HPカウンターキリ番「10014」リクエスト:For ちびこさま
お題:飲み会でお色気撒き散らしのみっちゃんにハラハラしまくる牧さん。
かなりお待たせしてしまいました。
すみません(汗)
お待たせした上に情けない話で…(泣)
勘弁してくれっ!
なんだ?
どうしたんだ?
三井が、へらへらと笑っている。
もしかして、俺の気のつかないうちに、先輩に酒を飲まされたのか?
あれほど、三井に酒を飲まさないように、注意をしていたというのに。
ホンの数分、幹事として、酒のオーダーを通しにいっただけで、この有様とは…。
三井は酒に弱い。
それはもう、弱い。
どのくらい弱いかというと、アルコール1%未満のお子様向きシャンパンですら、真っ赤になってフラフラするくらいだ。
洋菓子に入ったブランデーやリキュールにも結構反応している。
だから、いつも気をつけている。
酔っ払った三井は危険だ。
いや、別に、暴れるとか、喚くとかそんなことはしない。
吐いたりもそうそうはしない。
でも、危険なのだ。
どう危険かというと、周りに色気を振りまいてしまうのだ。
いや、正確には振りまいたりはしていない。
無意識に、上目遣いでにっこり笑ったり、小首を傾げて微笑んだり…。
三井に邪な気を持っているやつには、どうぞ襲ってくださいといわんばかりの風情を醸し出すのだ。
あぁ、今もキャプテンの横で、ふわふわ微笑んでいる。
キャプテンの目の色が違っているぞ、三井。
危険だからこっちに来いと、目で信号を送っているが、多分気がついていないだろう。
こら、そこでそんなふうにキャプテンにしなだれ掛かるんじゃない!
そんなに、頭を撫でられて喜ぶんじゃない。
あぁ、幹事じゃなければ、今そっちに行って無理やり引っ張ってくるものを…。
まったく、キャプテンだけならまだしも、他の先輩達も三井の周りに寄ってきている。
なんて危ないんだ。
三井、気をつけてくれよ。
くそっ、今日は何でこんなに酒が足りないんだ。
また、酒のオーダーに走らされてしまった。
この店の店員も、気を利かせて、オーダーを取りに来てもいいと思うんだが…。
いくら、景気が悪くて人員削減だとはいえ、サービスまで低下させてどうするんだ!
この店は俺が幹事の時には二度と使わないぞ。
あぁ、三井。
ホンの少し目を離しただけで、もう、完全に酔っ払ってるじゃないか。
そんなに嬉しそうに、キャプテンの膝になつくんじゃない。
キャプテンだけじゃない、お前の周りにいる先輩たちは、みんなお前を狙っているんだぞ。
くそっ。
もう限界だ。
これ以上、三井をこのままにしておくと、三井の貞操が危ない。
「なんだ?幹事。どこいくんだ?」
先輩が、酔った目を俺に向ける。
「はぁ、ちょっと三井の様子がやばいんで」
「別にやばくないだろ?結構ご機嫌じゃねーか」
先輩達はむっとした表情で俺を阻む。
「いや、あれは、もう限界ギリギリです」
「限界って?」
「三井は、いきなり吐くんですよ。無意識にドバッと」
「マ、マジ?」
「はぁ」
なわけないだろう。
だが、そうしておくに越したことはない。
ビビッて引いた先輩達の間を縫って、三井に近づく。
「三井」
うとうとし始めた三井を揺り起こす。
「んー?まき?」
「あぁ、そうだ。三井、酔ってるな。先ず、顔を洗って、酔いを醒ましに行こう、な?」
「んー」
三井は、今度は俺にしなだれかかる。
「さぁ、三井」
強引に三井を引っ張り起して、先輩達の輪の中から救い出す。
一応、顔を洗って酔いを醒ますという口実だから、三井を抱きかかえて洗面所に向かう。
もう、幹事だからということは無視だ。
後は、河田に任せよう。
「さぁ、三井、一度顔を洗おうな」
「んー」
三井がよろよろと洗面台で顔を洗っている。
やれやれ。
これで、一安心だ。
後は、三井が寝てしまったからと、そのまま帰ってやる。
背負って帰るのはちょっと負担だが、狼の群れの中に可愛い仔羊を置いておくなんて真似はできないから、仕方がない。
三井が、顔を洗い終わって、少ししゃっきりしたようだ。
「三井、大丈夫か?」
「まき…」
「このまま帰るか?」
「え?でも、先輩達が…」
「かまうもんか」
「牧」
少し足元のふらつく三井を抱えて、そそくさと店の外に出る。
途中、三井を待たせて、河田に一応断りを入れにいった。
「三井が限界だからつれて帰る。後は任せた」
返事を聞かずにさっさと三井の元に走る。
三井は、ホワンとした表情で、俺を待っていた。
危うい。
もう勘弁してくれ。
そんな、可愛い表情で立っていたら、邪なやつに連れて行かれてしまうじゃないか。
俺の苦労もわかってくれよ、三井。
俺は心に決めた。
こんな宴会では、二度と三井には酒を飲まさない。
俺の心の平安のためだ。
頼むぞ、三井…。