HPカウンターキリ番「3014」リクエスト:For まるこさま

お題:牧×三井で、タイムスリップもの

三井と、牧のどっちをタイムスリップさせるかちょっと悩みました。

こっちでよかったでしょうか?

 

 

不思議な一日と一週間

 

牧20歳…1

三井と暮らし始めて3年になる。

互いに、大学で忙しい日々を送っている。

三井は、高校の頃対戦した時と比べて、かなり変わった。

内面はさほど変わっていないようだが、とにかく落ち着いてきた。

そう、見た目がかなり変わった。

あの男に日に日に似てくる。

信じられないことだが、こんなことがあるのだろうか。

 

三井21歳…1

信じられねーんだけど、こんなことってあるんだろうか。

どうやら、俺は、過去にやってきたらしい。

なんで、ここにいるかは謎だ。

牧と住んでるマンションから、親に呼ばれて、実家に戻ったつもりだった。

途中、急に眠くなっちまって、電車の中で爆睡したら、寝過ごして、小田原まで行っちまった。

あわてて、戻る電車に飛び乗って、最寄の駅についたんだ。

降りて、家に向かうと、家の中から、ガキがでてきた。

どっかで見たガキだと思ったら、あれは俺だ。

それも、小学生くらいの、挫折をしらねー頃の幸せいっぱいの見た目天使のような可愛らしい俺様だ。

夢じゃねーのか?

ほっぺた抓ってみたけど、痛かった。

マジかよ。

俺のあとに出てきたおふくろも、若かった。

もともと年齢不詳だけど、さすがに若い。

そらそうだよな、10年以上前のおふくろなんだから、若いはずだ。

人間、あんまりびっくりすると、パニック通り越して落ち着いちまうみたいだな。

なんか、俺、冷静じゃん。

牧みてーに落ち着いちまってるよ。

牧?

そうだ、牧んとこに行ってみよう。

いつも落ち着いたあいつの、ガキの頃をみてやろう。

どうせ、こうなりゃなるようにしかなんねーんだから、慌てたって仕方ねーしな。

開き直っちまったぜ。

牧の実家はこっから遠いんだっけ。

よし、行ってやる。

 

牧10歳…1

へんなひとがいる。

いつも遊んでいる公園のベンチにこしかけて、こっちを見ている。

ぼくをみて、にやにやしている。

ぼくに用かな?

へんしつしゃかな?

人さらいかな?

 

三井21歳…2

いたいた。

あいつにちげーねぇ。

目元のほくろもあるしな。

なんか、俺を警戒してるみてーだな。

まぁ、見たこともねーやつだもんな、警戒して普通だよな。

しかし、あんなじじー顔の奴でも子供のころは、子供顔じゃんか。

結構かわいい顔してやがる。

中学の頃はどうだったっけ…。

あんまり記憶にねーな。

なんか落ち着いた奴だったって記憶しかねー。

高校では、もう、おっさんだったよな。

今じゃ、バスケ部のご隠居って呼ばれてるしなぁ。

かわいそうに。

今はあんなに可愛いのになぁ。

あと5、6年でお前はおっさんになるんだぞ。

 

牧10歳…2

『よう。お前何て名だ?』

へんなひとが笑いながら、声をかけてきた。

にげたほうがいいかな?

人を呼んだほうがいいかな?

『こら。人に話し掛けられたらちゃんと答えろよ』

そういうと、ぼくのこめかみを、げんこつでぐりぐりしてきた。

痛くって、しかたなく名前を言った。

やっぱり、にげたほうがいいかな?

 

三井21歳…3

『まきしんいち』

やっぱり牧だ。

こめかみをグリグリしてやったら、涙目で答えた。

へへへっ。

かわいーじゃねーか。

 

牧10歳…3

『バスケは好きか?』

へんなひとは、じぶんの名前も言わないではなしかけてくる。

こういうひとは、れいぎがなってないって、おとうさんがいってた。

人の名前をきくときは、まず自分がなのりなさいって。

そういいかえしたら、笑ってこたえてくれた。

『俺様は、三井寿だ。で、お前はバスケするのか?』

何で、バスケなんだろう?

