HPカウンターキリ番「6014」リクエスト:For 蘭堂さま
お題:藤真×三井
す、すんません!!こんなにお待たせしちゃって、そのうえに可憐な藤真君ではありませんね(泣)
予想通り(笑)藤魔くんになってしまったかも…。
どうしましょう?(泣)
天使の微笑み・悪魔の囁き
「あれ、三井じゃないか?」
休日で半日練習があった部活の帰りに、後輩達と繰り出したショッピングモール。
誰だ?
後ろから俺の名を呼ぶ奴がいた。
こんな時、振り返ると、だいたい後悔するんだよな…。
「おい、三井。シカトする気か?俺とお前の仲で?」
だ、誰だ?
いや、この声は…。
やはりシカトだシカト!
「おお!ホケツ君じゃないか」
振り返った桜木の馬鹿が声をかける。
「ミッチー、ホケツ君が呼んでるぞ?」
こ、この馬鹿…。
せっかく災難が降りかかるのを、避けようとしたのに…。
悪魔に餌をやるようなもんだぞ…。
「ホケツ君とは心外だが…。三井、いい加減にこっち向けよ。あることないこと言いふらしちゃうぞ」
「な、何を言いふらすつもりだ!」
し、しまった!とうとう、悪魔の囁きに振り返ってしまった…。
「よう!久しぶり」
振り向いた先には、悪魔が下僕を従えて偉そうに笑っていた。
「ミッチー、ホケツ君と友達か?」
赤頭の後輩は無邪気に聞いてくる。
「と、友達じゃねーよ」
「冷たいなー。それとも友達以上って言ってくれるのかな?」
「んな訳ね-だろ!変な誤解を与えるような言い方やめろ」
「二人ッきりで熱い夜を過ごした仲じゃないか。攣れないよ三井」
そう言うと悪魔は、俺に近づいて、抱きついてきた。
こ、このヤロ…!何をいきなり!!
「み、ミッチー」
「三井サン…、アンタまさか…」
桜木、宮城…お前等単純すぎだぞ…。
「ち、ちげーよ!中学の県代表合宿で部屋が一緒だっただけだ!ただの知りあいだ!友達じゃねー!離れろよ!」
俺は、悪魔を振り払って、一歩下がる。
ここは、はっきりと言っておかねば!
悪魔の友達なんて、なりたくもねー!!
「ふうん…。そうくるんだ」
悪魔は、俺の顔を見てにやりと笑った。
やばい…。
「さ、桜木、宮城!い、いくぞ!」
俺は踵を返して、立ち去ろうとした。
悪魔の前で長居は禁物だ。
「まぁ、待てよ」
馬鹿力で、俺の腕を引っ張るのは、見た目天使の根性悪の悪魔だ。
「は、離せよ!俺は、お前に用なんてねー!」
「せっかく、こんなとこであったんだから、茶ぐらい一緒にどうだ?」
「断る!よそのチームと馴れ合う気はない!」
「そんなこと言ってると、お前の後輩にばらすぞ」
「なッ…!」
「一緒に来るよな?」
悪魔がにっこり微笑んだ。
俺は、地獄の獄卒に引っ立てられるように、近くのこ洒落たカフェに引っ張っていかれた。
桜木と宮城も後ろについてくる。
何故、俺が、この悪魔を恐れているかというと、その中学の県代表合宿が原因だった。
こいつと俺は、当時、神奈川県下の中学バスケ界で、二大アイドルとして持ち上げられていた。
花のような少女めいた可愛らしい容貌のこいつと、それなりに某タレント事務所のアイドル並みの容姿の俺だから、見た目も言うことなしの上、バスケも県下で指折りの名プレイヤーだったわけだから、双璧として人気が伯仲するのもいたしかたないことだったわけだ。
他のメンバー達は、俺とこいつを崇拝していたから、この合宿の部屋割りを決めるという時になって、誰が俺たち二人のそれぞれと同室になるかで、異常な殺気が漲っていたんだ。
結局、抜け駆け禁止になっちまって、俺とあいつを同じ部屋にブチ込みやがった。
その頃、俺は、今以上にバスケ馬鹿で、色恋沙汰にはトンと疎く、初心なお坊ちゃまだったわけだ。
(まぁ、今だって、あんまりかわんねーんだけどさ)
でも、こいつは違ったんだよな。
可愛い大人しそうな顔して、結構お盛んだった様だ。
「ねぇ、三井くん?」
「ん?」
「キスしたことある?」
そう言って、あいつは、俺をベッドに押し倒したんだ!!
