HPカウンターキリ番「1114」リクエスト:For ママっちさま
お題:仙道×三井ベース、カラオケで、三井の歌に悩殺される面々
カラオケ…最近数年ぶりで行きました(笑)
あんまり、曲知らないんですよね。でも、歌詞を書くと著作権に引っかかるから、書いてません(笑)
あまりに古い歌なので、皆さんご存知ないかも…
勘弁してください
「しあわせですか」は、ことぶき会様発行の、仙×三ミレニアムに書いた大学生編話ですが、別にそれを読まなくてもあんまり影響のない話です。
ママっち様こんなんでよかったですか?(泣)
「それが答えだ!」EX
しあわせですか2
「いいか!今日は打ち上げだ!カラオケ行くぞ!」
キャプテンがそう言って、一同を促した。
おう!という、賛同の声が、あちこちであがって、着替えの手が進む。
今日は、練習試合を、都内の某大学と行った。
2年の三井は、今日の得点王だった。
いつになく、3ポイントシュートが決まって、敵を外から翻弄した。
1年の仙道と2年の土屋は、内に駆け込んで敵を散らしながら得点を重ねた。
圧勝だった。
一昨年まで、下部リーグをうろうろしていたチームとは思えない強さだ。
昨年三井と土屋が入部し、2部リーグまで上り詰めた。
今年は、仙道が入り、1部リーグを目指している。
「ミッチーもいくんやろ?」
土屋が、となりで着替えている三井に声をかける。
「ん?んー、まーなぁ。俺、あんまりカラオケ苦手なんだよなぁ」
三井は、あんまり歌が上手くないらしい。
渋っている様子を横目で見ていた仙道が、三井の背後から抱きついて、声をかける。
「行きましょうよー。三井さん!俺、三井さんの歌聞きたいですー」
「うわっ!なんだよ、せ、せ、せ、仙道!び、びっくりするだろ?」
「えーだってー」
「男が、『えー』とか『だってー』とか使うなよ」
「あ、それは、ジェンダー意識の現われですよ。男とか、女とか関係ないです」
それに、土屋が反応した。
「あぁ…。仙道、ジブンそういうたら、そっちの講義とってたんやっけ?」
「えぇ、なかなか目から鱗ですよ。古い観念って思わぬところに出ちゃいますからね」
「そうか、俺も来年取ってみよかなぁ」
「あ、あのよ、仙道…。とにかく放してくれって…」
三井が、話においていかれて、じたばたしている。
「で、どうするんです?」
「?何が?」
「カラオケ」
「わ、わかったって、とりあえずいくから、放してくれよ…。着替えらんねーだろ」
ようやく仙道から解放されて、三井はさっさと服を着込む。
三井と、仙道は、実は付き合っている。
神奈川の代表として国体に出たとき、同室になったことで、恋愛が始まったのだ。
以来かれこれ2年と半年ほど、付き合いは続いている。
三井が、この大学に入ったために、仙道が、追いかけてきたのだった。
一応秘密の恋愛中だ。
勘の鋭い土屋にはばれているのだが、他には内緒である。
だから、そんなにくっついたりしないで欲しいというのが、三井の希望だ。
いつ、ぼろを出してしまうか、小心者の三井は気が気ではないのだ。
一行は、最寄のカラオケボックスのパーティールームに、雪崩れ込んだ。
「よーし!一発目は、今日の得点王三井から行け!」
おーっ!と歓声が湧き上がる中、三井は、焦っていた。
「え?俺っすか?マジへたなんすよ!勘弁してくださいって!」
三井は必死で抵抗するが、曲目すら、先輩の勝手に入れた曲が流れてきて、いきなりマイクを渡される。
悲しいかな、体育会の上下関係は、傍若無人だった三井すら、従わせるものがあった。
前奏が終わって、仕方なく三井が歌い始める。
曲名は、福山○治のHEAVENだった。
しかし、三井の歌は、周囲の面々に天国というよりは、地獄の責め苦と化したようだ。
音程がずれている。
それも、完全にというより、微妙に何でこんなに難しく外すんだという、外し方をするので、一同はとってもむず痒く、気持ち悪いのだ。