ぼくは、今、リトルリーグに入っているし、バスケはあんまりはやってないから、やってないって言った。

『馬鹿野郎!俺が教えてやっから、バスケしろ!』

ボールをもってこいってうるさいんだ。

あした持ってくるっていったら、ぜったい来いよって念をおして、どこかにいっちゃった。

バスケか。

おもしろいのかな?

 

三井21歳…4

明日から、牧にバスケを教えてやる。

なんかわくわくしてきたぜ。

その前に、ねぐらを確保しねーとな。

実家に帰るのにいつもは、あんまり金持ってねーんだけど、今回は振込みをおろしたばっかで懐が豊かだから、ラッキーだったな。

近くのビジネスホテルに決めた。

なんか、物価安いよなー。

10年経つと、やっぱそれなりに物価上昇すんだな。

実感したぜ。

 

牧10歳…4

三井さんは、うれしそうに、バスケをする。

おしえてもらったバスケは、おもしろい。

公園にあったゴールポストに、三井さんはすごく遠くからシュートを入れたりする。

友達もつれてこいって言うから、次の日からは、友達をつれていった。

ぼくたちのあいだでは、バスケがブームになった。

こんど、ミニバスの大会に出てみようってはなしもでてきた。

三井さんがコーチになってくれたらいいのに。

 

三井21歳…5

ガキどもにバスケを仕込むのはおもしれー。

俺って、こっちにむいてるんじゃねーかな。

安西先生のように、立派な指導者になりてーと、思う。

教育課程もとっといて良かった。

しかし、いっこうに元の世界に帰れる気配がない。

俺ってどうなるんだ。

このまま、このガキどものコーチになっちまうのかな。

でも、そろそろ、懐もやばくなってきた。

なにより、ガキじゃねー牧に逢いたい。

 

牧10歳…5

お使いのとちゅう、公園によってみた。

三井さんが、一人でシュート練習してる。

あとで、もう一度やってこよう。

ミニバス大会のコーチやってもらいたいって、お願いするんだ。

 

三井21歳…6

コーチ?

俺が?

このまま、ここに落ち着いてこいつらとミニバスをする。

このまま…ずっと?

 

牧10歳…6

三井さんが、いきなりうずくまって泣き出した。

おとなの人が泣くのってはじめてみた。

三井さんは、未来から来たんだといっている。

本当かな?

でも、本当ならもとの世界に帰れないのはかわいそうだと思う。

三井さんがやってきて、1週間。

ちょうど明日は、おなじ土曜日だ。

三井さんのはなしだと、いねむりして、あわててでんしゃにのるまで、ふつうだったらしい。

このあいだ読んだ、まんがだったら、そこで、時間をいどうしたんだっけ。

それなら、あした、ためしてみたらどうかな。

三井さんにそう言ってみた。

だめだったら、この世界で暮らしていくために、おとうさんに相談してあげるってやくそくした。

 

三井21歳…7

チビ牧の言うことも一理ある。

試してみるか。

電車で、来た道を戻ってみるか。

だめなら、牧のオヤジさんに助けてもらえるかもしれねーしな。

決行は明日。

 

牧10歳…7

三井さんが、元の世界に帰るために、もうすぐ電車に乗る。

ぼくは、ほんとうは、三井さんにこのままこの世界にいてほしい。

でも、きのう、三井さんは恋人にあいたいって、泣いていた。

恋人がいるんだ。

なんで、ぼくは、こんなにかなしいんだろう?

