HPカウンターキリ番「1514」リクエスト:For まるこさま

お題:かっこいい花道と、かわいいけど喧嘩は強いかっこかわいいみっち

うーん、今度は、花×三。

難問が続きますね(笑)

難産でした。ごめんなさい。しかもこんな出来上がりで…。

かっこいいというよりは、間抜けな桜木と、策士な三井になっちゃったかな?

まるこ様すんません(泣)

 

 

明日からは…

 

「ミッチー」

湘北高校バスケット部の部室。

練習後、着替え終わって、傍若無人な2年下の後輩が、三井を呼ぶ。

「ミッチーって言うな」

「じゃぁ、なんて呼んだら良いんだ?」

「そ、そりゃ、三井先輩だろう?」

そう答えたら、腹を抱えて笑われた。

失礼じゃないか。そんなに爆笑するところか?

頭にきたから、その後輩の後頭部をはたいた。

「ふぬっ!痛いぞミッチー。なにすんだ」

さほど堪えた風でもなく、赤毛の後輩は三井を見る。

「ふんっ。先輩を馬鹿にするからだ」

つんと、あさってのほうを向く。

「何だミッチー、機嫌悪そうだな。もしかして、ブルーデーか?」

「なっ!何言ってやがる!俺の何処が女に見える!あぁ?」

つっかかると、いとも簡単に攻撃をかわして、三井の背後に回り、べったりと抱きつく。

「そんなことより、なぁミッチー。なんか喰って帰ろうよ」

「こ、こら!放せって!暑苦しーンだよ!」

三井がじたばたと暴れる。

「なぁ、ミッチー。なんか奢ってくれよ」

「わ、わかったから!放せって!」

ようやく、赤毛の後輩から解放された三井は、ぐったりしている。

そんな三井にお構いなく、赤毛の後輩は、三井の手を取り、ぐいぐい引っ張り始める。

「何だよ!こら、桜木?何処へ行くんだ?」

「洋平たちに教えてもらったんだ。美味いラーメン屋ができたんだ」

「わ、わかったから、手を離せって」

「いや、俺たちはコイビトドウシだから、手をつなぐのだ」

「ば!馬鹿野郎!こんなとこで、何言いやがる!」

今度こそ、三井は真剣に花道の後頭部を殴った。

頭を抱えた桜木が、三井の手を放した。

「痛いぞ、ミッチー。なにもグーで殴ることねーだろー」

「テメーが悪い!往来で、んなこと言うな!手も握るな!」

「ふぬっ…。冷たいぞ、ミッチー」

「うるさい」

三井と桜木は、お付き合いしている仲だ。

といっても、彼ら自身、何でこんなことになったか、いまだに信じられないのだが…。

ものの弾みで、ぶつかった拍子にキスをしてしまった。

三井にとっては、ただの事故だったが、桜木は、ファーストキスだったらしく、三井は、桜木の初めての人になってしまったのだ。

三井は、笑って無かったことにしようとしたのだが、変に律儀な桜木は、責任をとって付き合うのだといってきかなかった。

勢いに流されて仕方なく、三井は桜木に付き合ってやっている。

しかし、そう長く続くまいと高をくくっていた三井だったが、桜木は思っていたよりまじめに、三井との付き合いを続けている。

といっても、お子様な桜木は、まだ、手をつないで登下校をしたいという程度の付き合い方しかしていない。

セカンドキスすら、まだなのだ。

三井としては、弟がいればこんな感じかと、弟の我侭につきやっているといった様子で、静観していた。

しかし、これ以上の関係に陥ることだけは、断固として拒否するつもりではいる。

さて、桜木に連れられて、その新しいラーメン屋に近づいた時、路地で、小さな悲鳴が聞こえた。

「ふぬ?なんだ?」

桜木が、気づいて路地を覗き込む。

「ん?どうした?」

三井も釣られて、路地を覗き込んだ。

そして、後悔した。

そこでは、カツアゲが今まさに行われようとしていたのだった。

他校の生徒数名が、湘北の小柄な男子生徒を脅している。

「ミッチー、どうしよう?」

「どうもこうも…。俺達ゃ喧嘩しねーって安西先生と約束しただろーが」

「しかし、ミッチー。見て見ぬ振りするのか?ギヲミテセザルハユウナキナリだぞ」

「お前、良くそんな言葉知ってるな…」

「とにかく、ミッチー。あれは助けないと…」

「わかったよ。だがな、桜木。手を出しちゃなんねーぞ」

「ふぬっ?」

「お前ぇは、俺の後ろで腕組んでガン付けしてろ。んで、隙を見て逃げるから、いつでも逃げられるようにしておけよ」

そう言うと、三井は、すたすたと路地に入っていった。

「おい、そこのお前達。何やってんだ?」

「何だ?テメーは。カンケーねー奴は引っ込んでろ!」

相手のリーダー格の生徒が三井を見て凄む。

しかし、三井の後ろに立つ、大柄で目つきの悪い桜木を見て、少し怯んだように目を逸らした。

「関係なくもねーんだよ。そいつはうちの学校の奴でな」

そう言うと、三井は、相手と、湘北の生徒の間に割って入った。

湘北の生徒に逃げるように目配せをする。

助けられた生徒は、頷いて大通りへと走り逃げていった。

「て、テメー!逃げちまったじゃねーか!どうしてくれるんだ!」

相手が、いきり立つ。

「どうって言ってもなぁ。まぁ、残念だったなって感じ?」

へらっと笑って、三井が肩を竦める。

「こ、この!ふざけやがって!」

そう言うと、リーダー格の男が三井の顔面に殴りかかった。

それを軽くかわして、三井が少し大通りのほうに動いた。

「く、くそっ!おい!お前等!やっちまえ!」

そう言うと、周りの仲間に声を掛けた。リーダー格の男の他に、3人が三井たちを取り囲む。

「うーん。そこどいてくんねーかな…」

そう言うと三井は通り側にいる奴をみる。

そいつが、三井に殴りかかる。

三井が、あっさりとその攻撃をかわして、輪の外に抜け出る。

普段、宮城や流川との1on1で、鍛えられた動体視力と運動神経からすれば、今、三井たちを取り囲んでいる不健康な奴等のなまくらな拳の攻撃などは、簡単にかわすことが出来そうだ。

