『ふじさわ市民の党ニュース』 -vol.11 (2002.03)

 ”湘南市合併”は誰のため?

1.中央官僚のお膳立て/これでも「自主合併」?-
山本藤沢市長は、「合併は県や国からのお話では全くありません」と言いますが本当にそうでしょうか。
95年の「合併特例法改正」以降、合併を推進するためのお膳立てが次々と旧自治官僚によって進められました。
下記のように、主には、05年3月までを時限とした補助金等による誘導政策です。
また、旧自治官僚から都道府県に出された「指針」は「市町村の主体的な取り組みが必要である」とうたう一方、「市町村の合併パターンは都道府県が作成するものとする」と決めつけ、「新指針」では「市町村合併の推進はもはや避ける事のできない緊急の課題」と断じる上意下達のやり方です。
各省庁の官僚の出す「指針」「通達」の類は通知されるだけで、都道府県はそれを「命令」と解釈し、市町村に対して同様の「強制」が行われる仕組みで、中央官僚の意向が法制化を待たずに貫徹されているのです。

94年 地方制度調査会(総理大臣の諮問機関)が「市町村の自主的な合併の推進」を答申
95年 「市町村合併の特例に関する法律(合併特例法)改正」
   ・有権者の2%(50分の1)の署名で、設置自体が「合併を前提とした」法定合併評議会(※1)を直接請求できるようになる
   ・合併後5年間は従前の地方交付税を継続する特例期間を設けて財政支援する
99年 「合併特例法」さらなる「改正」
   ・地方交付税を継続する特例期間を合併後10年に延長(※2) ・合併特例債の発行可(※3)

※2 合併後10年は、しなかった場合の普通交付税の全額保障。国はその後に地方交付税の大幅削減を果たせるのです!
※3 最大で事業費の95%までを地方債(借金)発行でまかなえ、元利の償還70%を地方交付金で保障。こうしてまた、地方財政の赤字増による「合併バブル」の懸念が・・・・・・・

99年8月 自治省の「指針」=都道府県に「市町村合併の推進についての要請」を作り区割り案の策定を義務づける
00年12月 行政改革大綱「(与党の[市町村合併後の自治体数1000を目標])を踏まえ自主的な合併を積極的に推進し行財政基盤を強化する」と閣議決定
01年3月 総務省の「新指針」=「(県ごとに合併支援本部を設置し)H13年度中のできるだけ早い時期に少なくとも数箇所を合併重点支援地域として指定するものとする」「指定後1年以内に合併協議会が設置されない場合、協議会の設置について勧告を行う事を検討する」
国民の税金は国に6、地方に4の割合で納められ、支出割合は逆に、国が4、地方行政6に相当する仕事が担われています。地方への税配分を公平に調整すべき機能が、国の地方への統制機能となり、さらに地方への業務移譲は増やしながら、税配分全体を抑制する傾向の中に、今回の問題もあるのではないでしょうか。
合併を巡る急展開は、行革大綱の示すように、地方財政の借入金残高が01年度末で188兆円と見込まれる中、将来、地方に対する国の負担を減らしていくためのもので、「自立した地方財政を」と自らの既得権益を手放さずに合併議論を主導する国家官僚の裁量の下に進められているのです。

『湘南市研究会』ってなに?
1月8日、「湘南市」として三市三町が政令市へと合併する構想についての「湘南市研究会」が発足しました。(会長は平塚市長、副会長に藤沢市長・二宮町長、幹事は寒川町長・大磯町長。茅ヶ崎市はオブザーバー、県はアドバイザーという立場)
議会がはじめて説明を受けたのは2月22日の議員全員協議会。以下はその議論の要点です。
各市会議員からの質問に・・・・・・・・

「(中核市でやっている事はほとんどやっている状況で)私自身はつまらない。グレードの高いというとおかしいかもしれないが政令市を目指したい」「もっと強い財政力と組織力を目指したい」
「2市3町の首長は、将来的にも合併をしていっていいものではないかとの思いの中から研究を進めていこうという事」
「交付税の事とかもどうなるのか、それもこれから(研究する事)。このままだと自治体はどんどん衰退していってしまう」「県や国からの話しでは全くありません」
「選挙で問うという形もある。私はどうしようか考えていますけど(笑)」

与党会派 市議 「多いに研究し情報を出して欲しい」「早く茅ヶ崎市をどうにかすべきでは」

原田 「議会への説明があまりにも遅い。議会軽視では?」「研究会の議事録は公開するのか」

市長 「全部、議会に問わなければならないというものではない。とんでもないと言うのであれば、議会で予算を否決していただくしかない」

原田 「推進している人だけで話し合って、合意したものだけ情報公開するというのであれば、メリットだけ出てくるのは当たり前。意見の違い、それがどういう問題なのかも出して明らかにすべき。その用意もなく『研究会は議論する場であって一定の方向に結論を導くものではない』と言っても、そもそも信用されないのでは? 

市長 「研究会が信用あろうとなかろうと、それはあなたの判断で私には言われたくない問題(怒)」「さっぱり分からない。答えたくない」「議事録の透明性というがこれは私一人で決められない。研究の成果という事ではこれからも発表していこうと思います」「絶対主義の市長を求めているのか?他の首長と話し合って決めていかなければならない事で、私も藤沢の一市民として言わせていただければ、それを伝えるという形になるわけでございます」

原田 「・・・?(苦笑)」


※検索については掲載が次議会直前で遅いのですが。http//www.city.fujisawa.kanagawa.jp/gikai


「合併を進める」立場からの研究メリット、デメリットを公正に示すことが出来るのでしょうか。
議会も「湘南市研究会」や市長に対して「デメリットも示せ」というだけでは、事の本質を明らかにすることは不可能だという事です。
どこから合併議論がはじまったのか?市民生活はどうなるのか?財政力アップは本当?・・・・等々、誰のための合併なのか、問題点をシリーズで明らかにしていきたいと思います。