BBSカウンターキリ番「4000」リクエスト:For 蘭堂さま
お題:清田×三井
うーん・・・。
うまくいかないもんですね。
清田の独白にしたのがいけなかったのでしょうか?
ちっともロマンスが訪れませんでした(泣)
蘭堂さま、お待たせした上に、こんなはなしですみません(^^;A
Doki Doki
「おっ?なんだ、おまえか?」
あいつは、ちょっとびっくりしたように、俺のことを見た。
「なんだよ!俺じゃ都合悪ィのかよ」
「ん?んなことはいってねーだろ。ったく、血の気の多い野猿だよな」
そう言うと肩をすくめて、部屋に先に入っていった。
国体で神奈川の少年男子バスケットの県代表になった俺は、この連休を、他の代表のメンバーと海南大の合宿所で強化合宿として過ごすことになった。
部屋は二人部屋で、部屋割りは、くじ引きだった。
部屋の番号を書いた紙をそれぞれがひく。
俺は、208号室をひいた。
鍵を貰って部屋の前にいくと、同室の奴が待っていた。
湘北の三年、三井って奴だ。
湘北は、むかつく赤毛猿の桜木や、新人王の座を俺から奪っていった、スかした流川のいる、俺には鬼門のチームだ。
そこの三年の三井は、いつも偉そうで、俺の尊敬する牧さんにも馴れ馴れしい奴だ。
「おい、お前どっち使いてぇ?」
部屋の中で、窓際とドア側のベッドのどちらを使うか、三井が俺に尋ねる。
「べつに…どっちでも」
「んじゃ、俺こっちな」
そう言うと、三井は窓際のベッドに荷物を置いて、荷物を開き、服をクローゼットに掛けだした。
さっさと制服から、ジャージ姿に着替えて、かばんも、クローゼットの下に入れている。
「なんだ?まだそんな格好してんのか?」
振り向いて、呆気に取られた俺を見て、驚いたように言う。
俺も、慌てて服を着替えて、服をクローゼットに片付けていると、三井は、ベッドにダイビングしてごろごろし始めた。
しばらくして、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「はい?」
ドアを開けると、牧さんだった。
後ろに藤真さんと、花形さんもいる。
「牧さん?」
俺が、どうしたんですかと尋ねようとしているうちに、三井が後ろから牧さんに声をかけた。
「おせーよ、牧」
「すまん、これでも、急いだんだが…」
「ま、いっか、じゃ、いこうぜ」
そう言うと、牧さんや藤真さんたちを引き連れて出て行こうとする。
「え?あの…」
俺は、わけわかんなくて慌てて声をかける。
「あぁ、清田。お前もくるか?自主練習するんだが?体育館の鍵を借りてきたんだ」
「は、はい!」
牧さんのお誘いを、無下にする俺じゃない。
速攻で、部屋の明かりを落として、鍵をかけてついていく。
ぶらぶらと、体育館まで三井を先頭に歩いていく。
何で、三井がこんなに偉そうなんだ?
牧さんや藤真さんはそれぞれのチームのキャプテンだから、多少は偉そうでも仕方ないとは思うんだけど、三井はそうじゃないくせにやたら偉そうだ。
中学MVPだそうだが、高校のMVPは牧さんなんだから、そんなに偉そうな態度とれないとは思うんだけどなぁ。
体育館で、ストレッチをして1ON1を始めることにした。
驚いたことに、三井は牧さんや藤真さんたちと互角に戦っている。
前に試合したときは、すぐにへばって動きが鈍くなってきたのに、今はそうではないみたいだ。
俺が三井とあたった。
「なんだ、野猿、口ばっかでたいしたことねーな」
「な!なんだとー!」
あ、あったまにきた!
確かに、三井に、ゴールを許したが、たまたまだ。たまたま!
むかつく奴!
「三井!も一回勝負だ!!次は勝ぁーつ!!」
「へん!返り討ちにしてやらぁ!」
気がつくと、何度もリターンマッチを繰り返していた。
「おいおい、お前達、そのくらいにしておいたらどうだ?」
牧さんたちが呆れたように声をかけた。
気がついたら、かなりの時間対戦していたようだ。
「そうだな。野猿、またいつでも相手になってやるぜ」
三井は、偉そうに手をひらひらささせて、俺に言った。
くっそー!三井の様子にも腹が立ったが、何より自分の不甲斐なさにもっと腹が立った。
何で、三井に勝てないんだ?
悔しい!
合宿所に戻る道すがら、俺は、悔しさで一杯だった。
くそっ!明日は負けねー!
部屋に戻って、三井は俺を振り返る。
「先にシャワー使うぞ」
そう言うと、さっさとシャワールームに消えていく。
カラスの行水で、出てきた三井に替わって俺がシャワー室に入る。
出てきたら、三井は何処かの部屋に遊びに行ったのか、不在だった。
なんてマイペースな奴。
結局その後、三井は就寝時間まで戻ってこなかった。
なんか、待ってる俺って馬鹿みたいじゃんか。
明日は、こっちだって神さんのところにでも遊びに行こうかな。
待ってるのも馬鹿くせーから、先に消灯して寝たふりしてやった。
少しして、三井がコソコソと戻ってきた。
ちっ、鍵かけて締め出してやりゃよかった。
三井は、パジャマに着替えてベッドに入ったらしい。
ごそごそ動く音がしていたが、じきに物音がしなくなった。
耳を澄ましているのも馬鹿らしいので、俺も寝ることにした。
翌朝、起床時間になったので、俺は伸びをして起き上がった。
着替えて、はっと気がついた。
三井がまだ寝ている。
朝食の集合まで、あまり時間がない。
ったく。
3年なんだから、ちゃんと一人で起きろよな。
仕方ないから揺り起こしてやった。
「んーっ」
なのに、まだ起きない。
なんて寝汚い奴だ。
仕方がないから、布団を引っ剥がした。
うッ…。
うっすら目が開いて、俺を見あげた三井が、普段の根性悪そうな目つきじゃなくって、やたらと幼い表情だったので拍子が抜けた。
なんか、ぼんやりこっちを見ている三井がやたら色っぽくて、不覚にもドキドキしてしまった。
や、やっべーよ。
「い、いい加減に起きろよ!寝ぼけてねーで!もうすぐ朝飯の点呼だぞ!」
慌てて怒鳴ったら、ようやく意識がはっきりしてきたらしく、起き上がった。
途端に普段の偉そうな三井に戻ったようだ。
ちょっと安心した。
やっぱり、三井はむかつくけどこっちの方がましだ。
頼りなさそうな、色っぽい三井は心臓に悪い。
三井の準備が整うのを待って、部屋を一緒に出る。
三井は、もういつもの三井で、食堂に向かう湘北の奴にちょっかい出して笑っている。
しかし、俺が普段にもどれねーよ。
さっきの三井の様子が焼きついて離れねー。
まいったな。
三井があんなに儚げで色っぽいとは、思わなかったぜ。
何より、その三井を見てドキドキした自分がわかんねー。
なんで、男の寝起きにドキドキしねーとなんねーんだ。
あー!やだやだ。
明日の朝もこんなのだろうか?
ちょっと困ったことになりそうだ。
どうしよう、俺…。