2003年6月のバックナンバー


2003年6月8日 通天閣

 いよいよ、新サイト「つうろく」が始まった。大阪人の、何でも四文字に縮めて呼ぶ風習に敬意を表してのネーミングである。

 私は、この2月までスウェーデンに4年ほど住んでいて、「北限の205」というサイトを作っていた。このサイトは知る人ぞ知る、とってもディープなスウェーデン+ヨーロッパ+プジョー205+ワイン情報サイトだった。

 そしてこの3月から日本に戻ってきたのだが、生まれて初めて国内では東京近郊以外の場所に住むことになった。国内では、というのは、実は子供のころ、アメリカに3年間ほど住んでいたからで、おかげで私の頭の中の構造は、どこか日本人離れしたところがあるようだ。三つ子の魂百まで、というのは本当だと思う。

 さて、外国から日本に帰ってきてみると、関西というのはなかなかエキゾチックな土地である。東京でも、浅草や柴又、根津、千駄木、谷中といった、日本的な町並みが残されている地域がないわけではないが、関西の方が日本らしさを感じさせられる街角が多い。たぶん、関西に長く住むうちに、印象の新鮮さが失われて行き、次第に当たり前の光景になってしまってしまうだろうから、そうなる前に、関西で見聞きしたいろいろなことを書き留めておこう、という気になったのである。

 もうひとつ、新サイトを始める契機になったのは、新しく出たカシオのメガピクセルカメラつき携帯電話A5401CAを手に入れたことである。このカメラつき携帯というのは、いかにも日本的な小道具だから、これを使って関西の光景を切り取ってみたいな、と思ったのである。実際に使ってみると、ピントが無限遠に固定されてる関係で、近くのものはフォーカスが甘くなる嫌いはあるが、思いの外、画質は良い。タイトルの通天閣の写真も、VGAモード(640x480ピクセル)で撮影したものを、画像処理ソフトで320x240ピクセルに変換したものだ。

 なにぶん気の多い私のことなので、話題があっちに行ったり、こっちに行ったりするのは、間違いなかろう。食べ物やお酒の話題が多くなるのも、ほぼ確実なことと思われる。まぁ、気楽に読んでいただければ、なによりである。

 それでは、あたらしい物語の、はじまり、はじまり。

2003年6月10日 発掘現場

 通勤経路の、阪急電車沿いに、小さな発掘現場がある。なんの発掘現場かは、知らない。柵にはられた掲示を見ると、マンションの建築現場らしい。きっと、おそらく、調査が終わったら、破壊されてしまうのだろう。

 私は、発掘現場が好きだ。日本でも、外国でも、つい、覗き込みたくなってしまう。なぜだろう。わからない。もしかすると、他人の秘密を覗き込むような匂いがするからなのかもしれない。そういう意味で、ポンペイは最高だった。晩夏の日差しに焼かれて、まるでオーブンの中にいるが如く、暑かったけど。

2003年6月11日 ジャンジャン横丁

 ジャンジャン横丁。通天閣の南から、地下鉄御堂筋線動物園前駅に至る一角である。今の若い大阪人の中には、けっして立ち寄ろうとしない人も多いと聞く。

 たしかに、町行く人を見ると、年配の人が多い。都市工学で言うところの、典型的なインナーシティーである。唯一、若い人が並んでいるのは、ここが発祥の地と言われる串カツ屋の店先だけである。

 アーケードの空き地を囲う鉄板では、「新世界なつかし写真展」が開かれていた。その副題は、「あの頃、みんな若かった」。将棋クラブの窓ガラスからアマチュア名人の対局を覗き込む老人たちは、どう思っているのだろうか?

2003年6月12日 ラッシュアワー

 梅田駅地下通路。絶え間ない人波。この光景、どこかで見た気がする。そう、アンダルシアの田舎道を横切っていく羊の群れ。なんでだろう?

2003年6月15日 お好み焼き

 私はお好み焼きが大好きだ。東京育ちの私がそう言うと、大阪の人たちは、とても嬉しそうな顔をする。そう、お好み焼きは大阪人の心の拠り所なのである。なんといっても、大阪の、お好み焼きをおかずにしてご飯を食べる風習には脱帽だ。初めて聞いたときには、大阪人はそこまでお好み焼きが好きなのか、と驚愕したものだ。ましてや、写真のモダン焼きなど、ピザの中にスパゲッティを焼き込むようなものだ。いくらイタリア人がピザもスパゲッティも大好きだからといって、そんな話は聞いたことがない。

 ところで「お好み焼き」というネーミングの起源について、いろいろと調べてみたが、どうにもはっきりしない。モダン焼きも、どこがモダンなのか、まったく不明である。調理法自体に関しては、千利休が作った茶菓子が起源云々といった話もあるようだが、真偽の程は定かでない。個人的には韓国のチヂミがいちばん近いように思うが、おそらくは外国からの影響を受けながら(ソースやマヨネーズの多用がその象徴である)、まさに「お好み」どおりに進化してきたというのが、本当のところではなかろうか。

 まぁ、小麦粉を水に溶いてフライパンで焼いた一種のパンケーキという風に考えれば、お好み焼きもユビキタスな存在なのかもしれない。

2003年6月21日 夏至祭

 スウェーデンでは、暦上の夏至にもっとも近い土曜日が、夏至祭の祝日になる。もちろん、この時期の挨拶は、「夏至祭、おめでとうございます」である。それほど目出度い日なのだ。向こうにいる友人たちが一年でもっとも陽気な(そしてちょっと飲んだくれた)パーティーをやっている様子が目に浮かぶ。

 日本では、ちょうどこの時期は梅雨の最中であることもあって、あまり夏至だからといって特別なことをやらないように思う。ただ、今年は暦上の夏至である6月22日に、「1000000人のキャンドルナイト」といって、午後8時から10時まで電気を消してロウソクの光で過ごそうという運動が行われるらしい。宇宙から見た夜の日本列島は煌々と輝いているが、それがどのくらい減光されるか、人工衛星から撮影する計画もあるそうだ。

 なかなか面白い企画ですね。

2003年6月24日 梅雨

 梅雨時は、本当に通勤が憂鬱だ。職場に着いたら靴を履き替えないと、どうにもたまらない。でも、私は雨雲が山の頂を隠している風景が、好きだ。どことなく東洋的な感じがするから。

2003年6月27日 ペッパーカカ

 梅田のスーパーで懐かしいものを見つけた。ペッパーカカ。スウェーデン特産のショウガとシナモンが入った薄焼きクッキーだ。なんといっても、缶に描かれた絵が良い。夏のストックホルム群島だろうか。青い海、青い空、サマーハウス、蒸気船、ヨット・・・・ こんなにたくさんのクッキーを食べれるわけでもなのに、つい買ってしまった。


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