猫の糖尿病におけるグラルジンの使い方
Using Glargine In Diabetic Cats 竹内和義訳 2004年10月
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Rhett Marshall BVSc MACVSc1,2,
Jacquie Rand BVScDVSc Dip ACVIM1
1Centre for Companion Animal Health,SchoolofVeterinaryScience,
TheUniversityofQueenslandand
2Creek Road Cat Clinic,Brisbane,Australia.

はじめに 
 グラルジン使用に関する情報は少数の猫から得られた情報を基にしたものであり、多数の
猫にこのインスリンが使用されるようになるまでは十分な注意が必要である。グラルジンは非
常に作用時間が長いため、過剰用量を投与された場合に持続性の低血糖症を引き起こす可
能性がある。

基本情報
  • グラルジンの作用の持続性はpHに依存しているためどんな場合も絶対に希釈や混合を
    しないこと。
  • グラルジンの安定した効力を持続させるためかならず冷蔵保存すること。
  • グラルジンは一度開封した場合、室温に保存しても4週間品質が保持されている。開栓
    したバイアルは冷蔵保存することで6カ月以上使用可能である。
  • ペン型のカートリッジ式セットを使用する場合、メーカーは冷蔵せずに室温で保存するこ
    とを推奨している。
  • 血糖曲線を描出する場合、採血は12時間の血糖曲線を作成する場合には猫では4時
    間毎で十分である(例:0時間(朝の注射直前)、および朝の注射後4時間、8時間、12
    時間)
  • 用量の変更はインスリン注射前の血糖値、最低血糖値、日々の飲水量、尿糖などを基
    準とする必要がある。
  • 良好な血糖コントロールは1日1回より1日2回注射法の方がうまく達成できる。
  • 0.3ml 100単位用の(マイクロ)シリンジを使用するとより適切な投与が可能となる。

猫でのグラルジンの始めかた
  • もし血糖値が360mg/dL以上であったら、グラルジンを0.5U/kg(理想体重として)の1
    日2回投与で開始する
  • もし血糖値が360mg/dl以下であったら、0.25U/kgの1日2回投与で開始する
  • 4時間毎に採血して12時間の血糖曲線を描出(測定)する。
  • 最初の1週間はけっして用量を増量しないこと。
  • 生化学検査的または臨床的に低血糖症状が認められた場合は用量を減じる。
  • 猫は最初の3日間は入院させるか、3日間自宅で血糖曲線を測定し、グラルジンの初
    期投与量への反応を良く観察することが推奨されている
  • 再検診は猫が退院後1.2.3.および4週目に行い、その後は必要に応じて決定する。
  • 多くの猫は最初の3日間は軽微な血糖降下作用しか示さないが(決して用量を増量しな
    いこと)、投与開始後10日目頃よりほとんどの猫が良好な血糖コントロールが得られるよ
    うになる。
  • ケトアシドーシスを示す猫の場合は、治験数が増えて使用法が確立するまでは、現段
    階では短時間作用型のインスリンを使うべきである。
インスリン用量の調整法

1.グラルジンの用量を増量する指標
  • インスリン注射前の血糖値が360mg/dl以上の場合は1回の注射毎に0.5単位増量
  • 最低血糖値が180mg/dl以上である場合は1回の注射毎に0.5単位増量
2.グラルジンの用量を変更しない場合の指標
  • インスリン注射前の血糖値が240以上360mg/dl以下の場合
  • 最低血糖値が90-180mg/dLの間の場合
3.グラルジンの用量を減量する指標
  • インスリン注射前の血糖値が180mg/dl以下であった場合0.5単位減量する。
  • 最低血糖レベルが54mg/dl以下であった場合は1単位減量する
  • 低血糖の臨床症状が認められた場合は用量を50%増量する
4.インスリンの用量を、飲水量、尿糖、臨床症状、インスリンの投与を受けている期間な
どの要素を加味して、不変とするか減量するか検討しなくてはならない指標
  • インスリン注射前の血糖値が198 - 252 mg/dLの場合
  • 最低血糖値が198 - 252 mg/dLの場合

猫が糖尿病から緩解したか判断する方法
  • 最低2週間のインスリン療法を実施後、インスリン注射前の血糖値が200mg/dl以下
    ならインスリン療法は中止し12時間の血糖曲線を実施
  • 次の注射の予定時間になって血糖値が200mg/dl以上なら1単位1日2回法でインスリン
    療法を継続
  • 200mg/dl以下ならインスリン療法はそのまま中止し退院させて1週間後に再検査

2週間以内にインスリン注射前の血糖値が200mg/dl以下になる猫が時々あるが、インスリン
療法はβ細胞がグルコース中毒症から改善させるために2週間は必ず続ける必要があ
る。この場合は0.5-1単位 1日2回または1日1回法で投与を継続(2週間が過ぎるまで)するこ
と。

尿糖
 グラルジンは作用時間が長いため、2-3週間以上インスリン療法を続けている猫の血糖値が
240mg/dl以上になっている時間が短いため、良好にコントロールされている猫の尿糖は常に
0または1+であある必要がある。2+以上が認められる場合はインスリンの用量を増量する必
要がある。

Date Published:August 23, 2004