街道の抜け道として利用されており、道路インフラの許容を上回る交通量が問題となっております。さらに、先月オープンしたダイヤモンドシティーの影響で明らかに交通量が増え、危険が増加しています。現実的に、20t級のトラックが往来し踏切を右左折し往来することは不可能であると考えますし、一台でもこの道路に車両が増えるという計画は、更なる危険が増すということに他なりません。
千手橋通りと、市道北95号線の拡張、踏み切りの改善なしにこの計画は進めるべきでないと考えます。この改善が出来ないのであれば、北側に踏み切りを敷設、若しくは、線路を高架にするなどして、袋小路を改善した上で開発を進めるべきです。費用的な理由で解決しないのであれば、そのために生じる危険負荷を周辺地域住民に課す事は、許し難い行為です。命はお金では買えません。

第三に、本計画の社会的問題についてです。
地域に根ざした公共性の高い鉄道事業活動を展開し「環境と共生する街づくり」を経営理念に掲げている西武鉄道株式会社が、社会通念上無謀とも思える本計画を強硬に進めてしまう社会的影響についてです。
もし、西武鉄道株式会社が本計画を強硬に建設し、負の前例を作ってしまったら、その事実を盾に、後に続けとばかりに、心無い業者によって、至るところで乱開発を誘発する可能性があり、社会秩序が保たれなくなることが危惧されます。
地元立川市で玉川上水を破壊するような開発を容認してしまったら、後世に残る汚点であり、立川市の生活環境を悪化させてはならないと強く感じております。

私達地域住民はこの土地に住居を構え生活しており、簡単にここから離れることは出来ません。西武鉄道沿線が生活の拠点であり、私達地域住民と西武鉄道は切っても切り離せない共同体です。
西武グループがプリンスホテルの売却を強いられるなど、聖域無き企業再生に全力を尽くしていることは重々承知しております。しかしながら、西武グループが目先の利益追求に走り、沿線地域社会を無視して、地域住民と対立するような社会一般常識から逸脱した計画を強行するのであれば、企業の社会的・道義的責任を問われることは必至で、非常に悲しい事態だと思います。
西武鉄道株式会社の企業価値が下がることは、私達の沿線価値、地域価値、財産価値も下がることにもなります。私達は西武グループの企業価値が下がることを望みません。
本計画が、長期的視野に立ち、西武グループの将来を真剣に考えているとは思えません。
企業は生き物です。公共事業社である西武鉄道株式会社には、長期的な企業繁栄が課せられています。
超短期的な利益追求に走ることにより、地域住民、歴史ある玉川上水の景観、緑多い良好な自然環境、玉川上水を愛する人々そして、西武鉄道自身が悲しむべき事態に追い込まれます。まさに共倒れです。私達は、西武グループの長期的な繁栄、地域社会の安定的な幸せ、両者の共栄共存を切に望みます。

最後に、地域住民はただ単に今ある生活環境を維持・継続したいだけです。業者側から一方的に降って沸いてきた無謀な計画に、私達は翻弄されており、怒りと不安に満ちた不毛な日々を余儀なくされています。
自然環境をどれほど維持、保全できるかが、人間の生活環境、心身ともに健康な生活を営めるかの基本であると思います。
良好な景観は、国民・地域全体の共通の資産であり、国民は、良好な景観を保持する義務があると、昨年6月に景観法が全面施行され、景観法を所管する農林水産省、国土交通省および環境省は同法の施行日である6月1日を「景観の日」に制定するなど、景観に対する国民的意識が高まり、景観が地域住民の権利である事が司法でも認められるようになりました。

私達市民の生活を守るべく、立川市の更なる指導の強化をお願いいたします。

以上







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