臨床獣医師のための情報フォーラム

Information Space for Veterinary Practitioners


from June,21,2002

by Kazuyoshi Takeuchi DVM



このホームページをご覧になって、「参考になった!」とか「次はどんな文献を

載せて欲しい」とか、「自分で翻訳した最新文献を載せたい」など色々ご意見を

お聞かせ下さい。

このページに来た人はなるべくご意見をお願いします。








Update on Allergies: Atopic Dermatitis

Northeast Veterinary Conference 2004

Stephen D. White, DVM, DACVD 2005年9月25日UP
タクロリムス軟膏
 タクロリムス軟膏[Protopic: Fujisawa]は軽度から中等度の人のアトピー性皮膚炎に効果的にしかも安全に使用さ
れている。

必須脂肪酸(EFA)
 犬においてはこれらの物質が痒みを、特に抗ヒスタミン剤と併用した場合、25%ほど減弱する作用を有している。ド
ックフードの中に含まれる場合、成功率はある一つの公開研究では42%(良好から非常に良好として)に達した。そ
の他の研究では44%であった。

抗ヒスタミン
 抗ヒスタミンは必須脂肪酸と組み合わせて猫に投与すると、少なくとも50%において臨床症状な改善が目止めら
れる。

サイクロスポリン
 サイクロスポリンはAtopica®アトピカ(Novartis)の商品名で10, 25, 50 and 100 mgのカプセルで販売されている。
理想的にはこの薬は空腹時に投与すべきであるが、消化器系の障害を起こしやすく、食事と一緒に投与すると副作
用を抑えるのに役立つ。多くの犬で副作用無く投与可能である。低用量の投与がアトピーの治療に使われ、一般的
に5-7mg/kg/dayあるいはそれ以下の用量で、この用量では副作用は希である。最も多い副作用は吐気や食欲不
振である。非常に高価なため、大型犬に投与する場合はケトコナゾールを併用することでアトピカの用量を減量させる
必要があり、実際効果的に減量することが可能である。(これは両者の薬剤の体内での代謝性に起因する)。一般
的にケトコナゾールを5mg/kg併用することで、著者は犬へのサイクロスポリンの投与量を50%削減(5mg/
kg/dayのところを2.5mg/kg/dayに)することが可能となっている。

シャンプー製剤
  オートミールを含んだシャンプーや0.5-1.0%のヒドロコルチゾンを含有したシャンプーは犬の補助療法として効果
的であるが、猫はシャンプーを好まないのであまり効果は認められていない。少なくとも1週間に2-3回シャンプーす
ることが理想的である。また「レジ」タイプのペットの皮膚被毛に残留性のあるリンスも推奨されている。これらの代表
的な製品としてはResi-CortTM(Virbac;ビルバック)があり1%のヒドロコルチゾンを含有し週1-2回使用する。



