『当院における胎児心臓超音波(STIC法)』について

 

2008年6月より2010年5月までの2年間で1211名の患者様に対し、1344回(再検の必要が133回9.9%あったため)の検査を行ってまいりました。

【STICの異常結果について】
この結果、最終的に検査異常と判断した患者様は9名0.7%でした。
これらのうち8名は心室中隔欠損症(VSD)、1名は心臓血管の異常を疑うものでした。
出生後確認したところ、VSDを疑った8名のうち2名は正常でしたが、6名にVSDを認めました。そのお子さんたちは、VSDの程度には差がありましたが、いずれも手術などすることなく経過をみておられます。
1名には、ファロー四徴症の診断で手術が必要でした。

【STICの正常結果について】
以上の9名以外の1202名は検査で正常という結果でしたが、出生後12名0.9%に心臓雑音を認め、小児科にて超音波検査を受けていただきました。その結果、重複診断含め、肺動脈部狭窄7名、卵円孔開存10名、心室中隔欠損症(VSD)2名、動脈管開存2名が見つかりましたが、いずれも手術など必要なく順調に経過されています。これらはほとんどが自然に治るもので、程度も軽い為妊娠中の検査では正常と判断したものと思われます。

以上、出生後の赤ちゃん19名1.5%に心臓に何らかの異常がみつかりましたが治療が必要な赤ちゃんは1名のみでした。 
また、この検査では心臓の異常以外にも横隔膜ヘルニアの早期発見で、当院でも妊娠中に診断がついた赤ちゃんがおられます。
この方は、大学病院へご紹介し無事経過しておられます。


【正診率】
1211名の患者様に行った検査の結果、14名の患者様がSTICの診断と出生後の診断が異なっていましたが、1197名の患者様は正しく診断されており、正診率は98.8%でした。

これからもこの検査を続けることにより、皆様に安心してお産していただけるよう努めてまいりますので、検査にもご協力お願い申し上げます。

医療法人 慈久会 たかせ産婦人科
高瀬規久也