身長は、そんなにかわんねーのに、あいつ、俺より力が強くてさ…。
俺は、いきなりでびっくりして、固まっちまったんだよな。
まさか、バスケの合宿で、同性のこいつに押し倒されるなんて思ってもみねーだろ?
なんせ、バスケ馬鹿だったし…。
あの悪魔は、いきなり俺にキスしやがったんだ!!
俺は、すんげーショックで固まっちまった。
な、情けね−けど、俺のファーストキスはこれだったんだ。
バスケ一途だったから、男女交際まで余裕がなかったんだよ!!
「ふぅん…。三井くんもしかして初めてだった?」
あの悪魔がにやりと笑って、俺の顔を見たんだよ。
きっと、キスが下手だったんだと思う。
仕方ねーだろ…。
初めてだったし…。
「そっかー。僕は三井くんの初めてのひとになるんだねー。秘密の関係だねー」
そう言うと、またキスしやがった。
それ以来、中学卒業するまで、あいつは俺の弱みを握ったってことで、事あるごとに俺を脅しやがるんだ。
あいつが、翔陽に進学するってことで、俺にも一緒についてこいって誘うんだけど、それだけは拒否して湘北に決めたんだ。
やっと、すっきりしたんだよな。
あのいじめっ子から逃れられてさ。
まぁ、それから、少しブランクあって、俺はバスケに復帰したわけだけどよ。
翔陽とインハイ予選であたった時はちょっとびびったけど、まぁ、何とか無事すんでほっとしたんだ。
当分、悪魔とかかわりあうことはねーと思ってたのに…。
なんで、俺の目の前で美味そうに悪魔がアイスコーヒー啜ってるんだ?(泣)
桜木や宮城は、別のテーブルに翔陽の下僕達と座っている。
俺と悪魔だけ向かい合って座っているのは、俺の希望じゃねー!!
あいつの命令だった。
「三井、お前進学するのか?」
「あぁ?なんで、そんなこと聞くんだよ?」
「進学するんなら、俺もそこに行こうかなって思ってさ」
「なッ…!!なんで?」
「だって、同じチームでバスケしようと思ったら、三井の行くところにあわさなきゃ、三井は俺にあわさないだろ?」
「あたりまえだろ…。なんで、おまえと一緒の大学に行かなきゃなんね−んだよ!!」
「そりゃ、運命だよ」
「はぁ?」
「三井のはじめての人だからな、俺ってば」
「え?えぇー!!??」
離れた席に座ってる宮城と桜木が大騒ぎしている。
翔陽の下僕達も、なんだか慌ててやがる…。
わ、わざとだな!!わざと離れたあいつ等に聞こえるようにでかい声出しやがったな!!
悪魔は、無視して俺の手を掴む。振り払えねーくらい、馬鹿力だ。
「て、テメーッ!!」
「つれないこと言うなよ、三井。俺が一旦目をつけたら、逃がさないってわかんねーの?」
悪魔が天使の見た目でクスクス笑う。
どうしよう…。
も、もう逃げられねーのか?
俺は、目の前にぱっくり開いている地獄の釜の蓋に、ぐいぐい引き摺り込まれている亡者のようだ。
どうしたらいいんだ?
このまま、悪魔の餌食になっちまうんだろうか?
この、藤真健司という悪魔の…。