日程 | 1995年12月25日〜1996年1月7日 |
バイク | YAMAHA XT600 |
バイクレンタル | AUSTRALIAN MOTORCYCLE TOURS |
12月24日、シドニーへ到着。25日早朝、前回と同じバイク屋でYAMAHA XT600を受け取り、出発。かなり寒かったので、朝食と熱いコーヒーが飲みたくて店を探した。しかし開いている店は1つもない。早朝だから仕方がない。ハーバーブリッジの料金所も何故か無人で素通りすることができた。ラッキー!今に店も見つかるだろうとたかをくくり、内陸へとバイクを進めた。天気が悪く、気温も上がらない。しばしバイクを止め、体を暖めるべく、道の端で腕立てとスクワットをする。そして、車のドライバーたちの熱い視線を浴びた。
それから走ること約3時間。空腹と寒さで気力と体力に限界が・・・。そしてようやく「マクドナルド110?先」という看板を見つけた。朝から何も飲まず食わずだったので、小さくガッツポーズ。しかし、110m先にマクドナルドはなかった。「11kmだったか?まさか110kmじゃないよな。」すぐに引き返し確認した。そして、そのまさかが的中した。110km・・・。目を疑ったが、何度見直しても110kmだった。やっと熱いコーヒーにありついたと思ったら、こんな仕打ちが待っていた。ここから1時間以上もかかるではないか!110kmも手前にこんな看板をわざわざ立てる必要はあるのか?
ぶつぶつつぶやきながら一路マクドナルドを目指して走る。意地悪なマクドナルドに腹を立てたが、他に開いているところはないので、穏便に済ましてやることにした。とにかく今はマクドナルドにすがって行くしかない。もう僕にはマクドナルドのこと以外に何も考えることができなくなっていた。そして「マクドナルード」という日本のコマーシャルの1フレーズを、エンドレスに繰り返しながら、やっとの思いでヨタヨタと辿り着いたのであった。とにかくまずは熱いコーヒーだ、とバイクを止める・・・。そして僕は信じられない光景を目にしたのだった。
「閉まっている・・・。」はるばる110kmもバイクを飛ばしてきたのに・・・。何度も「マクドナルード」と繰り返したのに・・・。「泣きっ面に蜂」とはこのことである。しかし、そんな状況の中でも僕は新たな活路を見出した。町外れにケンタッキーフライドチキンの看板を見つけたのである。そして、猛ダッシュ。
さらなる悲劇が待っていた。「刺されっ面にビンタ」とはこのことである。何とケンタッキーも閉まっていた。クリスマスにケンタッキーフライドチキンが店を閉めてどうするんだ!!
いくら叫んでもみても、クリスマスはクリスマスなのだ。この国のクリスマスは日本の元旦以上の正真正銘の休暇なのであった。
しかたなくガソリンスタンドで冷めたコーヒーとビスケットを買い(ビスケットしか売っていなかった)、空腹を満たし、次の町へ向かう。そしてキャンプ場を見つけ、夕食を調達すべく町に出た。やはりスーパーマーケットは閉まっていた。開いているのはガソリンスタンドだけだった。そして、またまた、ビスケットとステーキ・ベジタブルの缶詰を買った。ステーキベジタブル?どんなものなのかよくわからなかったが、ステーキという文字に激しく反応してしまったのである。そして小さく書かれた"INFANT"という文字に気づかなかった・・・・。
缶を開けると、ペースト状のどろどろしたものが入っていた。いくら掻き回してもステーキらしき肉片は入っていない。そしてまずい!何がステーキだ!そしてやっと気づいた。それは赤ちゃんの離乳食であった。
ビスケットと離乳食。これが僕のクリスマスディナーなのであった。
カメラ・・・MINOLTA X700 レンズ・・・タムロン28-200mm F/3.8-5.6 Aspherical
とても爽快なダートが続く。もちろんコーナーでは、対向車に細心の注意を払わなければならない。直線ではかなりスピードが出るので、十分な減速が必要だ。僕は車には注意していたが、牛の存在を甘く見ていた。彼らはどこにでもたむろしている。林の中、川、道の真ん中、そしてコーナーの出口にも・・・。
ちょっとオーバースピードだったかもしれない。「うわっ!牛だ!」「うりゃぁ〜!」咄嗟にハンドルをコーナーの外側に切り、そして体勢を立て直すべくリアも外側にスライドさせる。「見たか、俺のテクニックを!!」牛に向かってガッツポーズ!無事クリアしたと思ったら、一難去ってまた一難である。何と目の前には、湯気立ち昇る巨大な「う○こ」の塊が・・・。バケツ2杯ほどにもなる量だった。しかも、下痢気味だったらしくたっぷり水気を含んでいて、泥のように柔らかかった。
バイクには、必ず見た方向(目線の方向)に進んでしまうという習性がある。電柱を見て、ぶつかると思ったときは、必ず逃げる方向に目線を向けなければならない。電柱を見てしまうと電柱に吸い寄せられ、自爆となるのである。
不覚だった。僕は、う○こを思わず凝視してしまった。そして、その習性どおりにその塊に吸い寄せられていった。もう抗うこともできなかった。前輪で勢いよくスプラッシュ!そして、僕のジーンズとブーツはう○こまみれになった。ショックだった。生まれてはじめての惨事だった。しかし「牛と衝突して、う○この上に転倒するよりはましだ。」と自分を慰め足早にその場を立ち去った。牛は「気をつけろ!バカヤロ〜!」とは言わなかったが、去り行く僕を、何かを言いた気に見ているようだった。
しばらくすると、雷雨の兆しが・・・。これは恵みの雨だと思い、雨具を着ずに突入。そして40分ほどで雨は止んだが、期待したようにう○こは洗い流されること無く、う○この上に泥のコーティングを施すという、より悪い状況に陥ることになった。
3時過ぎに宿泊予定地に到着。腹が減っていたので、マクドナルドへ立ち寄る。どろどろになった僕のズボンを見て、う○こまみれと見抜いた人は誰もいなかった。別にクリスマスの仕返しに行ったのではないということをつけ加えておく。