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◆2007年2月16日更新◆

考える会見解記者会見資料


玉川上水に隣接する巨大マンション計画について
「玉川上水駅隣接高層マンション建設の周辺環境への影響を考える会」の見解

平成18年12月11日

「玉川上水駅隣接高層マンション建設の周辺環境への影響を考える会」

2006年9月7日(木)に西武拝島線玉川上水駅南口西側の玉川上水脇(立川市柏町5-1-1)に西武鉄道㈱が計画している、10階建てマンション建築計画について、近隣対策専門業者から極限られた一部の住民(2H以内)には戸別訪問により、計画図面の提示と概要説明を受けました。
しかしながら、立川市柏町のこの周辺地域は、玉川上水をシンボルとした自然環境に満ちた静かで良好な住宅地が形成されており、地域住民への事前調整もなく計画された、玉川上水に200m以上も直接的に面し高さ20~30mの10階建てマンション建設計画は、玉川上水の良好な自然環境、景観の破壊、周辺住民の環境権、生活権を侵害する可能性もあると推測されます。そこで、計画の見直しについて組織として活動していく為に、地域住民が中心となり、「考える会」を結成いたしました。
その後、住民説明会等での計画の問題性の指摘、行政指導等により12月6日の第3回説明会で最終計画変更案が提示されました。①高さ低減として、当初計画の最大10階(約30m)建てを最大8階(約24m)に変更する。(戸数も218→183に削減)、②建物の圧迫感を無くす為、210mの壁を3分棟化する。③玉川上水との隣地距離を保つ為、フェンスから4~4.5m幅であった距離を4.6~9.6m設ける。
しかしながら、この計画案であっても、玉川上水の良好な自然環境、景観の破壊、周辺住民の環境権、生活権を侵害する可能性が低減されるわけではなく、抜本的な計画変更の必要性があることは明白であります。

玉川上水は、1999年2月に「東京における自然の保護と回復に関する条例」に基づき東京都の「歴史環境保全地域」に指定され、同年12月に「東京都景観条例」に基づき「玉川上水景観基本軸」に指定されております。また2003年8月には、国の「文化財保護法」で「史跡」に指定されるなど、開削350周年を迎え、高い歴史的価値を持ち、将来にわたり保存していく必要がある貴重な緑地景観、歴史的土木遺産として位置付けられており、我々地域住民だけに留まらず、東京都民の、日本国民の貴重な財産でもあります。小平ユネスコ協会により「玉川上水を世界遺産へ」の活動も行われるなど、玉川上水は、市民が自然とふれあい共存し、散策や景観を楽しむ憩いの場として重要なエリアで、玉川上水を取り巻く地域全体が風致地区に準ずる重要自然保護地域です。また、各地域で複数の市民による環境保護・保全団体、NPO等が活動するなど、地域住民のみならず、広範囲の多くの人々に愛されております。近年の自然保護活動の結果、一時絶滅の危機にあった蛍の生息が10年振りに確認できるなど、今以上に自然保護に取り組まなければならない時期でもあります。
今回の建設計画は、建築基準法および都市計画法の規定に違反はしていないかも知れませんが、周辺地域には本計画の様な、玉川上水に面する高層マンションは存在しておらず、社会一般的良識から逸脱した本建築計画は、玉川上水の良好な景観を損います。良好な景観は、国民・地域全体の共通の資産であり、国民は、良好な景観を保持する義務があると、景観法(景観緑三法 平成17年6月1日全面施行)で定められ、景観法を所管する農林水産省、国
土交通省および環境省は同法の施行日である6月1日を「景観の日」に制定するなど、景観に対する国民的意識が高まっています。
本計画は、東京都景観条例「玉川上水景観基本軸」に定める特定行為に課せられる景観基準を、客観的に満たしてないと推測されます。また地域への環境配慮も検討されていないと疑わざるを得ません。
立川市は、「環境基本計画」の基本方針で、玉川上水の保全と散策道の拡充、景観の保全を目標に掲げ、景観条例の制定作業も進めているなど、本計画が立川市の都市計画マスタープランにも反しています。
また西武グループは、今年3月28日に新生・西武グループとして新しい経営管理体制をスタートし、その西武グループのあり方として、常に向かうべき方向性を指し示す、経営理念「グループビジョン」(地域・社会の発展、環境の保全に貢献し、安全で快適なサービスを提供する)を制定したばかりです。
地域に根ざした公共性の高い鉄道事業活動を展開し「環境と共生する街づくり」を進めているはずの西武鉄道が、本計画を強行的に遂行するのであれば、地域住民のみならず、国民全体から、新生西武グループとしての道義的責任を問われる事は容易に推測できます。
『新生西武グループビジョン』抜粋(http://www.seibu-group.co.jp/shd/vision.html)
●常に、お客さまの声、地域の声を大切にします。
●常に、自然環境、地球環境への配慮を忘れません。
●常に、地域社会の一員として行動します。
●常に、オープンで、フェアな心を持って行動します。
また、『西武グループ企業倫理規範』(2006年3月27日制定)では、「私たち西武グループは、お客さまの生活のあらゆる場面や、地域に根ざした公共性の高い事業活動を行う企業グループとして、その社会的責任を果たし、社会から、とりわけ地域社会から信頼される企業グループを目指します。」とあります。
西武グループ企業倫理規範抜粋
2. (ルールの遵守)
  法令・社内規則等を遵守し、社会的良識をもって公正かつ誠実に行動します。
4. (企業市民としての責務)
  企業は社会の一員であることを自覚し、広く社会とのコミュニケーションを図り、
  企業情報を適時、適正に開示します。また、環境に配慮した事業活動を行い、
  地域社会の発展に貢献します。
行動指針(2006年3月27日制定)抜粋
4-1 (情報開示)
私たちは、株主や投資家をはじめ、社会に対して企業情報を適時、適正に開示し、不利な情報も隠しません。
4-2 (環境問題への取り組み)
私たちは、地球に優しい環境づくりを目指し、環境問題に積極的に取り組みます。
企業理念を掲げることは簡単です。それを実現することが企業の社会に対する責任(CSR)ではないでしょうか?誠実さを持って企業経営をすることにより、「社会との共生」がはかられ、それにより企業の「持続的成長」が担保され、企業「競争力」が向上する、また、信頼できる企業としての存在事由が社会から認められ事業活動が継続していけることになると考えます。
下記は、当会が考える本計画に関する主な問題点です。