三井さんは男なのに。

もしかして、三井さんを好きになってしまったんだろうか。

三井さんに、キスしたいと思った。

きのうの、泣いている三井さんはとってもきれいだった。

これって…さいしょからしつれんしちゃったんじゃないか…。

 

三井21歳…8

『じゃーな。いい男になれよ。チビ牧』

資金不足で、東京までの旅費を、チビ牧に借りた。

うまく、元いた世界に帰れたら、チビ牧には返すことできねーけど、でかくなった牧には返せるから…。

そう言って金を借りた。

小学生に借金するのはちょっと情けなかったが、いた仕方ねーか。

ホームまで見送りにきてくれたチビ牧に、礼を言った。

あいつが、なんか内緒の話があるからしゃがんでくれって言うから、跪くと、耳元にあいつが囁いた。

『三井さんがすきです』

そう言って、俺にキスしやがった。

こ、こいつ!

ませすぎだぞ!

びっくりして、呆然としてたみてーだ。

電車の発車の音で我に返った。

 

牧20歳…2

あの男は、真っ赤になって馬鹿野郎と、捨て台詞を残して電車に乗っていった。

しばらく、舞い戻ってこないかとホームで待っていたが、あの姿を二度と見ることはなかった。

あれが、俺の初恋だったなんて、今思えば笑えるが…。

高校の時に三井に会って驚いた。

名前も同じ。

顔もどことなく似ている。

最初は、あの男に似ているから付き合い始めたが、いつのまにか、あの男というよりも、目の前の三井に引き込まれていた。

そして、一緒に暮らす三井は、だんだんあの男に似てきている。

実家に用があってもどるといって、家を出て行った今日のあの服に見覚えがある。

あれは、あの日あの男が着ていたものと同じ。

先日、三井と買い物に行って俺が見立てた服だ。

あの男が、無事にもとの世界に戻れたとしたら、実家に戻らず、三井は帰ってくるだろう。

あの男は、東京行きの切符を買っていたから。

子供の俺に借金して、踏み倒していったのは、三井らしいといえば三井らしいか。

窓の外を見ると、見慣れた男が走っている。

マンションに入ってくる。

もうすぐ、三井が帰ってくる。

俺の初恋で、最初の失恋相手。

そして、今の恋人、同居の相手、三井寿。

 

「ただいま!」

「なんだ、早かったな」

「い、いや、やっぱり、行くのやめたんだ」

「そうなのか?行かなくていいのか?」

「う…。あとで、お袋に電話しとく」

「あぁ、そうした方がいいな」

 

他愛無い話をして、三井が部屋に入ってくる。

ソファに座る俺の横に、座ってくる。

肩にもたれかかって、懐きだした。

「どうしたんだ?」

「牧…。お、俺さ…。」

「ん?」

「変な体験したんだ」

「変?」

「あ、あのさ…実家に戻ったら、小学生の俺がいてさ…」

そう言うと、違う世界に言ってしまった話をぽつぽつと話し出した。

「な、変だろ?」

そして、俺の胸元に甘えてくる。

「そうだな。三井はタイムスリップしてきたのかもしれないな」

「なぁ、お前って…」

三井が俺の顔を覗き込む。

「ん?俺の記憶にお前がいるかってことか?」

真剣な顔をして、俺を覗き込む三井に、俺はにやっと笑ってやった。

「そうだな、小学生から借金して踏み倒していった、背の高い男がいたな」

「て、てめー!もしかして、ずっと、それ…」

三井は一転して真っ赤になって憤慨している。

「まぁ、だんだん、三井がその男に似てくるんで、もしかしたらとは思ったんだが、まさか自分から言うわけにいかないだろう?三井はもうすぐタイムスリップして、過去の小学生の俺に借金して踏み倒してくるなんてことを…?」

「!!!!」

「とにかく、お帰り、三井」

そう言って三井を抱きしめてやった。

三井は、大人しく腕の中にいる。

これは、三井を美味しくいただけるチャンスかもしれないな。

 

三井21歳…9

帰ってこれた。

牧に抱きしめられて、何だかほっとした。

やっぱりもといた世界がいいよなぁ。

あ、こら、牧が、触ってきやがる。

や、やめろって…。

なんか、抵抗できねー。

もしかして、俺も待ってた?

なんか…もうどうにでもしろって感じ。

あぁ、もうあんまり考えられねー。

まぁ、これはこれでめでたしめでたしか…。

 

 

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Revised: 2001/11/04 .