Edward C. Feldman, DVM

2005年度日本臨床獣医学フォーラムプロシーディングより2005年9月25日UP
インスリン製剤の概要
 市販されているインスリン製剤は,皮下注射後の作用の発現時間,持続時間,効果の強さ等によって分類されて
いる.犬の糖尿病の長期コントロールで一般的に使われているインスリン製剤は,イソファン(NPH)およびレンテ・イ
ンスリンであるが,猫で最も一般的に使用されているのはレンテ,ウルトラレンテおよびプロタミン亜鉛(PZI)インスリ
ンなどである(PZIは,AKZO NOBEL社グループのIntervet(インターベット)社が獣医科向けの犬用インスリン製剤と
して「Vetsulin:ベッツリン」という商品名で米国で最近新発売した).
 NPHおよびPZIインスリンは,魚由来の蛋白と亜鉛を含有させることにより,インスリンの吸収性および作用の持続
性を延長させた製剤である.インスリン製剤は牛・豚混合製剤,牛または豚精製製剤,ヒト遺伝子組換え型インスリ
ン(ヒュームリン:Humulin)などが入手可能である(日本では,ヒト遺伝子組換え型のみ).
 市販されているインスリン製剤は,新しい豚精製インスリン:Vetsulinは例外として,全てヒト型アミノ酸配列を有す
る遺伝子組換え型インスリンとなった.犬,豚,ヒトのインスリンのアミノ酸配列はそれぞれ類似しているが,猫のイン
スリンに最も類似しているのは牛のインスリンである.ヒトの糖尿病の治療には遺伝子組換え型のヒト型インスリンの
使用が益々増加し,このタイプのインスリンは犬及び猫においても非常に効果的である.ここ数年で数種類の新しい
インスリンが市販された.
 これらの新しいインスリン製剤には,レギュラーインスリンより作用が強く,持続時間が短いタイプ(リスプロ:Lispro
及びアスパート:Aspart,日本ではノボラピッドなど)や,我々がすべてのインスリン注射に最終的に期待する作用
で,作用があまり強くなく,一日中一定の濃度が持続し,作用の変動が少ないインスリン製剤(グラルギン:
Glargine)などが含まれる.これらの新製品は,現時点で犬や猫への使用は限定的である.



from Ettinger/Feldman, Veterinary Internal medicine 6th ED

2005年8月21日

巨大食道症が最近3例続いて来ました。自然治癒率がかなり高い病気であることも驚きですが、いつも検査
を始める前に本を色々調べて時間を費やしていましたので、今回は完璧にまとめてみました。
検査法の抜粋
診断基準
@血清中アセチルコリン受容体抗体
 アセチルコリン受容体に対する血清中の抗体を検出することで診断する方法。検査は簡単で、高い特異性を持っ
ている。この検査の感度を評価するのは難しいが、筋肉のバイオプシーで局所に免疫複合体が確認されたMGの犬
の15%はアセチルコリン受容体抗体が陰性であった。このような明らかな偽陰性の説明として、これらの抗体が
局所への高い親和性を有しているため血清中に遊離しにくいためか、または検査上α-bungarotoxinに結合しない
抗体が存在することなどが考えられている。

Aテンシロン・テスト
  超短時間作用型の抗コリンエステラーゼ剤(塩化エドロフォニウム:edrophoniumchloride=Tensilon)を投与して、
筋肉の緊張性が増強するかを観察することで診断する方法。
<方法>
  0.1-0.2mg/kgの塩化エドロフォニウムを静脈内投与
<判定>
  数分以内に一過性の臨床症状の改善が認められるか観察する
<備考>
  食道の筋肉はテンシロンに反応しない。また局所性の筋無力症の診断には有効性が低い。 また、偽陽性、偽
陰性の検査結果認められる。




小動物糖尿病治療の最新情報

竹内和義

 ヒト遺伝子組み換え型インスリン製剤の出現により、われわれ獣医師は大きく方向転換を強いられることになっ
た。それまで小動物の世界で多用されてきた牛や豚由来のインスリン製剤が、日本では全て製造中止になったため
である。この過渡期に於いては、小動物に応用できるのか、多くの日本の獣医師が頭を悩ませたが、犬に関して
は、ヒト遺伝子組換え型でも大きな問題はなく、従来に近い作用を発揮することが最近やっと理解されてきたように
思われる。しかし、まだまだこれらの製剤に関する様々な問題点があるため、犬および猫における現時点での最新
の糖尿病治療概念や、推奨インスリン療法およびヒト遺伝子組換え型インスリン製剤の特性などについての概要を
解説する。



インスリン・グラルギンと猫の糖尿病の治療

ACVIM 2004

Jacquie Rand, BVSc, DVSc, DACVIM; Rhett Marshall, BVSc, MACVS
Brisbane,Australia

Treatment options for feline diabetes mellitus comprise insulin therapy, dietary management, and oral hypoglycemic agents.1,2,3 Of
these, insulin therapy offers the most reliable means of achieving glycemic control. The insulin preparations currently available are less
than ideal because of inadequate duration of action, presumed poor absorption, variable glucose lowering response, and poor
commercial availability in some countries.1,2