桜木も、他の奴の攻撃をあっさりかわして輪の外に抜け出る。

「いくぞ」

そう言うと、三井が、大通りへダッシュする。

続いて、桜木も走り出す。

二人は、相手を路地に置き去りにして、駅前に走り去る。

少し走って、後ろから奴等がついてこないのを確認して、逃げるのをやめる。

「はははっ。チョロかったな」

少し息を弾ませて、三井が笑う。

「しかし、ミッチー。なんか、すっとしねーぞ」

「まぁ、仕方ねーだろ。俺たちは喧嘩できねーんだから」

「ふぬっ…」

「しかし、ラーメン屋は今日は無理だな。どうする?」

「どうしよう、ミッチー…」

「仕方ねーな、そこのマックで我慢しろ」

そう言うと、三井はハンバーガーショップに入っていった。

桜木も後ろについて来て、三井と一緒にオーダーをする。

そんなに喰うのかと、三井は詰りながらも、奢ってくれる。

「うめーぞ、ミッチー」

「ったくよ。奢ってもらうんだから、ちっとは遠慮しろよな」

「まぁまぁ」

「何が、まぁまぁだ」

「なぁ、ミッチー」

「ん?」

「さっきの、うまく逃げられなかったらどうしてた?」

「さぁな。あいつらは、そんなにつえー奴じゃなかったからなぁ」

「弱い奴って、わかったか?」

「あぁ、もってる雰囲気が、そんなにやベー気配しなかったしな。小者だってわかったし」

昔とった杵柄。やばい奴等は見慣れていると三井は笑った。

「ミッチー、そんな奴らの中で苛められたりしなかったのか?」

「はぁ?んなことなかったぜ。徳男もいたし…」

「ふぬっ…。なんか、やだぞ」

「なにが?」

「のりちゃんと一緒にいたのが、なんかやだ」

「そう言ったって…。あいつがいたから、俺はもっと、むちゃくちゃにグレなくてすんだんだぞ」

「でも、俺の知らないミッチーを知ってるのはなんかやだぞ」

「…ったく。馬鹿。これから、あいつらのしらねー俺を見ていくのはお前等だろうが」

三井は呆れた顔で、桜木の額を指で弾いた。

「ふぬっ。痛いぞミッチー」

「ばーか。じゃ、行くぞ」

食べ終わって、三井が席を立つ。

桜木がトレイを片付けに行く。

出口で待つ三井に桜木が追いつき、二人出店を出る。

三井を駅に送って、いつもはここで別れるのだが、桜木が、何故かぐずって、別れ様とはしない。

三井の制服の裾を持って離さないのだ。

「どうしたんだ?桜木?」

「なんか、やだ」

「ったく…。駄々こねるのもいいかげんにしろよ…。裾、離せよ。俺が帰れねーだろ?」

「まだ、別れたくねー」

三井は溜息をつく。

「俺は外泊できねーんだよ。お前、明日、早起きできるんなら、家にくるか?」

「え?いいのか?」

「あぁ、お前のおふくろさんがイイって言ったらな」

公衆電話を指して、了承取り付けろと三井が言うと、桜木が、さっそく母親に連絡をしていた。

嬉しそうに戻ってきた桜木を見て、三井は切符を買って桜木に渡す。

桜木を従えて、三井は帰宅し、母の手料理で満腹になったあと、風呂を済ませて部屋に桜木と入った。

「こら、布団敷くからそっち持てよ」

桜木用の布団を部屋に敷く。

「ふー。今日もなんかいろいろあったなぁ」

三井は自分のベッドに腰掛けて、大きく伸びをする。

桜木は、自分のために敷かれた布団の上に胡座をかいて座っている。

「ミッチー」

「なんだ?」

「こっち来いよ」

