2003年9月のバックナンバー


2003年9月6日 塔の上の虎

 18年ぶりの阪神タイガースの優勝が目前に迫る中、通天閣の上が黄色と黒のシマシマになり、チームのエンブレムが掲げられた。大阪はいよいよ熱くなってきている。

2003年9月20日 カッレスキャビア

 初めてこれを見たときは、歯磨き粉かと思ったが、実はスウェーデン産のチューブ入りタラコである。向こうでは、これでもキャビアと呼ばれている。チューブに描かれた男の子(カッレ)のように、パンに塗って食べるのが基本であるが、現地滞在の日本人の間ではタラコスパゲッティにするのが秘かに流行っていた。個人的には、スモーガスボードで半分に切ったゆで卵の上に載せて食べるのがいちばん美味しいと思う。ちなみにタラコペーストが塗っているのは、クネッケブレッドというスウェーデンの堅パンである。触感は固めのクラッカーみたいだが、味はそれほどしょっぱくなく、噛めば噛むほど香ばしさが口に広がる。なぜ、スウェーデンでこのようなクネッケブレッドが作られるようになったかというと、昔、スウェーデンでは小麦粉を轢くのに水車を使っていたのだが、秋から冬にかけては川の水量が少ないため、水量の豊富な春から夏にまとめて小麦を轢いて、それを長期保存に適したクネッケブレッドにしたのだそうだ。なお、日本ではすぐに湿気を吸ってしまうので、保管の際には乾燥剤が不可欠だ。

2003年9月23日 古地図展

 秋分を迎えてだいぶ関西も涼しくなった。天気もいまひとつ冴えなかったので、神戸市立博物館で開かれている"古地図に見る「日本」展"を見に行ってきた。欧州の古地図上で見られる日本の地形の変遷も見ていて面白いのだが、なによりも印象的だったのは、江戸時代の鎖国中に日本で作られた世界地図であった。基本的には長崎経由で入ってきたオランダの地図を模写・翻訳したものなのだが、実はなかなか正確に出来たものが多い。たとえば北欧に目をやると、ウーランド(エーランドのオランダ語読み)やゴットランドという地名がカタカナで記されている大屏風があったりする。国境も今日と異なり、たとえばフィンランドとエストニアはスウェーデン領の一部として描かれている。行くことも許されぬ彼方の世界を、当時の人々はどのような思いで想像していたのであろうか。鎖国中であったにもかかわらず、彼らは意外と海外事情に通じていたのかもしれない。

2003年9月29日 フランク・ロイド・ライト

フランク・ロイド・ライトが設計したヨドコウ迎賓館(旧山邑邸)を見に行った。六甲山の斜面に張り付くように建てられたこの別荘は、日本に建築当初の姿のまま現存するわずか2件のライト建築のひとつである(もうひとつの物件は東京都豊島区の自由学園講堂である。もっとも重要なライト建築であった帝国ホテルは1968年に取り壊され、エントランス部のみが愛知県に移築されて残されている)。この建物は1924年に醸造業を営む山邑氏の別荘として建築され、1974年に重要文化財に指定された。これまでに2度の大規模修繕が行われ(1995年の阪神大震災でも損傷した)、現在は博物館として公開されている。20世紀に日本で建てられた建築物の中でもっとも印象的な建物の一つであり、私もただひたすらその絶対的な美しさに言葉を失うばかりであった。

ところで今朝、この建物のすぐ下の芦屋川で、翡翠(カワセミ)を見かけた。これまた驚くほど美しい生き物であった。それにしても住宅地の真ん中で翡翠を見るなんて、本当にびっくりだ。


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