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◆2007年2月16日更新◆

人身事故補償責任


人身に係わる事故補償に関する使用者責任、注文者責任、運行供用者責任について

人身に係わる事故補償について、当事者同士の解決を前提とし、施工者である西武建設、事業主である西武鉄道、西武不動産販売が責務を負わないという姿勢は社会通念上も非難されるべき対応です。企業としての社会的責任を放棄する反社会的行為と受け取らざるを得ません。
立川市議会の建設委員会であれだけ議論し、PTAや周辺住民が出した請願もが採択されたのは、マンション建設問題そのものの問題と、袋小路のあの危険な地域で工事が始まると交通問題で更に危険度が高くなるからであり、その事は何度も何度も訴えてお伝えしておりますが、ご理解頂けていないようで残念です。

また、事故が起きても中断を約束しないということは、事業スケジュールを優先すると受け取れます。 本来あるべき姿は、まず、事故の発生原因を究明して、再発防止の対策から始めるべきと思慮します。

自動車事故を起こした加害者は、被害者に対する「道義上の責任」と「法律上の責任」を問われます。
法律以上のことは締結できない、民法で定められている範囲を超える保証は出来ないとの説明で逃げておりますが、民法、自賠法における解釈、判例は以下の通りです。

<下請と元請の使用者責任、注文者責任、運行供用者責任について>
(住民側)第10条(人身に係わる事故補償)について、 民法715条の使用者責任は、従業員等の不法行為に対して会社が責任を問われることであり、民法716条の注文者責任については、請負契約の注文者は原則として請負人(下請け)の行為について責任を負わない。ということを盾に取り、保証しないとのことだと思いますが、判例では、使用者に代わって事業を監督する者も、監督責任を負っているケースが多々あります。(「下請負人の被用者の不法行為が元請負人の事業の執行につきなされたものと判断するためには、直接間接に被用者に対し元請負人の指揮命令関係が及んでいる場合であることを要する。」(最判昭和37年12月14日民集16・12・2368))
また、民法716条(注文者の責任)では、「注文者は請負人がその仕事につき第三者に加えたる損害を賠償する責に任ぜず。但し、注文または指図につき注文者に過失ありたるときはこの限りにあらず。」とあり、注文または指図には、請負人の「選任」も含まれ、予見される損害を回避し得る技量を備えていない下請業者に運送を発注したことや、保証も出来ない(保険さえ入っていない)運送会社に発注したこと自体、元請業者の過失となっています。さらに、損害の予見可能性(明らかに安全上問題のある道路に工事車両を通行させるなど)があれば、注文者(元請)には、自らまたは請負人(下請)をして回避措置(踏み切り設置等の別ルートを確保するなども含み)を講ずべきであり、単に注文・指図に過失がなかったという単純な理由では責任を免れることはできない。と裁判所が認めています。

自賠法の運行供用者責任については、人身事故において、被害者保護のために、立証責任を転換し、加害者側に無過失であることの立証責任を負わせた、加害者側に厳しい責任です。
自賠法3条の責任は、自動車の「運行により」生じた損害について適用されるもので、「運行供用者」とは、「自己のために自動車を運行の用に供する者」と規定されており、これに該当するか否かは、「運行支配」と「運行利益」の2面から判断するものとされ、「運行支配」、「運行利益」とは、当該車両の利用について、何らかの支配を及ぼしている、また、何らかの利益を得ていると言える場合であれば、広く「運行供用者」に当たるとの判例であります。(元請人の支配の下に、かつ元請人のためになされたものと認めることができる。(最判昭46・12・7判時657-46))

従業員がマイカーを使用して企業の業務に従事する場合、企業に車両の所有権はないが、運行供用者として責任を負うこととなります。元請会社・下請会社の関係において、元請会社が現場に事務所を構え、現場監督者を送り込んでいた場合など、下請会社の従業員が事故を起こせば、元請会社も使用者責任を問われ、運行供用者についても、判例でほぼ同様に適用されているのが事実です。(下請業者の被用運転手が、下請現場におもむく途中で事故を起こした場合に、 元請業者は右下請業者の作業実施にあたっては、配車の指図をするほか、随時現場の状況を見回り、運搬途中の監督にあたるなどして、 間接的に右運転手らに対し運搬業務の指揮監督をしていたものであり、他方下請業者は業務施行について独自性に乏しい等の事実関係の下では、事故当時の運行は、客観的にみて、 元請人の支配の下に、かつ元請人のためになされたものと認めることができる。(最判昭46・12・7判時657-46))

以上の様に、裁判では広義に元請(発注者)の使用者責任を認めており、下請けの尻尾切で済まされる問題ではありません。本条項が、民法で定められている範囲を超える保証でないことは、過去の判例からも明らかであります。
事業主が連帯保証をすることを拒否する企業姿勢こそが、大問題であり社会的責任を果たしておりません。人身事故を起こして裁判をするまでも無く、施工者である西武建設、事業主である西武鉄道、西武不動産販売住民が連帯して住民に保証することは当然であり、裁判を起こす手間、工数負担を住民に強要すること自体がナンセンスであります。
西武グループの企業コンプライアンスレベルを疑います。







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