桜木は三井のパジャマの臑の部分を引っ張る。

「引っ張るなよ」

三井が、桜木の布団の上に降りてくる。

桜木が三井をぎゅっと抱きしめた。

「こら、桜木、暑いだろ?」

三井がもがくと、少しだけ力を緩める。

「ミッチー」

桜木は三井を胡座の上に座らせて、抱擁を解かない。

「なんだよ、桜木。今日は駄々っ子になってるぞ?」

「なんか悔しいぞ。ミッチーは俺のコイビトなのに、こうやってもぜんぜんドキドキしてないのか?」

「はぁ?」

「俺、ドキドキしてるぞ。ミッチーをぎゅっとしたら、なんか、いい匂いするし…」

それは、石鹸の匂いだろうという突っ込みは、声にならなかった。

桜木が、三井にキスしてきたからだ。

これって、セカンドキスじゃん。

三井は、何故か冷静に、桜木に身を任せていた。

ようやくキスから解放されて、三井は、桜木を見た。

「桜木。お前、どうしたいの?」

「ミッチーを独り占めしたい」

そう言うと、三井の胸元に顔を埋めて抱きつく。

布団に、勢い余って押し倒され、胸元に桜木を抱いたまま、天井を見て、三井は溜息をついた。

確かに、自分は女性との経験はあるが、男とは未経験だ。

グレていた時は絶えず男に迫られていたが、なんとか逃げ切ってきた。

まさか、こんなところで、バスケに戻った後に、後輩に迫られるとは思わなかった。

桜木は嫌いではないが、まさかそっちの方に行くとは思ってもみなかったし、付き合ってるといいながら、三井は本気ではなかったのだ。

しかし、とうとう、年貢を納めなければならないのかと、三井は諦めた。

別に、桜木なら構わないかと思えるほどには、自分は桜木を気に入っているようだ。

覚悟を決めて、力を抜いて桜木を見たら、がっくりした。

せっかく心を決めたというのに、桜木は、何故かすやすやと眠っている。

呆気にとられて、三井は天井を仰いだ。

桜木が三井を独り占めしたいというのは、まだ、子供の独占欲だったのか。

それも気づかず、桜木に全てを預ける気になってしまった、自分におかしくなってくる。

くすくすと笑いが漏れてしまった。

「ばっかみてー」

しかし、こんなに悩ませたくせに、のんきに眠る桜木を見ると、ちょっと報復してやりたい気になった。

桜木の抱擁から、少し身じろぎしながら逃れ出ると、桜木の下になっている掛け布団を引き抜く。

桜木のパジャマ用に着たTシャツを引き剥がし、下のトランクスも引き抜いてやる。

桜木は、まだ気がつかない。

三井は、自分もパジャマを脱いで、素っ裸になり、桜木の胸元に顔をつけて掛け布団をかける。

明日の朝、桜木の慌て様が目に浮かぶようだ。

この小細工で、きっと桜木は自分から逃げられないだろう。

せっかく自分が男と付き合う気になったんだ。相手はいい男でないとやってられない。

あとは、ゆっくりと自分好みに育てていってやろうと三井は思った。

『なんか光源氏?』

ちょっと違うが、明日からの桜木との関係の変化が、楽しみだ。

三井が、練習の疲れで睡魔に身を委ねて、部屋には二つの健康的な寝息が聞こえるだけとなった。

明日からの二人がどうなるかは、ご想像にお任せします(笑)

 

 

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Revised: 2001/08/05 .