猫の糖尿病の治療オプションは、インスリン療法、食事管理、経口血糖降下剤などがある。1.2.3 血糖コントロー
ルを達成させるには、インスリン療法がこれらのオプションの中では最も信頼性がある。現在入手可能な多くのイン
スリン製剤は理想的とは言い難い。その理由としては、最適な作用持続時間が得られにくかったり、吸収が不安定
だったり、血糖降下作用が不安定だったり、国によっては動物用として入手が困難、などがあげられる。

2004年11月20日更新



from VIN ROUNDSJanuary 11, 2004

by Dr. Mitchell Song, Dermatologist(ACVD) ,Phoenix



最近アメリカでは「ATOPICA」アトピカの商品名でノバルティスからサイクロスポリン製剤がア
トピーの治療薬として販売されるようになった。

(作用)

サイクロスポリンAのアトピーに対する主な作用機序は、アトピー性皮膚炎の主な発症病理で
ある、サイトカインの産生を阻害することにある。

(用量)

5mg/kg SID PO (3.6-6.7mg/kg/day)  

→以後は本文参照 2004年11月20日更新





今話題のグラルジン使用に関する最新情報です

2004年のACVIMのプロシーディングから翻訳しました。もし血糖値が360mg/dL以上であったら、グラルジンを0.5U/kg(理想体重として)の1日2回投与で開始
する

  • もし血糖値が360mg/dl以下であったら、0.25U/kgの1日2回投与で開始する
  • 4時間毎に採血して12時間の血糖曲線を描出(測定)する。
  • 最初の1週間はけっして用量を増量しないこと。
  • 生化学検査的または臨床的に低血糖症状が認められた場合は用量を減じる。
  • 猫は最初の3日間は入院させるか、3日間自宅で血糖曲線を測定し、グラルジンの初期投与量への反応を
    良く観察することが推奨されている
  • 再検診は猫が退院後1.2.3.および4週目に行い、その後は必要に応じて決定する。
  • 多くの猫は最初の3日間は軽微な血糖降下作用しか示さないが(決して用量を増量しないこと)、投与開始後
    10日目頃よりほとんどの猫が良好な血糖コントロールが得られるようになる。
  • ケトアシドーシスを示す猫の場合は、治験数が増えて使用法が確立するまでは、現段階では短時間作用
    型のインスリンを使うべきである。



スコティッシュフォールドの骨軟骨異形成症

2004年10月5日更新

takeのコメント

つい最近、スコティッシュフォールドの跛行の症例が来院しました。この問題に関しては勉強不足であった
ため少々調べてみました。以下昨年のWorld Small Animal Veterinary Association World Congress
での内容が新しいので、その一部を翻訳しました。是非ご参考になさってください。

 最近のオーストラリアでの研究で、スコティッシュフォールドのヘテロは、個体毎に程度は異なるが永遠に進行性の関節炎に苦し
められることがはじめて確認された。従って、ホモ(同型種)垂れ耳遺伝子を持つ猫は若齢時より病的な関節炎を進行させるが、一方
ヘテロ(異形種)の垂れ耳種は関節炎を発症するがホモ種よりゆっくり進行する。これらの猫の耳の軟骨は不完全な変形を示すため耳
介は一見正常に見えるが、おどろくべき事に、これらの関節軟骨は、典型的な猫の活発なライフスタイルによる摩擦・加重には次第に耐
えきれくなる。
 スコティッシュフォールドこのような問題は、多くの犬種が遺伝的な突然変異の問題を抱えているのと同様であり、言い換えると、耳の垂
れた猫で健全な関節を持つ事は不可能と言えるのである。
 この問題への唯一の答えは、垂れ耳の猫の繁殖を中止することである。ブリーダーもオーナーも、この種の猫の特有の性格や
体型はスコティッシュ・ショートヘアーも同様に持っていて、なおかつ悪い遺伝的な軟骨異常の遺伝子は持っていないことで満足して頂き
たいと考える。ブリーダー達がこの分別のある解決法を受け入れてくれるかどうかは不明であるが。