天才的に破壊されたこの歌が、本当にあの福山某の曲なのかと、一同が悩むことすら忘れ、ひたすら時間が過ぎ行くのを、待ちつづけ、ようやく終焉に至ったとき、ものすごい拍手が起こった。
よくぞ終わってくれた、という拍手である。
三井は、真っ赤になりながら、マイクを置いた。
やけになった先輩に、酒を勧められて、三井は、しかたなくコップを受け取る。
あまり強くない三井が、飲み過ぎないように、いつも気を使っている仙道なのだが、先輩につかまってしまい、三井を助けにいけない。
その上、次に矢面に立たされたのは仙道だったのだ。
仙道への先輩が選んだ曲目は、キンキ○ッズの情熱だった。
仙道が、無難に歌いこなしている間、三井は、先輩達の餌食になっていた。
次々と酒を注がれ、断れずに飲みつづけている。
いつもは、土屋がそれとなく庇ってくれるのだが、土屋は、所用で少し遅れているので、今は、三井を庇うものが誰もいないのだった。
焦って、仙道が曲を歌い終え、三井の傍に近寄る。
「三井さん、大丈夫ですか?」
「んー?」
だめだ、目が据わっている。
仙道は冷や汗が、背中に伝うのを感じる。
酔っ払った三井は、異様にものに懐くのだ。
たとえば、今のように、背もたれのある椅子に懐きはじめたように…。
「み、三井さん、酔っちゃったんじゃないですか?」
抱え上げて、座らせると、今度は仙道の上着に懐き始めた。
「んー」
「み、三井さん!酔ってますね?ちょっと!大丈夫ですか?」
「せんどー」
胸にごろごろと懐く三井を、今すぐ押し倒したいのと、この場から連れ去りたいのとで、仙道の弱い忍耐力が酷使される。
「三井、酔っ払ってるな。どうだ?もう一杯?」
キャプテンが、三井にちょっかいを出し始めた。
「きゃぷてん?」
「そう、俺様はキャプテン様だ。さぁ、俺の酒を飲めないわけねーよな?」
「ちょ、ちょっと、キャプテン、やばいですって、三井さんかなりきてますよ」
仙道が焦って、声をかけるが、三井はキャプテンの酒を嬉しそうに飲み干し、あまつさえ、キャプテンの膝に懐き始めた。
「きゃぷてーん」
「おう、三井、よしよし」
鼻の下が延びまくった、キャプテンに三井は懐いていく。
仙道は、もう必死だ。
三井を何とか引き剥がしたいのだが、三井は、言うことを聞いてくれない。
せめて土屋がいてくれたらと、空しい希望だけが宙を舞う。
「み、三井さん、ほら、三井さんの好きな曲ですよ!」
たまたま、先輩達が、一気にエントリーした曲で、笑いを取ろうとエントリーされた曲の、前奏が流れてきたので、注意をそっちに持っていこうと三井にマイクを渡す。
「んーっ!歌う!」
一同が、凍りついた。またあの地獄が始まるかと焦ったのだ。
止めようとキャプテンが、マイクを奪おうとしたのだが、時遅し、三井が歌いだしてしまった。
松○慶子の愛の水中花。
三井が、歌いだすと、一同がしんと静まり返った。
どうしたことか、音程がばっちり合っている。
しかも異様に色っぽいのだ。
往年の(失礼)松○慶子の編みタイツレオタード姿が目に浮かぶような、悩殺ボイスの三井がそこにいた。
流し目を流しまくり、投げキッスを投げまくる三井に、一同は度肝を抜かれた。
そして、落ちた。
三井の下半身直撃の、色っぽい声と仕草に、鼻息が荒くなった一同が、三井に飛び掛りそうになったとき、ようやく曲が終わった。
「…吐く」
三井が、呟き、口を押さえたことで、今度は阿鼻叫喚の嵐が起こりそうになった。
仙道が、電光石火の早業で、三井を抱きかかえ、おしぼりで口を塞ぎ、トイレに直行したことで、一行は我に返った。
「は、ははは…」
キャプテンは、空しく笑い、戻ってきた仙道が、三井が酔っ払って寝てしまったので連れて帰るというのにもコクコクと了承してしまう。
三井と仙道が抜けてしまったあと、一同は魂が抜かれたように、酒をかっくらって、あとは、歌も歌わず、お開きになってしまったらしい。
酔った三井にマイクを持たすなという、注意がその後、彼が卒業するまでバスケ部には脈々と語り継がれたということだ。