以下の文章はmook「living spheres vol.20 2世帯住宅」
(株式会社ワールドフォトプレス)に掲載されたものです。
2世帯住宅に関する考えを述べたものですのでこれから2世帯住宅の建築をお考えの方に参考にしていただけると幸いです。

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他世代にわたる希望を叶えるには生活経験豊富な建築家を選ぶこと」

「多世代の生活の希望や課題に及ぶ二世帯住宅。もし建築家に依頼されるなら、生活経験豊富な40代以上の方が望ましいかもしれません。もう少し具体的にいいますと、ご高齢の方が気にされる日本古来の風習の知識(作法、家相、歴史観など)を多少なりとももっている人、それから、聞き上手で多様な意見をコーディネートできる人が向いていると思います。また、一部のハウスメーカーなどに比べますと、建築家は、建主の希望に応じて、自由にプランニングできるのが強みであり、さらに住まい方に適した工法や予算に見合う施工業者を自由に選ぶことができます。メーカーさんの場合ですと、少なからず各社の工法やマニュアル、社内事情というものに縛られてしまう傾向があると思いますので、特に複雑な二世帯住宅の空間構成においては、建築家の自由で柔軟な設計が有利になるかもしれませんね」


「年配者に配慮のない二世帯はあとあとしっくりいかない!」

「二世帯住宅の場合、お母さんやお父さんはどうしても60〜70歳代のご高齢になります。にもかかわらず、親が年配であるとということを考慮せずに家づくりをしようとすると、設計段階でもめるだけでなく、あとの生活や家族の仲にも支障をきたすことがあります。見た目はいいけれども、使い勝手悪かったり、ご高齢の方に不便な階段を設けたりと、子世帯の好き勝手にしてしまうのはやはり問題でしょう。年配者やハンデを負っている人が住みやすい家は、子供にも若者にも住みやすい。ぜひ、これを頭に入れておいてください」


「親をいちばんいい場所に住まわせてあげる。これで絶対もめません!」

「二世帯住宅は、先輩、つまり親に配慮してあげると自然とうまくいくものなんだって思いますよ。ご両親はリタイヤされてる方がほとんどで、一日中家にいる。だからこそ、家の中でいちばん気持ちのいい場所に居場所をつくってあげるんです。そうすれば、大事にされてるなって思うでしょう。それが幸せなわけですよ。すると、若夫婦の家事や子育てを率先して手伝ってくれるかもしれない。何とか家族関係がうまくいくんです。もう年だからって、北側の暗い部屋に閉じ込めてしまうのは、幸せな二世帯住宅とはいえないでしょうね」

建築家・高橋さんのモットーは「高齢者にやさしい」こと

「高齢者と同居する家を計画するとき、高齢者に目が行き届き、孤独感を感じないよう、居間や食堂のそばに高齢者の居室を配置するのが普通です。」と高橋さん。しかし「上池台の家」では、両世帯が、できるだけお互いを干渉しない生活を求めていた。相反する要素を破綻なく実現させるため、たかはしさんは、親・子世帯の生活が重ならないようホールや階段、中庭などで距離をとりながら、相互の連絡動線を短くし、気配を感じられるよう各室を配置。キッチン、トイレは別、バスは共用としている。入り口については、傾斜のある敷地を利用して、2階東側の駐車スペースそばに共用玄関を設置するほか、西側の私道からスロープ、中庭を通り、1階のお母様のリビングにアクセスできる入り口も設けている。このように生活を分けてはいるが、共用スペースである2階のリビングダイニングキッチン、テラスは、家族が自由にあつまり、意思疎通をはかる場として機能している。また、お母様の介護が必要になったときは、お母様の寝室からバスルームまで介護用レールを設置できるよう水廻り動線を明確にし、建具枠廻りを工夫。容易に改築するため、構造躯体も最小限としている。


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