(要約版)

アトピー性皮膚炎の治療は、如何にステロイドを少なく使って良好なコントロールを維持するかがポイントと
なる。

我々臨床家は、教科書や専門医の講演などから

抗ヒスタミンや必須脂肪酸、シャンプー療法などの補助療法がアトピー性皮膚炎に効果があると教えられて
いるが、実際どの程度効果が認められるのか不安を感じている。

この研究では、必須脂肪酸を投与することで、すぐに有意な効果は認められないが、長期間投与することで
統計学的にも有意な治療効果があることを証明してくれている。

takeのコメント

2004年9月28日更新



Postoperative pain management using fentanyl patches in dogs.

フェンタニールパッチによる犬の術後鎮痛管理について

2004年5月19日UP

ContempTop Lab AnimSci 42[4]:21-6 2003 Jul

Gilbert DB, Motzel SL, Das SR


To the ability of the fentanyl patch to control pain in a postoperative canine model, we provided two male
beagles with 25-mg/h patches and two with 50-mg/h patches 24 h prior to surgery. Each animal underwent a
major abdominal surgical procedure to place three separate catheters with associated vascular access ports.
Serum plasma levels of fentanyl were analyzed at multiple time points throughout the study period.
犬モデルにおけるフェンタニールパッチによる術後鎮痛効果を検討するため、2匹ずつの雌の
ビーグル(合計4頭)に25mg/hと50mg/hのパッチをそれぞれ手術の24時間前に貼り付けた。そ
れぞれの動物は主要腹部手術を実施し、3本の血管確保のカテーテルを留置した。研究期間
中様々な時間で血清フェンタニールレベルを分析した。




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うっ血性心不全の治療法

陽性変力作用薬およびACE阻害剤の役割

2003年11月7日更新

さわり

ピモベンダンは、カルシウム増感作用剤で、結果的に強い陽性変力作用を発揮します。この作用はリン酸ジ
エステラーゼ阻害作用によって補足されています。後者は最終的にある種の血管拡張作用を示し心室の拡張機能を
改善させます。また、血清サイトカイン濃度も減少します。すべてにおいて良い作用ですね!。ジゴシンはこれに比
べると変力作用は弱く、軽度の利尿作用、中等度の抗不整脈作用(例:心房細動)および自律神経系への
効果(とても良い作用)として迷走神経系の緊張させ、圧受容体機能を改善させます。



2003年10月27日UP




by石田卓夫先生 2003年9月5日版



米国で出ている新しいクッシングの治療薬の最新情報
New Treatment Options in Canine Cushing's Syndrome
犬のクッシング症候群の新しい治療薬選択について

WSAVA 2002 Congress

Claudia E. Reusch, Dipl ECVIM-CA



2003年09月05日 猫のインスリン療法の最新情報
2002年06月21日 ホームページオープン



このHPは以前竹内獣医科病院のHPでしたが病院が移転したため下記のたけうち動物病院のHPに移転しました.
このHPは獣医師・AHTなど動物病院関連の人たちに役立つ情報を提供するために作られたものです.

一般のクライアントはhttp://www.takeuchi-vet.comに移動して下さい.



リンク集

たけうち動物病院  http://www.takeuchi-vet.com

 takeの病院のホームページです.2002年1月28日に新規移転しました.

JBVP 日本臨床獣医学フォーラムhttp://www.jbvp.org/

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VIN(Veterinary Information Network Survice)http://www.vin.com/

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   私の病院を設計してくれた会社です.最高にセンスあふれています.