早いもので、当院も2000年の開院以来8年目に入りました。
皆様のご支援のお陰で、これまで多くの出産に関わらせていただくことができました。
そこで今回は、これまでご出産いただいた皆様へのご報告を兼ねて、分娩の統計(2001年1月から2007年12月までの7年間について)をまとめさせて頂く事にいたしました。

私どもとしましても、過去の実績を振り返ることは今後の診療を充実させるためにも重要なことと考えております。これを機会に、
今まで以上に皆様にご指示いただけるような医院作りに力を注ぎたいと思いますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

2008.6. 医療法人 慈久会 たかせ産婦人科



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過去7年間で延べ総数3507名のご出産がありました。そのうち初産婦さんが
1705名(48%)経産婦さんが1802名(52%)とやや経産婦さんのほうが多くお産されています。特に、経産婦さんの約30%、全体の約16%は以前に当院でお産をされたリピーターさんで最近はその数も年々増えてきています。皆様に繰り返しおこし頂ける事は当院にとっては、高く評価をいただいたものと感謝しております。
近年は分娩数の制限を行うことにより、より皆様への対応を充実するように努めておりますが、リピーターさんのご予約については何時でもお受けしておりますので、今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。



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分娩の方法をみますと、2915名約84%と大半が自然分娩をされておりますが、赤ちゃんの状態やお母さんの状態によっては、276名約8%は吸引分娩、316名約9%は帝王切開でお産されています。

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当院では、前回帝王切開で出産されている患者様でも
ご希望とその条件によっては自然分娩が可能であると考えております。
これを略語でVBACと呼んでいます。

このVBACに取り組んだり妊娠経過中の異常を減らすことにより、できるだけ自然分娩していただけるよう努力して参りました。
しかし、やはり安全にお産をしていただくためには帝王切開を選択せざるを得ない場合がございます。

134名約42%と約半数は前回が帝王切開でお産をされ、
VBACをご希望されなかったか、その条件を満たしていなかった患者様です。
最近はこの前回帝王切開の患者様が増えています。次に多いのは骨盤位(逆子)で93名約30%でした。
逆子も体操指導などをしておりますが、総分娩数の2.6%は逆子のままお産となっています。

胎児仮死とは、出産の進む中赤ちゃんがお産のストレスに耐え難い状態のために出産を急ぐ必要がある場合で、
最近では胎児機能不全と呼ばれています。
これが18名約5%ありましたが、さらに減らせるよう努力したいと思います。
児頭骨盤不適合は、初産婦さんで骨盤が狭く自然分娩が出来ない状態で、71名約23%でした。

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これまでに25名の患者様がVBACをされていますが、
やはりご希望になられても結果帝王切開となった患者様が15名約38%おられます。

これは、すべて予定日が過ぎても陣痛が起こらなかったためで出産中の異常はありませんでした。
通常、予定日が過ぎると陣痛促進剤を使用する場合がありますが
VBACではこの促進剤を使用しないことにしていますので帝王切開とさせていただいております。
VBAC成功率は約62%でしたが、この確立を上げることよりも安全な出産をしていただけるよう努力してゆきたいと考えております。

 

 

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当院ではできるだけ自然に始まった陣痛をもってお産をしていただきたいと考えておりますが、
一部に必要に応じて促進剤を使用する場合がございます。

その際には、説明文書をもってご説明させていただき同時に同意書をいただいております。

その使用理由をみると、多くは予定日超過で415名約45%にあたります。
妊娠週数が42週までにはお産になるようお勧めしております。
次がお産は始まったものの、陣痛が弱くうまくお産が進まない場合で324名約35%でした。
さらに、破水をしたのに陣痛がおこらないと赤ちゃんに細菌感染の影響を与えることがあるので陣痛促進をすることが177名約19%ありました。
促進剤の使用頻度は、7年間のトータルでは26%ほどでしたが、
2007年度は18%と、近年さまざまな努力によりその使用頻度を減らすことが出来ています。
今後もさらなる工夫をしたいと考えています。


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男児1827名52%、女児1679名48%とやや男の子のほうが多かったです。



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出産前後に赤ちゃんやお母さんに異常が生じた場合には、総合病院へ搬送させていただく場合がございます。
当院で対応できない妊娠35週以前の早産であったり、その他搬送が必要な状態である場合に対応させていただいております。
出産前後ともに(母体搬送46名・新生児搬送28名)全体の約1-2%程度でした。

搬送先としては、市立豊中病院を始め、国立循環器病センター・大阪大学附属病院などを中心にお世話になっております。
皆様もご存知のように、産科医療を取り巻く環境は年々厳しくなっておりますが、
幸いにも我が北摂地域は機関病院にも恵まれております。
これまでも、緊急時の対応などうまく連携をとることが出来ています。
出産には、早産や赤ちゃんの問題以外にも出血など予想外のことがおこることがありますので、
十分な体制をもって皆様におこし頂ける様に努めるとともに、
これまで以上に近隣施設との連携を密にして診療に当たってゆきたいと思います。

また、双子(双胎妊娠)もこれまでに18組36名ご出産いただいております。

出生時の体重が2500g未満の赤ちゃんを低出生体重児と呼んでいます。
203名と全体の5%ほどおられますが、その後は順調に成長されています。