<問題点>
1) 玉川上水遊歩道フェンスから4.5m~9.6mの位置に玉川上水の樹木を遥かに上回る高さ約最大24m、長さ213m(徒歩約3分間)の巨大建築物(玉川上水遊歩道沿いにこのような巨大建物は存在しない)
2)開削350年以上の歴史的建造物であり、「歴史環境保全地域」指定、「玉川上水景観基本軸」指定、国の「文化財保護法」で「史跡」に指定されるものの、開発に対する「規制」ができない。(立川市は立川市宅地開発等まちづくり指導要綱施行(平成5年10月)後、本計画に対して開発指導審査会を初めて設置し指導に当たっているが、実質的には強制力が無い。同様に、東京都も東京都景観条例の玉川上水景観基本軸に基づき指導に当たっているものの、定量的規定が無いため、定性的、主観的なものしかできない。)
3)自然環境に関して、今年10年ぶりにホタルが観測され、かぶと虫やクワガタなどが生息し野鳥なども見られる自然豊かな地域に及ぼす影響(生態系や水質、樹木なども含む)への配慮がまったくない。また地域住民の生活環境破壊、生活権が侵害される可能性(風害、騒音、反射騒音、電波障害)があるが、現在のところ対応する予定はないとのことで、被害が出たら協議するとの回答で、事前調査を行う予定もなし。
4)地域住民への説明も無いまま、既存建物の解体工事を一方的に着工(10/17)した為、騒音、粉塵、安全問題を指摘し、説明義務を求め、謝罪、説明を要求(11/2)し了承したにもかかわらず、解体工事を進め、完了させた。(工事完了後の11/29に解体工事完了の報告(謝罪ではない)を郵送およびポストイン。)
6)もともと計画地が袋小路での開発であり、集合住宅であるマンション建設には無理のある土地である思われる。車両入り口は、玉川上水駅南口ロータリー、駅階段に面した駅前広場で、ロッキング舗装された歩道を横切る形で乗り上げ駅利用者を遮る経路となっており、さらに、車両出口は、近隣小学校の道路幅の狭い通学路に合流する経路になっており(本道路の問題点については立川市立柏小学校PTAから請願書提出済み)、この通学路は西武線踏み切りの影響により、自動車、歩行者、自転車が行き交う慢性的な渋滞が発生しており、市の危険エリアに指定されている。(ガードレール、電柱などにより有効幅員は4m程度)建設工事中に20tトラックの大型工事車両が往来し踏切を左折することは不可能ではないか。北側に専用出入り口(踏み切り設置等)を提案するものの、出来ないとの回答。
第2回説明会(11月2日実施)で交通量調査の報告をするものの、実測値と推測値を混在させていたためわかりににくく、安全問題の見解について住民との隔たりがあった。
第3回説明会(12月6日実施)で交通量調査を実施したコンサルティング会社が出席し、交通量測定結果の説明と、西武側に有利な分析手法で専門家として安全性を説明するも、視点がずれている内容で、提案された改善案で安全が確保でき内容ではなかった。また、交通量調査については、市の立会い若しくは第3者機関での調査を依頼したものの、説明会の後日、調べた所、西武ホールディングの連結子会社が単独調査した事が判明。
7)玉川上水は遊歩道を歩く住民も多く、この地域は駅前であることから多方面からの愛好者による散策される方が多い地域であり、たくさんの人に関わってくるにもかかわらず、説明地域が立川市まちづくり指導要綱に定められる最低限の2Hのみとなっており、その範囲に入る住民がごくわずかである。
8)景観配慮として、壁面緑化、屋上緑化などの表面上の対策のみで、玉川上水、地域全体の景観について、素人の住民にもわかるように模型作成を依頼するも、出来ないとの回答。
9)説明会を実施するものの、すべてが行政と調整中との回答のみである。また、あくまで行政対応であって、住民要望を取り入れる姿勢がない。質問に対する回答も無い。
10)当該計画地からトラックが駅前の広場を突っ切って退出した際、車輪の軌跡が残るほど、泥を跳ね飛ばし、広場を汚したままで放置されており、通行人は泥を避けなければならないなど、滑って危険である。


私達はまずこの建築計画について多くの方が認知し問題点を認識していただくための活動と、上記問題点を9月の業者戸別訪問時より西武鉄道側へ様々な手段で訴え続け、さらに東京都や立川市に玉川上水の景観、自然、そして地域の安全についての指導をお願いしてまいりました。
玉川上水は1区9市をまたがり、関わる市区町村のみならず東京都、日本の財産です。近隣の地域が守っている玉川上水の景観や自然を、駅に「玉川上水」という名前の付いているこの地域で壊してしまうようなことがあってはならないと考え、

「 景 観 ・ 自 然 ・ 安 全 」

において西武鉄道が上記問題点を認識し、地域住民と話し合いながらお互いにいい形での計画になるよう共に考え、そのための活動をしていきたいと思います。
以上







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